#連続小説【アオハル】〜第三章・願い 4 〜
駐車場へ戻るとニッちゃんが満面の笑みで出迎えてくれた。
「今朝は騙すような事をしてごめんね!テストどうだった?」
「分かるのだけ書いてきた。まぁ…50点いくかどうかも怪しいくらいかな…」
ニッちゃんの笑顔に報いたくて、一瞬嘘をつこうかと思ったがそれはやめた。結果は見えてるから嘘ついてもしょうがないと思ったのだ。
「そう。難しかったの?」
「考えなくても分かる所だけ書いてきたんで難しいかどうかは分からないや。それよりも…ニッちゃんはこの事知ってたの?」
ニッちゃんはしばらく考えてから今回の件について説明してくれた。大方は知っていたそうだ。
「それにしても凄い待遇じゃない準特待生なんて!お金の心配はかなり無くなるんじゃないの?それにそこまで話してくれるのは、入学できるよって言ってるようなものじゃない!こんなチャンス2度と来ないよ?」
俺にはニッちゃんの驚きも、話の内容も、理解はしているのだがどうしても乗り気になれないでいた。
「お家に帰ったらお母様としっかり話をしなきゃダメよ!そして…高校は行くべきだって事は忘れないようにしてください。志望校でなくてもそこで新たな目標とか、夢が出来るかもしれない。今は見えないだけ。だから…成長を止める事はしないでね。」
ニッちゃんは押し黙ったままの俺にそう言葉をかけた。
(見えないだけか…)
そう。その言葉だけは今の俺にも物凄く印象に残っている。自分の知らない事なんて世の中山程ある。未知の世界が目の前に広がっているのだと思うとワクワクしてしょうがないんだ。それは当時の俺も同じで、その瞬間から見てみたくてしょうがなくなったんだ。
家に帰った俺は、重田先生の所にお世話になりたいとだけお袋に告げた。お袋は反対の言葉を予想していたのだろう。目を見開き驚愕してるようだった。
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