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イタリアと日本、ビジネス展開の違い その3(舌先三寸)

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112

年間ありがたいことに、様々な展示会で日伊通訳を担当させていただいている。そのお陰で、人のことは目で見て信頼感と責任感あるかないか、大体わかる能力を付けてしまった。
それを踏まえ、イタリアと日本の企業を見てどこが違うのか、わかりやすく説明したいと思う。

日本企業の場合
・トップクラスの専門知識を持ってる企業は、「できる」「できない」の判断を簡単にしない。1ミリでも普段と異なるオーダーをしただけで、担当者と相談して可能かどうかを確認する時間が必要。ザ・日本式。できそうな作業でもその場で言い切れない。
・できるというまでは時間がかかるが、「問題なくお引き受けできます」の連絡が来たら100%できる。信用できる。
・契約は簡単ではないが、日本式の全てのステップをクリアしたら、日本のマーケットで成功できる可能性が高くなる。
・外から見ると無駄な時間が多いかもしれないが、日本人にとっては、問題を発生させないように細かいところまで考える、必要不可欠な行程なのだ。
・海外商品のチェックは厳しく、何かあればすぐ連絡する一方で、支払いや納期を守る。

イタリア企業の場合
・全ての条件がクリアできなくてもとりあえず「できる」と言う。仕事を受けてから考える。展示会では、何でも「大丈夫」「問題なくできる」と言いながら、座って詳しく話したら「できない」「条件は違う」と言い、お客様を困らせる場面をよく見る。
・出来上がった商品にクレームが入ったら「言い訳」が出る可能性が高い。
・打ち合わせの時にサンプルや資料を持っていくと言いながら、半分以上のものが出てこない。
・僕もいつもわからないけど、何らかの理由で納期が遅れる。納期、の言葉はイタリア人に通じないらしい。

しっかり日本のマーケット・日本の社会を理解しようとしてるイタリア企業は、問題なくビジネスができる。
僕の経験の中で一番困ってる分野は「アパレル」。その中で、南イタリアの企業や職人さん(以前に書いた記事だ)とのビジネスは非常に大変で、最初から期待しない方がいい。
失礼を承知で言うと、勝手すぎるのだ。プライドが高く、日本で販売したいと言いながら、頭を下げない。何もしない。文化、という括りでは収まらないほど、難しい。日本の心を学んで理解している僕から見ると、交渉や通訳は涙が出るほどムカつくことが多い。

海外の企業が日本でビジネスをしようと思うのなら、言語より、文化より、その国の社会でのルールや考え方を知るべき、学ぶべきだと感じる。
それさえクリアすれば、日本企業ほど信頼のおける、頼もしい存在はない。

Massi

みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。