アンティーク着物とは何ぞや?特徴と見分け方。

アンティーク着物とは?
よくお店なんかに行くと、アンティーク、リサイクル着物と看板に書いてあることが多いですよね。まあ、着られない着物を買い取って、安く売っている着物屋さんの事をそういうんですが、では、アンティーク着物と、リサイクル着物とはどう違うんだと聞くと、答えはあまりはっきりしないことが多いです。其れで、戸惑ってしまうこともありますよね。

それでは、アンティーク着物とは何ぞや?と特徴を見てみましょう。

目次

1、まずリサイクル着物との違い

2、アンティーク着物にある三つの特徴。

3、まとめ

1、まずリサイクル着物との違い

かいつまんで言うと、リサイクル着物とは、第二次世界大戦よりあとに、作られた着物の事を指します。多い年代は、昭和30年から、40年代に使われたものが多いです。理由は、親や親戚の使っていたもので、要らない着物を買い取ってもらって商売することが多いからです。昭和の後半から、平成にかけて作られた着物は現代着物と呼びます。近頃は、現代着物でさえももういらないからといって、リサイクルショップに持ち込まれる例が後を絶たないのが、問題になっています。そうじゃなくて、せっかくの着物なんですから取っておいてほしいなあ。
で、ここで本題。アンティーク着物とは何だという問いかけに対して、定義的には、次のような答えが教科書的な答えです。まあ、模範解答かな。
「アンティーク着物とは、大正末期から、昭和初頭にかけて作られた着物のうち、特に状態がよいもの。」
ポイントになるのは、第二次世界大戦勃発の前に作られたという事。
それだけ古い着物という訳です。
ですが、今の現代着物に比べると、華やかで派手で、一見すると西洋の柄を真似したのではないかと思われるような柄も平気で使っているという特徴があります。縁起の悪いとされている桜の柄を平気で使ってみたり、トランプのマークを入れてみたりとか。そういう吉祥文様に限らない、面白い柄付きが、人気の的になっているようです。
これは、作られた時代が、大正ロマンとか、昭和モダンなどの風潮で、海外の柄を積極的にまねようとする、いわゆる西洋かぶれの人が多いという時代だったためです。それが第二次世界大戦勃発により、敵国の柄を真似するなというお触れが出たため、そのような柄の着物は作れなくなってしまい、アンティーク着物の特徴を持った、西洋柄をまねたような着物は、二度と生産されなくなりました。戦後もGHQの指導などで、着物はぜいたく品に代わってしまったので、戦前のスタイルに戻ることはなく、古典的な着物ばかりが作られるようになったというわけ。
もし、戦争がなかったら、日本の着物というのは、もうちょっとかわいかったかもしれないと考えると、やっぱり戦争はしてはいけないんだなと思います。
少々脱線しましたが、もとに戻りましょう。
もう一度言いますが、アンティーク着物という名称より、戦前に作られた着物というほうが重要です。では、その戦前に作られた着物とは、どれがそうなのでしょうか。戦後に作られた現代着物に比べると、次のような特徴があります。

2、アンティーク着物の三つの特徴

1、裏地(胴裏)が赤い
戦前に作られた着物は、袷であれば必ず胴裏が赤くなっています。
これはなぜかというと、女性の体を冷やさないようにするため、紅絹という素材が多く使われていたんです。例えば、裾の部分の八掛(裾廻しともいいますが)や、袖の裏についている八掛が赤くても、胴裏が赤でなければアンティークとは言いません。そういうものは戦後に作られたもので、たまたま赤い布を使っていたのだと思われます。逆に八掛が赤でなくても、胴裏が赤いようであれば、アンティークとみなされます。
2、共衿が短い
基本的に、現代着物の共衿(かけ衿とも言う)は、帯に隠して着用するか、中には衣紋を大幅に抜いて、見せてしまう方もいますよね。まあ、どちらにするかは、現代では自由です。
戦前に作られた着物であれば、それが、すべて見せるように作られています。つまり、上前も下前も共衿は見えるという訳です。なので、アンティーク着物の場合は、大いに共衿を出してしまって結構なのです。ちなみに私は、アンティークであれ現代であれ、共衿は出した方が好みです。
3、袖のつけ位置が高い。
アンティーク着物の場合、身八つ口が長く、袖付け位置が高いという特徴もあります。なので、現代に作られた長襦袢を着ると、長襦袢がもろに見えてしまいます。こうなると恥ずかしいので、アンティーク着物を着るときは、おなじような特徴がある長襦袢を着ると安心かも。戦前に作られた長襦袢も運が良ければ手に入りいますので。ただし、専用はなかなか手に入らないのも又事実なので、わざと派手な長襦袢を着て、見せてしまう人もたくさんいます。

3、まとめ

・リサイクル着物とは、戦後に作られたものを買い取って、安く売っている商売。親が持っていたとか、嫁入り道具に持ってきたなどの着物を販売している。

・アンティーク着物は、大正末期から、昭和の初め頃作られた着物のことで、胴裏が赤い、共衿が短い、袖のつけ位置が高いという特徴がある。

如何でしたでしょうか。この三つの特徴だけ抑えておけば、アンティーク着物探しがちょっと楽になるかと思います。現代着物にはない柄つきのアンティーク着物は、本当にかわいらしくて楽しいものですよね。どうぞ、この三つを参考にしていただきまして、たのしい着物生活を送ってくださいませ!

拝読有難うございます。何かの参考にしてくだされば嬉しくもいます。