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好きな曲を弾きたい、弾かせたい

僕の稼働する音楽教室では、今年の発表会に向けて準備が始まりました。

発表会の出演者をなるべく多く確保することと同時に、演奏曲目をどうするかということに、ここから1か月ちょっとの間頭を悩ませることになります。

毎年、
「せんせーアタシ今年の発表会でコレ弾きたい~」
という積極的な生徒さんがいます。出演する人の3分の1くらいかな。
この積極性自体はとても喜ばしいものです。

それがその生徒さんの実力に見合ったものなら

おお、いいねぇ、それにチャレンジしてみるか!

応援するのですが、現実はそんなことはほとんどなく、

ん~?あと2~3年はかかるんじゃないかな?

というのが大部分だったりします、残念ながら。

最近は編曲楽譜は「初級」「中級」「上級」と3パターンくらい出ているものが多いんですが、初級の楽譜だって2~3年真面目にやってようやく弾けるくらいの難易度なんですよね。

今世間で人気のある音楽というのはJ-POPやアニソン等がほとんどなわけですけど、これらはほぼ例外なくポピュラー音楽であり、シンコペーションを多用したリズムと、複雑なコード、手のポジション移動範囲が広い曲がほとんど。もちろん、作曲するときにピアノ初心者向けに書くわけではないので当たり前。
それをホントに初学者に弾けるようにするにはリズムとコードをシンプルにし、手をなるべく移動しないようにしなければならず、そうなるともう原型がわからない(^^;;。

僕は今でこそバンド活動もそれなりにやり、ジャンルを選ばずに何でも弾こうとチャレンジしていますけど、ピアノを始めてから大学受験までお世話になった(事実上唯一の師匠)先生には、ポピュラーの曲をレッスンしてもらったことは一度もありませんでした。学んだのはクラシックばかりでしたがそこで読譜やリズム、ハーモニー、ソルフェージュの基礎をきっちり作ってもらったからこそ、どんなジャンルにもチャレンジできているのだと思うので、感謝しかありません。

出来はどうでもいいから、好きな曲を・・・という希望には残念ながらお応えしたくないのです。
テキトーなクオリティで満足するようになるのは良いことではないと思うんですよね。

今の実力に見合った曲を、現時点で最高のクオリティまで磨く。
その時その時でそうやって仕上げることが大事なんじゃないかと思っているのです。

実際に、レッスンでは色々話をしています。
シンコペーションだとか、テンションコードだとかを実際に音を出しながら示すんですが、殆どの生徒さんがまだ理解できない。そうなると、まだポピュラーはちょっと早いのかなと判断せざるを得ない。
(僕の指導力の問題も当然あるわけですが・・・)

僕はリズムやテンポに対する指導はキッチリするように心がけています。
リズムと拍子の仕組みを知識としても感覚としても早く理解してもらえば、早いうちからポピュラーもカッコよく楽しむことができるはずだと思っているから。

クラシックでも、楽しく弾けて、きれいな曲、表現欲求を延ばせるもの、そして演奏しきった時に達成感の持てる難易度の曲を選ぶようにしています。

さて、色々探してみましょうか。

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