44日目 外が近づいてきた

昨日のお祭りの動画を繰り返しみる。思わず笑ってしまうシーン、静かな病室で笑いを押し殺す。幸せな気分。

ベッド上で音楽を聴きながら、指ほぐし。朝の日課だ。10時30分頃救急の回診があり、気管切開したのどの穴の様子を確認した。まだ塞がらないのだ。チューブをはずして、もうすぐ2週間がたつ。そろそろ塞がってもいい頃なんだけれど・・・。先生方も「積極的にのどの穴を寄せていきます」と、特別なテープで穴をきゅっとよせてとめる。なんだか変な味?におい?水を飲むと、テープの接着剤の味が混じるような気がする。のどの穴は鼻の穴と似たような機能をもっているからだろうか。しばらくの我慢。

今日は祝日のため、いつもの平日スケジュールはない。でも、休日当番のPTさんが、私のところへ来てくれた。いつもの美人お姉さんではなく、今日はお兄さんだった。明日からの左足1/3荷重にむけて、感覚を確認するためだ。入院してから自分の体重を知らない。骨盤に創外固定をしているので、正しい体重がはかれない。おおよそ45kgだろうと仮定する。体重の1/3、15㎏を左足にかける訓練をする。訓練には体重計をつかう。左足を体重計にのせ、15㎏を超えないように体重を乗せる。かけすぎ注意で緊張する。車椅子への移乗を左足1/3荷重で練習してみる。気にし過ぎているせいか、本当に感じるのか、左の腰が少し痛い。それをPTさんに伝えると、今日はこれくらいにしておきましょう、無理せずに、と練習は終了した。

気分転換に「渡り廊下の窓辺のソファ」へいくと、別病棟の患者おじさんが座っていた。お仕事の話や怪我の話など、世間話をして別れる。

ベッドに戻って昼寝をする。身体を動かせる機会が増えたので、昼寝は重要だ。夫がお見舞いに来てくれた。頼んでいた下着(カップ付きのタンクトップ)を持ってきてくれた。入院して初めて、上半身の下着を着用。病衣の胸元がはだけないようにテープで押さえていたが、その必要がなくなり、安心して過ごせるようになった。

車椅子を押してもらって、ちょっと遠くの売店に連れて行ってもらう。お店に行くのもなんと久しぶりのことか。お菓子、本、雑貨、入院に必要なもの、いろいろ揃っていて、特にパンがおいしそう。

売店の帰りに病院の外に出る。暖かい風にユリの香。公園の松の木を見上げる。公園の池を眺める。あぁ、いい気分だ。

名残惜しいけれど、涼しい病院に戻る。


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