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#連続小説【アオハル】〜第四章・薩摩実業 1 〜

4月、俺は入学式に出席するためお袋と薩摩実業高校に来ていた。薩摩実業は野球やサッカーで全国制覇を果たすスポーツ学校であり、文理科は有名国立大学に現役合格者を出せる文武両道な学校だ。

入学式は体育館で行われるのだが、そのデカさは半端なくてバレーボールコートが三面も取れる程、俺は入った時の天井の高さと広さに呆気にとられてしまった。

(デカッ!俺、とんでもねぇ所に入学しちまったかも…)

「1年生は前から、あいうえお順に名前が椅子に貼ってありますので、自分の名前の席に座って下さい。目印は看板が立っていますのでそちらで確認して下さい。保護者の方々は生徒の隣です。」

どれだけの人がここにいるのだろう…見れば学ランのやつ。ブレザーのやつ。関西弁や聞いたことの無いイントネーションのやつ。全国に名を馳せる学校をモロに実感した。

しばらくすると館内に放送があり間もなく入学式が開始されると流れた。放送後、壇上には1人の大柄な男性の姿がある。

「おはようございます!」

館内に響き渡るほどの大声に俺はビクっとしてしまった。

「声が聞こえない!おはようございます!」

(マジか…)

「腹から声出せんのか!もう一度!おはようございます!」

かれこれやり直す事7.8回。ようやくおはようございますから解放される事となった。

「保護者の方々に最初に言っておきます。我が薩摩実業高校では素行の悪い生徒に対して厳しく指導を行なっております。ハッキリ言いますよ。薩摩実業の生徒指導部長である私、松永は殴ります!昨年入学の現在2年生は入学後1週間で骨折者が3名出ております。納得のいかない親御さんは入学金はお返ししますので、このまま受付へ行かれて下さい。」

コレが俗に言うtha体育会系。入学式の前なのにこの学校の凄まじさをまざまざと感じさせられる形となったのだ。そして、この呼びかけに10名程の生徒とその親御さんが応じていた。

(どんな学校だよココ…生きてられんの…俺…)

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