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「目標は決めました、現状も把握しました、でも・・・」(動画『教え方2.0』連動記事vol.7)

ライブ配信動画『教え方2.0』で語りきれなかった内容や文章にしてお伝えしたい内容を記事にしてお届けします。当記事はVol.7。動画もあわせてご覧いただくと理解が深まります。


・「学び」と「目標達成」とはどういう行為か?

ここまでの記事で、失われていく3つの力について書いてきてた。

なぜ子どもたちがこれほどに学びに必要な力を失ってきたのか?について言及してきたが、問題は複合的要因によって生み出されていて、根深い問いだ。

ここでは、これまですでに取り上げている2つの力「目標設定力」「現状把握力」について、別の観点から記述しておきたい。問題はいつも複合的だ。


目標をセットしました(目標設定力)、現状を把握しました(現状は握力)。
ところが、それでもなお、おそらく簡単には事が好転しない。

目標もあるし、自分の力もある程度わかっているし、という人が、それでもなお壁を越えていかないのはなぜか?

この問いに対しては、「学び」と「目標達成」とはどういう行為か?ということを考える必要がある。

・あなたから近づく必要のある80点

あなたがある高校に合格したいとする。高校の予想合格ラインが、8割得点だとする。100点満点のテストなら、80点越えを目指すことになる。

今あなたの実力で取れる得点が60点だとしてみよう。このとき必要なのは、あなたがこの先学びを得て、さらに追加で20点以上を取ることだけだ。

あなたは、今の実力以上のあなたになり、未来のもっと高得点を取れるあなたになる。合格に必要なのは、これだけだ。

おわかりだろうか。

目標点80点は、「あなたから近づいていく」ものであって、「テストの方から近づいてくれるものではない」。

当たり前のことに思うだろうか?

今一度書く。

テストが今のあなたの実力にあわせて80点取れるテストに成り代わってくれるのではなく、あなたが合格点である80点を取るあなたになる、そういうことだ。

ここで強調したいのは、
あなたは「今の60点のあなた」ではなく、「未来に80点のあなた」になる必要がある
ということだ。



・子どもたちが見誤ってしまうのは「消費」の影響⁈

しかし、である。

今の子どもたちの多くは、このことを見誤ってしまう。

特にこれには、消費という行為そのもの影響と、消費が共同体参加への最初の行為となっていることからの影響が大きい。
(詳しくは動画に譲る)

消費という行為は、「自身の成長という変化をしながら歩み寄る」動作を必要としない。

「消費」とは、「学び」と正反対の行為である。

消費を主とした行為、たとえばなんらかの「取引」をする場面を想像してみたもらいたい。「取引」の場面においては、常に変化をしない消費者が望まれることがわかるはずだ。
お金の支払いや取引の間に、別人になられてはたまらない。それこそコンビニのレジに並んだお客さんが、会計の途中で別人になるというのでは、取引は成り立たないだろう。消費という行為は、その人に変わらないことを要求するのだ。

しかも、必要な量のお金を持っていれば、売り手は必ず商品を売ってくれる。だから、消費者が自分を変えながら商品に合わせていく、なんてことは当然起こりようもない。

消費という行為を通じて、共同体に参加していく子どもたちは、消費が行動の基準となっていく。

近年、初めての共同体参加に、消費をもって立ち上がることがスタンダードになった子どもたち。今となっては、共同体参加のスタートだけではなく、すべての行為が消費的な行動となってしまっている現実がそこにはある。

それほどに、子どもたちは消費的価値観に支配されてしまっているのだ。


・消費とは違う「学び」という行為

目標を達成するという行為は、自分を変化させ、目標の側に、自分をあわせていく行為である。

これこそがまさに、学びという行為の正体であるとも言える。


学びとは「変わること」だ。

学びを繰り返しながら、目標にあわせて自分を変えていくのである。

現代の子どもたちは、これを無意識には行うことができない。常に消費の習慣が邪魔をするのである。


・こどもたちの学びの未来

今の60点の自分。そこから変わることを恐れず、80点の自分に変わっていく。目標の側に、自分をあわせていく。

変わり続ける自分を許容することも必要となるであろうし、他者からの教えや、問題集やテキストからの教えを「受け入れる」必要もある。


こどもたちの思考や振る舞いは大きな変革の時を迎えている。

目標に自分をあわせていく行為ひとつとっても例外ではない。

過去の当たり前は今の当たり前ではない。


それらを適切に考慮しながら、必要な力をつけていかねばなるまい。

(つづく)





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