見出し画像

マイナー民話『タカキビの根はなぜ赤い』

都市伝説が好きで、各地を巡って伝説を集めているうちに、地方固有のマイナーな民話や伝承を『誰もみんわ』と名付けて集めることが趣味になってきました。中には「何を教訓にすればいいんだろう?」と謎が残る民話も数多くあります。
今日紹介する『誰もみんわ』はこちら。

タカキビの根はなぜ赤い 
『新編日本の民話 愛媛県』より

理系の香りただようタイトルですがその内容たるやなかなかぶっ飛んでいます。
記述をかいつまんで説明します。

あるところにおじいさんとおばあさんと娘がいました。おじいさんはある日胸騒ぎがして娘に「アマノジャクがいるから用心しろ」と言います。
おじいさんおばあさんの留守中にアマノジャクがやってきて娘に「指が入る分だけ戸を開けてください」と言うので娘は「指だけなら」と戸を少し開けます。するとアマノジャクは「頭が入る分だけ戸を開けてください」と言うので娘は「頭だけなら」と戸を少し開けます。するとアマノジャクは「体が入る分だけ戸を開けてください」と言うので娘は「体だけなら」と戸を開けます。
家に入ったアマノジャクは、裏の畑の柿の木に上って柿を取ろうと娘を誘い出します。
アマノジャクは足に爪が生えているから木に登れます。娘は着物が邪魔で登れないので着物を脱いで裸で木に登ります。
するとアマノジャクは娘の着物を盗んで娘に化けて、娘を木に縛り付けて家でおじいさんおばあさんを待ち伏せます。
しかし声が違うことに気づいたおじいさんが侍に頼んでアマノジャクをタカキビ畑に追い込み、斬り殺させます。
タカキビ畑はアマノジャクの血に染まり、それ以来タカキビの根っこは赤くなったそうです。

言いたいこといっぱいあるわ笑

まず、『胸騒ぎ』だけでアマノジャクの襲来をピンポイントで予測したおじいさんの勘の鋭さジェダイ並み!さぞいろんな修羅場を潜ってきたのでしょう。
あとアマノジャクの「体が入る分だけ戸を開けてください」というバカ要求に対して「体だけなら」と開けてしまう娘。「体だけなら」じゃないよ!「体」が入ったらすべてだから!アマノジャクもダメ元で言ってみたら要求が通って驚いていたことでしょう。
その後、木に登りたいが故に自主的に着物を脱いでしまう娘…正直この物語はアマノジャクではなく娘に原因があると思います。ここで娘が着物脱がなかったらアマノジャクはどういうプランでおじいさんの家で待ち構えていたのでしょう?
あとめっちゃ細かいけど「アマノジャクは足に爪が生えていた」から木に登れたとわざわざ書いてあるのに、娘は着物を脱いだだけで木に登れています。娘の素足のポテンシャルはアマノジャクを凌駕していることが示唆されています。
で最後の突然のタカキビの根っこが赤いメカニズム。この話の教訓は植物のしくみにあるのでしょうか。
気になったのでタカキビの根について検索してみました。これです。

いや言うほど赤くない!!
民話の奥は深い…

#都市伝説 #民話 #怪談 #妖怪 #伝承 #昔話

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?