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「逆算して計画を立てる力」(動画『教え方2.0』連動記事vol.8)


ライブ配信動画『教え方2.0』で語りきれなかった内容や文章にしてお伝えしたい内容を記事にしてお届けします。当記事はVol.8。動画もあわせてご覧いただくと理解が深まります。


・逆算思考の存在

失われてきた3つの力の3番目「逆算して計画を立てる力」について解説していこう。


ここまで、学習における「目標(目標地点)を設定する力」「現在地を把握する力」について言及してきた。
そして、3番目が「逆算して計画を立てる力」である。


ご想像の通り、3つ目の力は、先述した2つの力がしっかりと身についていかないと、単体では発動しにくいものでもある。

目標をしっかりと見定め、自分の現在地を知り、それがある程度のレベルでできた上で、この「逆算」という力が試される。

逆算で重要なことは、「こどもたち自身がそのような思考が世界に存在することを理解する」ことだ。


逆算とは思考法である。そのように頭を働かせるという行為をまず知る必要がある。


・こどもたちが陥りやすい思考法

こどもたちにとってわかりやすいのは、「とりあえず一生懸命やる」という思考パターンだ。

未来の見立てや予測などをまったく考慮することなく、目の前にある何らかの行為について全力を尽くす。多くの子はそのような行動と思考を習慣的にしてきている。

「一生懸命やってさえいればなんとかなる」

これはこれですべてが間違いだという意味ではない。誰でもその場で全力を尽くすことは大切なことだ。

しかし、それだけで物事を達成することは難しい。


目標にたどり着くためには、「必要な量のトレーニング」をし、「必要なスキルを」、「一定の期限までに」身につけなければならない。


・やみくもには到達できない地点


たとえばあなたが料理人になりたいならば、料理に必要なスキルを身につける必要がある。

逆算思考ができない子は、料理とは無関係なトレーニングをしてしまう。
逆算思考ができない子は、必要な量のトレーニングをやらないまま夢を見続けてしまう。
逆算思考ができない子は、必要な期限までに力を伸ばせないままになってしまう。


世界には、やみくもには到達できない地点というものがある。

無論、先述した、「目標がしっかりと設定されていること」、「現状を把握していること」が重要なことは言うまでもない。

その上で、「逆算」して「計画を立て」、「必要なトレーニング」を、「必要な量」だけ、「期限内に」行うのである。


・「星に願いを」症候群

「逆算して計画を立てる力」の欠如は、「星に願いを」かけ続ける哀れな少女の姿を思い起こさせる。

星にお願いごとをし続けるばかり、自分からは何もしない。
それで達成できる物事はほぼ皆無だと言ってもいい。

これを筆者は「星に願いを症候群」と呼ぶ。

私たちヒトは、精神世界にだけ生きているわけでもなく、超能力を持っているわけでもなく、はたまた、ドラえもんの4次元ポケットを持っているわけではない。
だとしたら誰もが、目標に向かい適切に努力をする必要がある。


・「知りもしない」から「知っている」へ

逆算思考で適切な計画を持つことができるなら、私たちは具体的に行動をすることができる。

逆算思考ができる人からすれば、他愛もないことではあるのだが、当の子どもたちにとってみれば、知りもしない思考法であることがほとんどだ。

まずは「そのような思考が存在することを知ること」から始められたし。


多くの教育現場、学校教育もしかり。

導く大人の側がしっかりと意識にあげて、
欠如しやすい力をつけていく導きが今必要なのだ。



(つづく)




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