57日目 公園の 松を見上げる 片松葉

入院後初めての外出から一夜、夢と現実が少しごっちゃになる。病院で迎えた朝は、すっかり「いつもの朝」になった。昨日、わたしは本当に東京に行ったのだろうか。夢をみていただけなのか。それとも入院している今が夢?どこからが現実?

創外固定をはずした後の跡からばい菌が検出されたことで、洗浄はより一層丁寧になった。清潔にしておくことの重要さを知る。

日曜日の今日は、平日スケジュールとは異なり自分で時間をコーディネートしやすい。午後は病院の隣にある公園まで歩くことにした。片松葉でも歩ける距離が段々伸びている。歩くための筋肉や体力が少しずつ戻ってきたように感じる。どんどん歩こう。外は暑いので、長居せず、いつもの「渡り廊下の窓辺のソファ」で手首のリハビリをした。あまりベッドから離れていると、看護師さんが困るかもしれないので、引き上げる。退勤しようとしている同年代看護師さんグループとすれ違う。もう顔見知りで友人のような感覚だが、患者と看護師。退勤する人にどう挨拶すればいいのかと一瞬迷って「お疲れさまでした・・・?」と言うと、なんか変な空気になってお互い笑ってしまった。

お義父さんがお見舞いに来てくれた。会うたび回復をよろこんでくれる。大事な一人息子の相手が、屋根踏み抜くなんて思いもしなかったと思う。叱らずに、あたたかく私を迎え入れてくれている。ありがとうございます。


大河ドラマの高橋一生が放つ男前セリフによって、世の中の女性がしびれる、そんな一日が終わる。

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