増田早希|Saki Masuda

増田早希|Saki Masuda

最近の記事

過去の執筆、登壇、インタビューまとめ|増田早希

この一年の活動を中心にこれまで個人で書いた記事や登壇イベント、インタビューなどをまとめました。実はいろいろやっていたんだな……! 仕事のご相談等ございましたらSNS等でご連絡ください。 ▼執筆『フィガロ・ジャポン』記事(2022/10) 「自分に向き合う方法」をテーマにカウンセリング、コーチング、ジャーナリングの使い分けに関する記事を書きました。 『喜劇 老後の資金がありません』コラム(2023/2) 2023年2月松竹南座で公開の舞台『喜劇 老後の資金がありません』

    • 異常の証明

      旅する中で日焼けして思い出したのは、自分の肌を見ると点々が浮かんでて、つまむと中にカエルの卵みたいな小さい球がたくさんあることだ。小さいとき私はこれがいやだった。自分が普通でない印だと思った。 足の親指の皮が剥けやすいのもいやだった。プールに入ると皮が剥けて、どんどんどんどん剥いていくと皮膚の奥の奥の肉まで見えてきそうで一回えぐったらもとに戻らない気がして、こわかった。 ほかの子の足の裏はつるつるしていたのでこれも自分がおかしい印だと思った。 ぶくぶくざらざら点々えぐれ。

      • 逃れがたいA

        私はたぶんずれてて、愛されるためにはもっと光らないともっと実績を積まないととやたら勢いよく走ってみたりするけど、ご立派だからといって愛されるわけではなく自分本体との乖離が進行しより惨めになるのだった。 汚くてもみっともなくても愛されている人を見たときの私の嫉妬といったらない。フケが溜まりまくった白髪混じりの剛毛黒髪ロング脂ギトギト眼鏡で小太りの女性が彼氏に愛されて大変で大変でという話をしたとき私の目に宿ったのは殺意だったし、美しくないカップルが互いしか見えないという顔つき、

        • 町の名物おばさん

          ただ「いる」ことができない人たち、家や会社、特定の場所に存在することを許されず彷徨う人たちが町の名物おばさん、おじさんになるのではないだろうか。 公共の、通り道で停滞し、行き場なく歩き、「あ、100円だ、安い」と声に出したのち自販機でジュースを買い、ジョナサンで3.4人分も注文をしてドリンクバーのアイスコーヒーをこぼしてしまうような。 どこにもいられない人、社会からあぶれて、はないちもんめで誰からものぞまれずただ一人残ってしまったような人々が町の名物になるのではないか。 た

        過去の執筆、登壇、インタビューまとめ|増田早希

          わたしと生活クラブしてくれますか?

          無住所生活の記録(毎日つけているスプレッドシート)より引用。 図書館でブレイディみかこさんの新刊本を読みたいという気持ち、他人の物語に身をうずめたい気持ちが本当に久しぶりに湧いてきて近くの図書館に行くことに決めた。図書館に入って一番にブレイディみかこさんの新刊『両手にトカレフ』が目に入り手にとった。嗜癖と連続性がテーマの本で自分の話みたいに入ってきた。 なぜか一番ビシビシきたのは、中産階級のイケてる少年が主人公のミア、劣悪な環境で生きている少女の感性を「きみだけが本当だ(

          わたしと生活クラブしてくれますか?

          「つまるところインプットとアウトプットのバランスだと思うんですよね」(※主にうんこの話です)

          部屋を変えてもらったらすごくよく寝られた。不思議なベッド(支柱が四隅にない)から布団に変わって平になったから&冷房が室内設置で心地よい気温を維持できたからだろう。 ひとりBTS体操から始まる朝朝起きて顔洗って歯磨きしたあとすぐにBTS体操とラジオ体操(高知の画楽、アート系の福祉作業所でメンバーの人たちが全員朝の9時から踊るのが清々しくて楽しくて、私は一人の生活でも導入することを決めた)をしている途中、時計を見たら10:02とかでジョナサンのモーニングに行こうと思い立つ。

          「つまるところインプットとアウトプットのバランスだと思うんですよね」(※主にうんこの話です)

          「いま心地いい?それとも窮屈?」ADDress生活【DAY15/愛媛】

          フェリー内で購入した鮭おにぎりを有無を言わさずチンされて「なぜ?」と思っていたら冷凍だった。冷凍おにぎりを袋から出すのに熱すぎて故・上島竜兵と寸分違わぬ動きをする。 キラキラの代償昨日も私は過度にエネルギッシュで魅力的だった。別府プロジェクトというアート系のNPOにアポイントなしで飛び込んで、手持ちのキラキラしたカードをチラつかせながら自分を売り込んだ。 私ってほんとうにこういうこと得意だなあと思ったけど、それはエネルギーの前借りだ。一日たくさんの人と会って話して、いろん

          「いま心地いい?それとも窮屈?」ADDress生活【DAY15/愛媛】

          断ち切れ、ハッシュタグ相撲。ADDress生活【DAY14/別府】

          ADDressで横の定住民?がおしゃれな感じの女性で、話していたら別府で起業している人だった。もともと広告代理店勤務&マーケティング職だったそうで、自分と背景が似ている気がして名前を聞いた。「●●です」と彼女は答えたが私に名前は聞かなかった。 こういう小さいことでつらくなる。超、超どうでもいいことなのに自分からボールを小さく放ってそれが返ってこないと苦しくなるし、こういうとき気を抜くと、ハッシュタグをチラつかせて人に好いてもらおうとする自分が嫌いな自分が出てくる。 私のこ

          断ち切れ、ハッシュタグ相撲。ADDress生活【DAY14/別府】

          唯一の欲望。ADDress生活【DAY13/熊本】

          朝予定していたよりも30分早く目が覚めてしまい、風呂に入ってから支度をした。朝食会場に向かうと昨夜と同じ60代の夫婦がいて「あ、しまった」と思う。 どうしようもなくこわいもの私はもうどうしようもなく自分に恋愛的な期待を向けてくる50−60代男性がこわいのと同じに、高所得で選民思想が強い50−60代の夫婦の会話が耳に入ってくるだけで普通でいられなくなる。 田舎の電車やADDressの家で耳に入ってくる会話や声は気にならなくてむしろ心地いいのに、彼らの声が頭の中に入ってくるとそ

          唯一の欲望。ADDress生活【DAY13/熊本】

          いつも、すこし遅い。ADDress生活【DAY12】

          朝起きて洗濯。コインランドリーは難しくて30分で洗濯が終わり、脱水が終わった衣類を乾燥機に放り込まなくてはいけない。だらだらしてシャワーびゃっと浴びてメイクして戻って、乾燥機に服を入れて目安時間がまるでわからずどうしようか3分突っ立って迷った末、規定分数の2倍の60分かけた。 「だからあなたも、私を好きになるべきなんです」二日前の暴飲暴食で昨日はお腹が減らず1日何も食べなかったので、いい感じに腹が減っていた。朝マックとかありなのでは?と思ったが、セブンで高菜おにぎりとサラダ

          いつも、すこし遅い。ADDress生活【DAY12】

          運営スタッフAと元カレ殺し。ADDress生活【DAY11】

          都農の街づくりイベントで受付&体温測定イベントの運営補助をして、資料を設置したり受付で体温を測って誘導したりした「こんにちは。はじめに検温させていただきます!」と言うと皆さん額を出してくれた。東京だと手首で測ることが多いので宮崎ではおでこなんだと新鮮だった。60人分のでこに向けてピストル型の体温計を押した。 大学時代のサークル(ビジネスコンテストの企画運営をする学生団体)に始まり人生でイベント運営した回数はだいぶ多いけど、あるときから企画や登壇に切り替わっていたので純粋なス

          運営スタッフAと元カレ殺し。ADDress生活【DAY11】

          自由になれた「気がした」と豊は言う。ADDress生活【DAY10】

          諸事情、私にとってはすごく大きくてショックな諸事情があり3日泊まる予定だった日南を1日で出て都農に帰還した。 都農駅に着いたら家に着いたみたいな安心感があった。二度目の訪問なのにおかしい。ドミトリーに荷物を置くと自転車で道の駅まで走って、ナスと小さいピーマンときゅうりと大葉を買った。 道の駅のあとはトライフルという24時間営業のスーパーに寄って、豆腐や納豆を購入。私がいなくなったあと宿で使ってもらえたらとめんつゆも買った。私は自分のものを人に共有する精神が壊滅的に欠けている

          自由になれた「気がした」と豊は言う。ADDress生活【DAY10】

          そう簡単に解脱しない。ADDress生活【DAY9】

          都農最終日。朝光が眩しすぎて7時に起きてすぐコーヒーをいれて、あまった空芯菜をおひたしにして豆腐にかけて食べる。空芯菜と聞くとニンニク炒めにしないといけないような気になったが、朝からニンニクは食べたくないという自分の感情を優先できた。ちいさく、ちいさく自分の感情の優先順位を高めている。 手料理を食べてもらえるうれしさ都農での体験は本当によかった。ADDress家守でHOSTEL ALAのPMのえいじさんはすごくよい人間だった。えいじさんが私の話を聞いてくれて決しておいしくは

          そう簡単に解脱しない。ADDress生活【DAY9】

          土地とまぐわい。ADDress生活【DAY8】

          Facebookに家なくしたよ投稿をしたらいろんな人から反応をもらって混乱してSNSづけみたいな1日になってしまった。私は刺激に弱くていちいち人からのボールに過剰に反応するし、それを自分への評価ととらえてしまう。インターネットをなくして電話だけにしたほうがいいのではないかとさえ思う。 都農で見つけた好きなこと雨で部屋の中にいると気が滅入ったが濡れながら自転車に乗って近場をまわっているだけで自然と笑顔になってしまった。外が好きで移動が好きで風が好きで空気ににおいがあるのが好き

          土地とまぐわい。ADDress生活【DAY8】

          草刈りと継続。ADDress生活【DAY7】

          人生初草刈り。ジャージを借りてダイソーで買ったメンズの靴下をふくらはぎまで引き上げて、首には松本のスーパー銭湯のタオルを巻いて、上着だけアニエスべーというわけわからんダサい格好で鎌を持つ。 人生初草刈り。不思議と虫が気にならない数時間前は蜘蛛の巣がこわすぎてせっかく行った瀧神社手前で引き返したのに虫が大量についた草木をばんばん刈っていく自分がおもしろかった。無心になれると聞いていて、一定考えなくてよかったのだがそれでもちょっと考えてしまって、こんなに太く茎を伸ばしたのに私の

          草刈りと継続。ADDress生活【DAY7】

          イヤホンなしでいられる世界。ADDress生活【DAY6】

          長野に行っておもしろかったのは、イヤホンをせずにいられたことだ。 私は東京ではいつもイヤホンで音楽を聴いている。特に音楽ラバーということもなく、耳から入ってくる情報に耐えられなくて外の世界と自分の間に線を引くために電車やカフェ、道路でもずっと耳にイヤホンを突っ込んでいる。 でも、新宿のバスタから高速バスに乗って上諏訪に着いて上諏訪から松本に向かうローカル電車の中でイヤホンをせずに存在できている自分を発見してびっくりした。 これは西八王子まで数日間続いて、でも八王子駅で行列した

          イヤホンなしでいられる世界。ADDress生活【DAY6】