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IC-CONNECT様の巡回視聴

中国のオーディオメーカーの輸入代理店であるIC-CONNECT様がtwitter上でCOLORFRY U8とIKKO OH1の試聴者を募集していましたので早速応募してみました。結果、1週間お借りすることが出来たので早速感想をまとめてみました。

こんな製品

COLORFRY U8
COLORFLYの技術を駆使し原音再生を目指したハイエンドプレイヤーです。
U8はESS社と共同開発して作られたDAC「Colorfry α」を左右独立の2基搭載し、384kHz/32bitのPCM音源と22MHzのDSD音源を再生可能です。
筐体上部に小さな液晶画面を備えていたり、ボリュームの調整がタッチパネルになっていたりという特徴があります。
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ikko audio OH1 Meteor
航空グレードのアルミ合金を使用した軽量筐体に、チタンダイアフラムを使用したダイナミックドライバーとKnowles製のバランスドアーマチュアを搭載したハイブリッドドライバーのイヤホンです。ケーブルは一般的な2pinとなっています。

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COLORFRY U8を聴いてみる

音のバランス
低域 ・・・●・高域
音の広がり
狭い ・・・・● 広い
音の響き
緩い ・・・●・ 鋭い
音の密度
太い ・・・・● 細い

音を一つ一つ丁寧に拾い上げて鳴らしていく、繊細で上品で滑らかで、適度な湿度を持っているけどサラリとした聴き味です。

全域に渡っての表現力が良く、弦楽器の弦が震える様、金属を叩く音、ボーカルの微妙なニュアンスの変化、低音域の空気の震え感…なんというか音の説得力がとても高いと感じます。

ハッとさせられる高域の金属音の質感は刺さりそうで刺さらない絶妙な柔らかさも兼ね備えています。音の分離が良く、ボーカルは主張して来るけどコーラスや他の領域がマスクされるこはありませんし、低域の見通しの良さは音がこもるということがありません。しかしながら低域は分離が良すぎて密度感や塊感はありません。量感を求める人には物足りないとは思います。

音の広がりはとても広いです。アンバランス接続なのにバランス接続したかのような感覚です。奥行きのある空間表現とそこに響き渡る余韻がとても良いですが、音源によっては少し人為的な音の作りを感じることもありました。

U8は駆動力も高いです。手持ちのイヤホンではハイゲインにしようものなら音量は二桁に上げることは出来ません。基本的にはローゲインで音量40以下で十分という感じです。

U8の真価はバランス接続ですね。空間の広がり感はアンバランスとはさほど変わらないので、第一印象としてはあんまり変わらないなと感じるかもしれません。しかし、エネルギーの総量が違うといいますか…解像度はそのままに発色が深く、良くなったというか…なんというか、音の鳴らし方に余裕があるんです。空いている高速道路を大排気量の高性能な車でゆっくりと流しているときの絶大な安心感…もはや何を書いているのかよく分からなくなりましたが、とにかく凄いんですよ!
手持ちだとHIFIMAN RE800J(純正ケーブルを2.5mm化しました)は完全に別物です。このエネルギーを受け止められる再生機の器も必要なのかもしれません。

使用・操作にあたってはイマイチに感じることが多いです。

特徴的なスライドボリュームですが、こいつはけなかなかの曲者です。スライド感度が高くないのか、大きな変化は出来ません。敏感すぎても使いづらいとは思いますけど。
また、液晶がONになっている時にしか使えません。常時使えていたらふとした弾みで音量がしょっちゅう変わってしまいますからね。しかし、上部の電源ボタンを押してメインの液晶画面をOFFにしてもサブ液晶はしばらく点灯していて、その間はスライドボリュームは反応します。これで結構音量が変化してしまいました(スライドでは大きく変わらないのでご安心です)

再生ボタンの向きと曲送り・曲戻しボタンの方向が逆なのもイマイチです。そして、曲送り・曲戻しボタンは音量ボタンも兼ねているのです。どうしてこうなった!!
どういうことかと言いますと、曲送り・曲戻しをするにはダブルクリックする必要があります。1秒間隔くらいで押すと音量が変わります。この操作には慣れることが出来ず、結構イラッとさせられました。

発熱量も結構あります。冬ではカイロとして重宝出来るレベルです。この発熱量と比例するかのように電池の持ちも良くはありません。1時間で20%前後減ります(CD音源以上のflac, alacしか使用していない状態です)ので、連続稼働時間としては5時間あるかどうか、といった所です。急速充電に対応しているので、充電速度は結構早いのが救いです。

曲を聴いてみた感想

RE800Jのシングルエンドでいろいろ聞き込みました。基本的にはアコースティックな音源との相性が良いと思います。

また、音源のデータ量が増えれば増えるほどU8は真価を発揮してくれるのではないでしょうか。96kHz/24bit以上の音源をバランス接続で是非とも聞いて欲しいです。

オーケストラ・ジャズ・ビッグバンド
楽器のリアリティもそうですが、オーケストラ編成の楽曲は音の奥行きや左右の広がりといった空間の表現が秀逸です。いつまでも聴いていたくなりますね。

アニソン・POPS
解像度の高さがボーカルを気持ちよく聞かせてくれます。ボーカルはその立ち位置がナチュラルというか、周囲の音から少し手前にいるような感じです。

EDM・トランス
解像度の高さゆえの低域の量感の低さ、エッジの立った電子音も丸めてしまうU8の優しさ故に相性はよろしくないとは思いますが、個人的にはキラキラと爽やかな高域と表現豊かな低域が渾然一体となった音の波にのまれる様な感覚になるのがとても気持ちよかったです。

手持ちで印象だった楽曲

エトレーヌ:情家みえ(192kHz/24bit flac)
圧巻。ただただ圧巻。これがポータブル機器から聞こえる音なのかと我が耳を疑います。全ての音が生々しく、録音現場の空気すら見えるようです(聞こえるのではなく、"見える"のです)

ラブライブ!サンシャイン!!の楽曲(44.1kHz/16bit)
Aqoursの楽曲はコテコテのアニソン(そりゃそうだ)でとにかく音の数が多すぎるのですが、初めて「あっ、9人いるわ」と確かに感じることが出来たのです。こりゃすげえわ。

U8をまとめると

音質特化型DAPです。だいぶ突き抜けているのではと思います。持ち運びするには十分な小ささと軽さでこの音質はとても素晴らしいです。反面、癖のある操作性と発熱と電池持ちの悪さにはサブDAPの必要性を感じます。

操作等の癖は強いのですが、そこを補って余りある良質な音楽を落ち運べるという魅力は代え難いものがありますね。

IKKO OH1を聴いてみる

実は試聴機の右側から音が出ず、別のものと交換しているので試聴時間はあまり取れませんでした。迅速に対応していただいたIC-CONNECT様には感謝致します。

パッケージングが安っぽくないんですよね。しっかりとした厚さのある箱を開くと鮮やかなブルーが美しいです。筐体はとても軽く滑らかな触り心地です。

見た目的に装着感に癖がありそうかなと思いましたが、筐体は思いの外薄く、そして何の抵抗もなく耳に収まってくれました。これは良いですね。

ケーブルはやや細くて少し頼りない感じです。耳掛け部分は柔らかなプリフォームドタイプで装着感は良いです。

音のバランス
低域 ・●・・・高域
音の広がり
狭い ・・●・・ 広い
音の響き
緩い ・・●・・ 鋭い
音の密度
太い ・・・●・ 細い

ハイブリッドのイヤホンは高域から低域までバリっと出すよ!という感じの音が多いですが、OH1は柔らかくナチュラルで落ち着いた音です。とても聴きやすいですね。

やや低域よりのバランスです。締りのあるキレの良い低域はBA領域の音との親和性がとても高く感じます。音の輪郭にやや甘さがありますが、その甘さが聴きやすさに繋がっています。音には芯が一本、ビシッと通っていますね。

COLORFRY U8では甘く豊かな響きが心地よく無限に音楽を聴いていられそうです。普段使用しているibasso DX120との相性もとても良いです。DX120の元気な低域をしっかりと受け止めます。

OH1の特筆すべき所は低域の質の良さです。量感もあり解像度も良く中域を食わない分離の良さが、音楽全体の見通しを良くしてくれています。やはりチタンか…チタンドライバーは良いですね。

IKKO OH1をまとめると

OH1は低域の質が高く、優しい聞き味が素晴らしいですね。筐体の作り込みもとても良いです。装着感も良くて筐体も軽く、耳も疲れることを知らないかのようです。

パッケージングもデザインも音もとてもハイレベルで、今後の商品にもとても期待が持てるのではないでしょうか。

最後に

IC-CONNECT様、この様な試聴企画を実施していただき、ありがとうございました。
高額なDAPを1週間もじっくり聞ける機会なんて無いのでは?と思いIC-CONNECT様のTwitterの書き込みを見て即座に反応してしまいました。
ハイエンドDAPの試聴は初めてではないのですが、これだけの長い時間聴けるというのはとてもいい経験になりました。とても手が出せる金額ではないのですが、またこの様な機会があればまた参加したいと思います。

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