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"信念を元に作る"のか、"顧客が必要とするものを作る"のか

スタートアップの多くは、創業者が「こんなものが欲しい」とか「こう言うものが世の中にはあるべきだ」と言う信念を主軸にプロダクトや事業が作られていきます。(以下、主観型
PhotoShareやミイル、トレタなんかは、それぞれのプロダクトオーナーが「こうあるべき」と思うものを「どうやって形にするのか」という挑戦をしてきました。

もう一つの作り方に「顧客が必要とするものを作る」と言う方法があります。
顧客からの要望を元にしたり、観察をして「顧客にとって価値のあるもの」を探してそれを作ります。信念より外部から客観的に顧客を観察し、「課題」をどう明確にするのか、そこは「ビジネスになるのか」と言うことが主軸となります。(以下、客観型
最近では、SmartHR社の宮田社長がインタビューの中で「『自分が』ほしいと思うものだけを作り続けてしまっていた。事業開発の仕方を変え、SmartHRが軌道に乗り始めて」と言うようにユーザニーズを元に開発を行ったと言っています。

■ "何を作るか"を自己完結できる主観型

先に書いたように多くのスタートアップは主観型で始まりますが、事業規模はその信念が届く範囲に依存します。そしてその規模はたいていの場合、企業の目標に十分ではありません。

主観型のプロダクトは「顧客がどうなるべきなのか」をプロダクトオーナーが主体的に考えます。顧客が短期的に反対しても意に介しませんし、顧客のことは本人よりもよくわかっていると考えています。プロダクトオーナーはその業界に非常に詳しいので、リサーチの必要もなく、全てが自分の中だけで完結し、キレイなプロダクトが出来上がります。

■ 観察して"何を作るか"決める客観型

それに対して客観型は、自分の中にその業界の地図を持っていません。なのでまずは顧客にヒアリングに行ったり、すでに受け取っている要望を確認します。そしてその中に優先度をつけて、対応していくことになります。

もちろんそのヒアリングや調査にもクリエイティビティは必要ですし、その課題を解決するのもクリエイティビティです。しかし、その種類は主観型が発揮しているものとは少し違います。

顧客課題、プロダクトの純度、事業のバランスを取る感覚こそが客観型のクリエイティビティであり真骨頂です。

この時、主観型のプロダクトオーナーから見れば、課題を自分で考えないで顧客依存をし、無駄な時間を費やしているように見えるでしょう。また、顧客の要望は一貫性がないため、要望を起点に考えていくとプロダクトの純粋性が失われていきます。 

■ クーポンはニュースなのか?

参考: 開始1カ月で1億PV スマニュー「クーポンチャンネル」が生まれた理由 - ITmedia ビジネスオンライン

去年、スマートニュースがクーポン配布を始めましたが、もともと「ニュース」を扱うアプリに、全然違う「クーポン」を入れることには相当な抵抗があったと思います。このような決定を主観型のプロダクトオーナーが行うのは相当難しいはずです。

プロダクトにとってどちらがいいのかはわかりませんが、スマートニュースはこの施策でユーザ数を伸ばしたようです。中の人に聞いたところ、クーポンを導入するにあたってはユーザやマーケットの分析はかなり詳しくやって、その上での決定だそうです。

このような決定をできたスマートニュースはビジネスとして強い会社だなと思います。

ビジネスを大きくしていくと、多くの場合、主観型で始めたプロダクトもどこかで客観型に変えていく必要があります。

これはSmartHRやSlackにようにプロダクトをガラリと変えるpivotの場合もあれば、スマーニュースの様にプロダクトをグロースさせていく場合もあります。

■ 顧客を知る方法

客観型のプロダクトオーナーは、どれだけ顧客や市場のことを俯瞰して理解できるのかが生命線です。最近、この辺の課題感が自分の中で強くなり、今マーケティングリサーチの勉強をしています。

田所さんの「スタートアップの失敗を90%減らす10のポイント」の中で「できるだけ多くの一次情報を集める!」と書かれていますが、主観型にとって一次情報は自分自身とその周辺です。しかし客観型にとってはヒアリングが全てです。

調査会社を使った広域なリサーチから、一人に詳しく聞くデプスインタビューまで様々な手法でユーザの情報を集めるといえば、マーケティングリサーチを学ぶことからかなと思っています。

特にこの辺のプロダクトの方向性の転換の話を色々聞きたいので、「ここがうまく行ったらしい」とか「うちはうまく行ってない」と言う話があれば、FB messengerTwitterでメッセージ頂けると嬉しいです。
私の方でも色々勉強していることがあるので、有意義な情報交換ができると思います

■ 参考記事
デザイン思考を反対側から見て気づいたこと:突破するデザイン|ジマタロ
「意味のイノベーション」 TEDxプレゼンの日本語訳|渡邉康太郎 / Takram
『起業の科学』著者が語る、”プロダクトミーフィット”型の人が成功しないワケ
起業の科学 | 田所 雅之 | ビジネス・経済 | Kindleストア
スタートアップの失敗を90%減らす10のポイント