次世代自動車はどのような展望をむかえるのか?

 自動車の動力源として採用されるエネルギー源は、各国においてそれぞれの国の状況を反映した内容となっている。日本国においては現在、ガソリン車が約八割を占めそれに続くハイブリッド車についても約二割程度にとどまっている。将来的にハイブリッド車の割合は増えては行くものの、それでもガソリン車の優位性は揺るがない。それに対し、北アメリカではガソリン車に次ぐ割合を占めるものがフレックス燃料車である。南アメリカにおいてはフレックス燃料車が約7割程度を占めるなどの現状がある。また、ヨーロッパにおいてはディーゼル燃料車が非常に優位である。


 北アメリカや南アメリカにおいては、穀物由来のエタノールの供給にコスト面や供給量の面でメリットがあり、従ってフレックス燃料車が進んだと考えられる。ヨーロッパにおいてディーゼル車が普及した理由にはひとつの理由としてカンパニーカー制度というものが挙げられる。給与の一部として会社から自動車が支給されるが、自動車の値段や燃費にかかわらず、燃料代は労働者の負担となる。従って、燃料費の安いディーゼル車が選ばれやすい傾向にある。このように、各国の自動車のエネルギーとして利用される対象は、制度や資源との関わりに依存していることが見て取れる。


 しかしながら、世界的に環境保全に対する規制は強化される傾向にあり、排ガス規制は非常に厳しい水準で年を追うごとに規制値が上がる。ARK INVESTによる調査によれば、このような状況において、自動車産業における電気自動車の成長を予測している。現状においてもBEV(Battery Electric Vehicle)のセールスの成長率は前年比において70%を超える勢いで成長を続けており、これらの市場拡大は今後もトレンドとして続く可能性は高い。各国自動車メーカーは変革を迫られ、電気自動車の開発への設備投資を増していく。しかしながら、既存の内燃機関をベースに成長を続けてきた自動車メーカーにおいてはバッテリーやモータのノウハウが蓄積されていない企業も存在することが予想される。また、電気自動車の普及に向けたインフラの整備についても不十分である。

 電気自動車は確実に自動車市場においてプレゼンスを増していくが、そのインパクトはスマートフォンの普及のような革命的なスピード感と爆発力のあるものとは性質が異なるはずである。それは、自動車というものが各国のインフラの元において存在する為である。都市圏や先進国においては電気自動車の普及に向けたインフラの整備は進むが、それ以外の発展途上国や非都市圏においては電気自動車導入のメリットが薄い状況が形成されるのではないか。そのため、電気自動車は走行距離が短く充電設備が整備された先進国の都市圏において高い普及率を実現するが、発展途上国や地方において、ガソリン車は存在感を維持していくと考える。その点において自動車産業においてテスラを代表とする、新規の電気自動車メーカー等の参入は考えられるが、既存の自動車メーカーも規模の縮小等はあるものの、企業として存在を続けていく可能性が高い。GDPは低いが成長の大きな国々において、ガソリン車は需要があるはずである。このような現状において既存の自動車メーカーは従来の多種多様な車種の開発販売が難しくなっており、基本設計を同じにした外見のみの違う車両によってバリエーション展開を続けいくであろう

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