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「週刊プラグインレビュー」TOKYO DAWN LABS / ULTRASONIC

あっという間に年末ですね!
今年もあと一週間しかないという事実に、怯える日々を過ごしています笑

コロナが明けたこともあり、忘年会ラッシュが続くんですが、同時に風邪が結構流行っている様子ですので、皆さまどうぞ暖かくお過ごしいただければと思います。

さて、今回はリクエストをいただいたこともあり、TOKYO DAWN LABSのULTRASONICについてレビューをしていきたいと思います。

それではやっていきます!
プラグインレビュー!

ULTRASONICとは?

ULTRASONICは可聴域外の超音波にあたる帯域を制御するために設計されたフィルターだ。

んん、どういうこと?
そう思う人もいるだろう。

少し公式の簡潔な説明から、考え方をここでは共有をしていきたいと思う。

昨今の制作では、リミッターやディストーション、コンプレッサーなど歪を生成するものが多い。
特にリミッターなんかは刺さずに制作すること自体がほぼない状態だ。
ただ、実際にはそういったエフェクター群のみならず、一般的な再生デバイスも程度問題としては低いものの、同じような非線型デバイスとして捉えることが出来る。

で、そういった、非線型な歪を持つデバイスに信号を入力すると、ディストーションが入力信号の帯域幅とともに増加する傾向がある。
これは、ボーカルだとか、ギターだとかの狭い帯域を持つものならば、むしろクリエイティヴに使うことができるが、レンジの広い2Mixとなると、少しでも飽和すると悪影響を大きく及ぼすことになる。

その悪影響というのは、音楽的に受け入れやすいハーモニクスの分布の歪だけではなく、相互変調歪(以下、IMD)も同時に発生させてしまうことに起因をしている。
このIMDが生み出す歪は、元の周波数より高くなったり、低くなったりする不作為な音程を生み出してしまい、可聴帯域内に入ってしまうことがある。
これが、2Mix上で飽和をするとニュアンスが崩れる原因になる。

そこで、TDR UltraSonicは、超音波に当たる可聴外帯域をカットすることで、様々な非線型デバイスに入力される信号の相互変調歪を減らすことができる・・・といった仕組みを用意した。

上記が、UltaSonicのコンセプトということのようだ。

ここまで体系的に説明をしていないけれども、奇しくも僕が連載している「現代MIX考。」のサチュレーション編と結果的には同じことを言っているような気もする・・・笑

いずれにしても、可聴外の帯域はそこに存在するだけで、色んな悪影響を及ぼしやすいから、なるべく最初にカットしておくといいよね。
そういう考え方に端を発している。

※Liniear non-Linier とかIMDとか何を言ってんだこいつは?という人は以下のTDRの文献を読んでみると理解が深まります。
非常にわかりやすく、具体的な対処法を述べてます。
今回のUltraSonicもその一環というわけですね。


ULTRASONICの機能面

特に難しくないと思うけれども一応機能面について解説をしていこう。

3ノブで至ってシンプル

Freq
LPFの周波数を決める。
設定した周波数が-3.0dB減衰になるポイントが表示されているとのこと。

Slope
フィルターのスロープを決める。
0%で24dB/Octで、100%で600dB/Octの設定になる。
さらにSlopeを急こう配にしたいときには、その下のNyquist 0を適用するとほぼほぼブリックウォールに近い特性をつくることが出来る。

Mix
ドライウェットでエフェクトを適用する。
例えば25%の設定なら、25%のDryと75%のWETになる。

DYN GATE
超音波フィルターが低いレベルに到達したときに、自動的にフィルターをバイパスすることが出来る。
逆に言うと、超音波が発生してしまったときのみ、フィルターを作動させることが出来る。

Bypass
入力信号に処理を加えずにバイパスする。

ALL
これはBypassALLのことのようで、すべての機能をバイパスする。
これをすることで、可聴域外の超音波がどのようにプロジェクトに影響を与えているか?を確認することが出来るとのこと。

その他、AB機能が合ったり、設定のRenderで最高設定でバウンスを設定できたりと、機能豊富に作られている。


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検証してみる

本当に書いてある通りの可聴域外に設定できるただのローパスフィルターなわけだが、一応出来る範囲での検証はしていく。

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