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歴史小説家☆宮城谷昌光さんの創作法を、僕らは真似ることはできるのだろうか?

宮城谷昌光さんといえば、「重耳」「楽毅」など、古代中国の偉人をテーマにした歴史小説家です。10年以上かけて完成させた、正史「三国史」全12巻圧巻です(全部読んでないけど)

そんな宮城谷さんの創作方法がちょっと変わっているので紹介します。

その創作方法について「三国志読本」という本からの抜粋しますけど、この本がまあ凄いんです。

三国志の本にして三国志の本にあらず、宮城谷昌光氏の創作の秘密を垣間見れる本なんです。

三国志ちょっと苦手と思っていたら、絶対に手に取らない本なんですが、これは作家を志す人にとっては貴重本ではないでしょうか。
ロングインタビューと著名人達との対談で構成されています。

登場する対談者も、水上勉さ、井上ひさし、宮部みゆき、五木寛之、吉川晃司など豪華な顔ぶれです。

まずは、その創作法の核心に迫る前に、宮城谷さんの作家としての一日のスケジュールを語っているところがありますので、そちらを紹介します。
これも、かなり具体的に話されていて、とても参考になります。

ではどうぞ!

「私はいま、五つの仕事を同時進行してやっています。現在の一日のスケジュールは、お昼頃に起きて、最初に「風は山河より」「小説新潮」連載中)を四百字詰め原稿用紙一・五枚、それが終わると二階に上がりまして、『管仲」「本の旅人」同)を一・五枚書きます。そして、夕方ぎりぎりに、全集の各巻末につける書き下ろし「春秋名臣列伝」をO・五枚。それで食事になりまして、ニュース、天気予報を見てから、毎日新聞連載中の「香乱記』にとりかかります。これ二・五枚。それから、夜のスポーツニュースで好きな中日チームの勝敗の確認をします。勝っているとね、ちょっとニュースの時間に取られるんです。負けると、すぐ『三国志』(「文藝春秋」同)のほうに行きますら、どっちがいいのかよくわかりませんけど、これは心の張りですから(笑)。それから深夜まで、『三国志』を一・五枚書きます。
この一日計七・五枚というのは、私にとって、次の日にきれいに、体力をあまり消耗しないようにつながっていく枚数なんです。それ以上書くとバランスが崩れるし、それ だと翌日足りない分だけ補わなければならないからしわ寄せがくる。何だ、七枚半書くだけかと思われるかもしれないけれども、二か月、六十日続けたとすると、一冊の単行本ができてしまう枚数なんです。」 三国志読本P8より抜粋

どうです?プロの作家の一日です。

2002年当時の宮城谷さんの状況ですが、ずっと同じペースで仕事をしておられると思います。
安定的に一日7.5枚書いていくんですね。
そして、ひとつひとつの仕事はとても少ないです。

注目してもらいたいのは、5つの仕事を同時進行しているということなんです。

これが普通できないです。

僕も3つ以上になると、一日のなかで切りかえがなかなか出来ないです。
たとえば、幸福についての本を書いてから、結界の本を書くと、切り替えするのに時間がかかるのです。

宮城谷さんは5つの仕事を切りかえているわけです。
しかも、枚数を決めているわけです。
文章が走り出して調子が出ても、1.5枚と決めているからそこでやめるわけですから、創作をコントロールしているのですから、これはなかなかの秘技です。

そして、その5つの仕事をどのように切りかえているかについても、おしげもなくこの本で披露されているんですね。

まさに「創作秘法」というにふさわしい内容です。

真似するには、ちょっとハードルは高いですが、僕は応用しています。

応用はできると思います。

作品に対する取り組み方、姿勢が凄い学びになると思います。

ということで、これからいいところなんですが、続きはまたあしたです。

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