見出し画像

伊藤智仁さんとの想い出

 僕の東京ヤクルトスワローズ時代の恩人とも言える、伊藤智仁さんとのエピソードをご紹介します。今はルートインBCリーグの富山GRNサンダーバーズで監督を務められているので本当は"伊藤監督"と呼ぶべきですが、敢えて現役当時と同じように"智さん"と呼ばせていたたきます。

 

 東京ヤクルトスワローズ在籍時には投手コーチを務めていた智さんから僕は沢山、大切なことを教えていただきました。ちょっと怖い智さんですが、選手達への愛情が凄いんですよ(笑)。そんな智さんと富山GRNサンダーバーズを応援するバスツアーが発表されたと聞きました。是非とも皆様にご参加頂きたいので今回ご紹介するエピソード(智さんへの愛情が深まるはず!)が参考になれば嬉しいです。


智さんとの練習でストレートが蘇った


 僕の中で一番印象的なエピソードを、まず紹介します。智さんは僕のストレートを蘇らせてくれた恩人です。2010年のキャンプ、僕は前年の顎の骨折もあって、不振を取り戻さなければ翌年以降の契約が危うい状況でした。パフォーマンスも最悪で、僕のストレートは150kmから140kmそこそこまで落ち込んでいました…。しかし、智さんに個別練習をつけてもらうことで、失ったストレートの球威を取り戻すことに成功しました。

 

 個別練習では、バトミントンのラケットを振るトレーニングを行いました。あの当時の僕はガムシャラに腕を振り抜いていたのですが、思うような結果に繋がらず…。ボールに力を伝えることができないでいました。そこでラケットを振るトレーニングを実施した結果、「安定したリリース」と「スナップを上手に効かせる感覚」を手に入れることができましたこの練習があったからこそ、球に力を伝える感覚を修正することができました。

 

 最後の仕上げも非常にユニークで、「誰でもいいからメジャーリーガーのマネをして投げてみろ」と指示を受けました。そこで言われたとおり、適当に目に入ったメジャーリーガーのフォームを真似して投げてみたら、僕のストレートが150kmまで戻りました…!ピッチングメカニクスが元に戻って、以前のように力のあるストレートを投げられるようになりました。

 

 2010年、ストレートの球威が蘇った事もあって開幕一軍スタートができたし、さらに中継ぎの一員としてチームの勝利のために貢献することができました。智さんからの指導がなかったら僕はもっと早くにプロの世界から引退することになっていたでしょうね。

 

智さんは生きる教科書

 

 先述のストレートを修正してくれたエピソードからも伝わるかと思いますが、智さんは理論派なので1つ1つの指導が的確です。智さん自身も高い投球技術を持っているため実演付きで本当に分かりやすい!

 

 良い例が、僕がツーシームを習得しようとしていた時です。智さんにツーシームを投げてもらって、勉強させてもらいましたよ。キャッチボールの時に頼めば、気前よく投げてくれましたからね。ボールの握り方も見せてくれましたし、投げる感覚のアドバイスも含めて大いに勉強させていただきました。

 

 一般的な智さんのイメージって、「良く制球された速球」と「消えるように曲がる高速スライダー」のコンビネーションですよね。実は智さんはどんな変化球でも投げることができます!カーブ、フォーク、シュート、ツーシーム、ナックル…おそらく投げられない球はないでしょう。智さんは正に生きる教科書という言葉がよく似合う投手コーチでした。

 

 もしも応援バスツアーの試合観戦が雨天によりキャッチボール会になったら、智さんに色々な変化球をリクエストしてみてください(笑)。

 

選手とのコミュニケーションを大切にする

 

 智さんは指導を行う上で、選手とのコミュニケーションをとても大切にされていました。選手それぞれに合わせた適切な指導方法を、コミュニケーションの中から探ります。僕のストレートを蘇らせてくれた際は、僕が理解しやすい言葉、理解しやすい方法で導いてくれました。

  

 印象的なのが林昌勇(イム・チャンヨン)が在籍していた時で、智さんは彼のために韓国語を勉強しましたよ。トニー(バーネット)とも英語で積極的に会話したり…。少しでも相手を理解しようとする姿勢が素晴らしい。

   

 今では僕も、智さんと同じ指導者。生徒たちに接する際、智さんのコミュニケーションを大切にする姿勢をお手本にしています。

 

選手達の状態を適切に管理し、高みを目指す

 

 ブルペンでも常に、選手のことを考えてくれていました。中継ぎ投手達が「肩を作った回数」「試合で投げた球数」全てをしっかりと記録されていました。少しでも良い状態で投げることができるように、そして怪我を防ぐために細かい管理を徹底していました。おそらく、御自身も怪我で悩んだ経験があるからこその配慮なのでしょうね…。

 

 投球結果を含めた調整も巧みでした。やっぱり投手ってどんなに良い球を投げることができれても、失点してしまうときがあります。それでも良い球を投げれていれば褒めてくれました。逆に失投してもマグレで0点に抑えられる事もあって、そういうときは「ちょっと調整しようか」と常に高みを目指すためのヒントをくれました。

 

怪我予防のヒントも頂けた

 

 実は僕も智さんと同じ、ルーズショルダーだったんです。発症したのは僕の初年度の2007年。智さんがまだ二軍で投手コーチを務められていた時です。故障が判明していた際に肩を痛めないためのピッチングメカニクスや、トレーニングのアドバイスを沢山いただけたからこそ、復帰に向けて頑張ることができました。

 

富山GNRサンダーバーズを応援してください!

 

 少しでも智さんの魅力を伝えることができたでしょうか?智さんが指揮する富山GNRサンダーバーズを応援してください!智さんは確かな指導能力をお持ちですし、きっと素晴らしいチームに仕上げているはずです。練習見学などの特別な催しがあるそうなので、是非近くで智さんの人柄にも触れてください!


高速スライダー号応援バスツアー ~下道では低速ですけどなにか~

(1)出発日:2018 年 6 月2日(土)~2018 年6月3日 ≪1泊2日≫
(2)人 員:最少催行人員 30 名様以上
(3)添乗員:同行致しません。
(4)旅行料金:お一人様あたり
1名1室 36,500円
2名1室 35,500円
※往復交通費、宿泊代(朝食2、夕食1)、野球観戦料金、記念グッズ、SPA 入浴代込
(5)スケジュール、実施イベント内容などは下記URLをご確認ください

語り手・総監修:増渕竜義

聞き手・原稿作成・写真撮影:小林ヒデタカ


いただいたご支援は、僕のスクールでの野球道具等に当てさせて頂きます。