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大好きだったメルカリを退職しました

お約束(?)のツイートのとおり、メルカリを退職しました(2022年1月退社なので正確にはまだ有休期間)。

2016年4月から勤めたので、5年半ほど。長いようであっという間でした。

本当にいい会社で、いまだに大好きな会社です。
優秀でいい人たちに囲まれ幸せだったことはもちろんのこと、エンジニアリングしか知らなかった自分が、組織・経営戦略と幅広くチャレンジをできたのもメルカリのおかげでした。

この記事では、自分の記憶が薄まらないよう、過去の経験を残しておきます。誰得な記事ではありますが、メルカリはこういうチャレンジができる素敵な会社だと思って頂けると良いのではないかと。

ということで、振り返ってみます。

エンジニア期(2016年春~2018年夏)

入社理由については下記にまとめていますが、世界で戦っていること・優秀なエンジニアが多いことを主な理由としてメルカリに入社しました。

当時の社員数まだ300名ちょっとでしたが、採用面接ほぼ役員で、最後shintaroさんだったのはかなり驚きでした。ここまで採用に命かけているのかと。メルカリブラックホールと揶揄されることもありますが、採用に膨大なエネルギーをかけているからこそというのは、何年経った今でも感じています。

2022年6月期Q1決算説明会資料より

JP事業の規模はこれぐらい。入社当時は社員の9割以上がUSの開発をしていまして、それでも国内伸びているというのは圧倒的なPMFだったのだろうと。

2022年6月期Q1決算説明会資料より

そんなメルカリでUSの機能開発(主にエンゲージメント施策)をしていましたが、SETというチームが発足するということで、SETチームへ行くことに(といっても、僕含めて2名でした)。

メルカリにはローカル開発環境やQA環境があるのですが、そこをコードベースで作り直し、生産性・品質向上の仕組み作りをしていました。GCP、Kubernetes、Spinnaker、Goなど新しい技術スタックに触れながら、スピーディーに開発できるのはエンジニア冥利につきました。

多くの企業ではこういった環境整備が片手間になってしまっていたのですが、リソースを割り当て全社の生産性・品質を高める仕組み作りを当時からコストかけてやっていました。SET、SDETというポジションは国内ほとんど見られなかっただけに、今考えても最先端だったと思います。

また、当時セキュリティチームもなかったので、ホワイトボックス・ブラックボックステストなど、セキュリティを高めるための施策もやりました。事業の成長に伴い守りにも投資できるという点は本当に素晴らしいなと。

そんななか慣れない採用業務にもチャレンジし、こんな記事も書いたり。

当時は採用媒体使って何百通メッセージを送り、いまや当たり前となっているカジュアル面談などもしていました。自分なりの型もなく、ひたすら試行錯誤の日々でしんどかったなと笑

採用はある程度量がモノを言うと今なら理解してますが、そんなこと知らない上に、オファー承諾までリードタイムが必要なこともあり、結果が出ない数ヶ月のあいだは悩みしかなかったですね笑

結果的に何名も入社頂き、承諾もらった瞬間の感動は涙ものでした。

PMO期(2018年秋-2020年春)

この頃になると、大量採用に伴う「成長痛」が大きくなり、SETチーム内でのエンジニアリングというよりは、より広い範囲での課題解決が求められていきました。その結果、Engineering Office、その後PM Officeと呼ばれる横断型のチームに異動し、色々やることに。

想い出深いプロジェクトの1つ目がfuturistと呼ばれるものです。
以下でosariさんが話していますが、一言で言うと、社員数百名にインタビューし、経営課題をまとめ、経営陣ともに改善を進めるというものです。

社員数が爆増しているため、経営観点でも組織課題が捉えにくくなっていました。このプロジェクトはHDで始まり、その後メルカリJPでも着手することに。

JPのプロジェクトになってからジョインし、最終的にはJPのオーナーとして推進しました。

会社設立後何十年かしてやるならまだしも、まだ10年経ってないわけです。社員一人あたり1時間のインタビューを行い数百名やるのでコストもかかるし、経営的には色々耳に痛いことも出てくるわけです。それでも経営陣はやろうということで実行することになりました。

このような意思決定についても大胆だなと。当時eNPS下がっていた時期だったと記憶していますが、社員も経営陣もより良い方向に変えていきたいという思いがありました。

インタビューでは事前にそこそこな量の事前質問を用意したのですが、多くの社員がインタビュー前に回答してくださっていました。
メルカリが好きだけど、色々組織上の課題があって辛くなっている。だからこそ誠実に意見を述べて、より良くしていきたい。そんな思いで回答される方が多く、期待に応えなければと必死だったのを覚えています。
また、経営陣についても、インタビュー結果を一つ一つ目を通し(インタビュイーに合意の上匿名にして、経営陣にシェアしていた)、怒ることなくむしろ感謝の姿勢で課題に向き合っていました。

最終的に、主要課題とその対応案にまとめ、それぞれ実行していくことで改善が進みました。
futuristが主要因というわけではないですが、この頃から少しずつ会社の雰囲気も明るくなってきたように思い、関われたことを本当に誇りに思っています。


 また、開発プロセスも課題を抱えていました。

たとえば、開発プロセスについて組織レベルでPDCAが回せておらず、振り返りやデモもできていないチームが大半でした。

なので、組織レベルでプロセス改善行こうと判断し、自らそこにエネルギーを注いでいきました。
といっても、前職ではスクラムをちょっと触った程度で、しかもうまくいったのかよく分かっていない状態です。

ので、手当り次第情報を集め、どうもアジャイルコーチとなる存在がいることを知ります。

アジャイルコーチと過去契約しプロセス改善されていた経験者が社内にいたので話を伺い、メルカリでもアジャイルコーチと契約し、より洗練されたプロセスを目指していくことにしました。

また、僕自身もCSM、CSPOといった資格を取り、各種セレモニー(ミーティング)に参加し、改善できそうなところを、チームの方と一緒に改善していきました。

その頃の記事。

結果的に、チーム外のメンバーを招いて、スプリント内でデモができるようなチームも現れました。この頃から社員でもCSMなどを取るメンバーが増え、浸透が進んできました。

その後もアジャイルコーチの増員など色々着手はしていくのですが、異動に伴い、後任に引き継ぐことに。

数百名規模の組織でアジャイル開発のオーナーシップを持てたことは自分にとっても大きなチャレンジで、情熱を燃やせました。

他にも、初のMicroservices化移行プロジェクトなど、思い出深いプロジェクトが多いです。PMO時代はこういった1チームに囚われない、組織レベルの取り組みに多く携われ、いい経験となりました。

経営戦略期(2020年夏-2021年冬)

メルカリJPに留まらず経営により近いところでということを言い続けていたのですが、futuristのつながりで、HDの経営戦略室に声をかけて頂き異動しました。
※メルカリでは上長と週に1度、1on1するのですが、そこで言い続けるとチャンスが巡ってくることがあります。実現できるか分からないにせよ、否定せず話を聞いてくれるメルカリのカルチャーは本当に素晴らしいといまだに思っています

色々やったのですが、想い出深いのがまずRoadmapです。
以下でshujiさんがRoadmapを使った行動デザインについて触れていますが、メルカリではRoadmapと呼ばれる経営の仕組みがあります。

futuristでも上がっていた声として、OKR重視による短期偏重という課題がありました。そのため、より中長期のビジョンと道筋を示そうと始まったのがRoadmapです。

僕が異動する前からRoadmapはあったのですが、より本格的に経営の仕組みとして使っていこうとなったのがこの時期でした。

ということで、やったのが以下の2つ。

  • ① 経営会議のなかでRoadmapを用いたPDCAの定着

  • ② 翌年度に向け、よりワクワクしたRoadmapへのアップグレード

①については経営トップが集まる経営会議にてRoadmapの進捗を確認するルール作りを、②については各社のビジョン・戦略を読み解き、グループレベルでよりシャープでワクワクした表現へとアップグレードをしました。

そもそもRoadmap(会社によっては中計)って会社によって表現方法が全く異なります。ので、どれだけ調べても正解がないのです。本当にしんどい笑 しかもRoadmap本体の表現と、全社に発信行う際の表現も違うので、初めてのことばかりすぎて、日々苦しんでました笑

そのような中で、こうやったら経営会議の限られた時間でPDCA回せるだろう、こういう表現に変えていったら社員全員がワクワクするだろうと、自分の思いを込めていきました。

まだまだ浸透できる余地はあると思いますが、Roadmapを軸にした経営デザインに関しては一定の成果が出せたと思っています。

2021年4Qの決算説明会の資料動画を見ていただくのが良いと思います(Roadmapではありませんが)が、ワクワクする未来の世界はどういったものなのか、そのなかでグループ全体がどこに注力するのか、本当に思いを込められたプロジェクトになりました。

他に思い出深かったプロジェクトとしてはNewNormalのプロジェクトです。個人的にWell-beingなど、HRや働き方領域にも関心があったのですが、上長に声をかけて頂き、NewNormalプロジェクトのオーナーをすることに。

当時以下の取り組みが進んでいたのですが、HR・Workplace・セキュリティ・IT・その他多くの関係者がおりプロマネが複雑化していたため、状況を整理しつつ次の打ち手を考える必要がありました。

データを取ってみると帰属意識の低下やマネージメントの難しさが出ていたため、オンラインとオフラインのハイブリッドを推奨する形を取りました。
また、オフラインでの連携が足りないことで、チーム間の繋がりにも影響が出ると考え、つながりを促進するチャレンジなども全体で推進しました。

最終的にはHRの方にオーナーを引き継いだのですが、その後YOUR CHOICEが発信されているのを見ると、HRの方々は本当に優秀かつ、自分ではここまでできなかったと思い、尊敬しかありません。

この時期非常事態宣言にも何度も左右され、また他社さんも発信少ないなかで自分たちがどうしたいのか考える必要もあり、難易度非常に高かったのですが、プロジェクトに関わるメンバーが優秀すぎて、だいぶ助けられたプロジェクトでした。

ちなみに、この当時、上記のプロジェクトに加え、経営トップが集まる経営会議の書記(メルカリで言う書記はアジェンダ準備・当日の司会進行・タイムマネージメント・議事録などすべて行う)や、HDにワクワクを創出するソウゾウ会議のオーナーなど、かなりの業務をやってました笑

大変ではありましたが、これらに関われて本当に幸せだったと感じています。メルカリという過去類を見ない会社を創ってきた経営陣と議論を交わし、大きな判断を行う。それだけプレッシャーも多いですが、望んでもなかなか経験できないチャレンジのため、感謝しかないです。

経営戦略室最近少しずつ人は増えていますが、まだまだ募集してますので、良かったら応募ください!カジュアルに話を聞きたい場合も繋げますので、気軽におっしゃってください!


最後の想い出深いプロジェクトはpoimoです。

メルカリにはR4Dと呼ばれる研究開発の組織があるのですが、そこで生まれたのがpoimoでした。

poimoは、空気で膨らませることができ、シチュエーションに合わせて様々な形状に安価に成型できる新たなモビリティでした。ベイマックスのような乗り物といったほうが正解かもしれません。

様々なメディアにも取り上げられ注目浴びており、僕としても新規事業の経験を増やしたかったので、事業化を目指して関わらせていただくことになりました。

といっても、プロダクトアウトな状態のため、顧客の開拓から始め、ビザスクを使ったり、人に繋いで頂くなどBizdev的な動きもここで初めて経験しました。

R4Dのメンバーと日々議論しながら、次の打ち手を考え、実証実験と銘打って顧客視点の取り組みを進められたのも良かったです。

実証実験進めていますので、読者の方のなかで、うちのエリアでぜひ走らせてもいいよという方いらっしゃいましたら、是非R4Dまでご連絡ください。
顧客とともに、実証実験進められるとpoimoメンバー大喜びしますので。

こんな感じで、経営戦略室では、山程のプロジェクトに関わらせていただきました。HDというグループ全体に関われるチャンスを頂けたおかげで、プロダクトという視点のみならず、経営という観点で会社を見ることもできるようになったのは、大きな財産となりました。

終わりに

まだまだ書ききれないほど色んなプロジェクトに関わった5年半でしたが、エンジニアに過ぎなかった自分にここまで大きなチャレンジをさせてくださったのは感謝しかありません。

また、本当にみな優秀で、しかも人が優しく、こんないい会社なかなかないと思っています。メルカリで働けて良かったと心から思いますし、本当に本当に大好きな会社でした。

そんなメルカリを辞めるのですが、次は起業にチャレンジすることにします。

ここまでメルカリで培った経験を活かし、社会貢献に繋がる事業、そしてその実現のための組織を作ってみることにしました。

だいぶ長い記事になってしまったので、詳細は年明けにnoteに書きますので、ぜひ応援頂けると嬉しいです。

2022/1/6追記: 詳細書きました!

ということで、本当にいい経験をさせていただきました。メルカリの方々本当にありがとうございました!

お約束の場所で最後に


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