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0-2 読者から考える出版方法

 本を自分の資産として出版し、できればその売り上げやロイヤリティで現役引退後の収入源の一部にあててみてはどうか、と思ったとき、「そもそもどうやって本を出すのか?」の壁にぶつかるでしょう。

 まさにこのマガジンのタイトル「本を出したい! じゃあ、どうする?」ということです。

「読者」から考えてみてはいかがでしょうか、と提案します。

読者がいる場合

 読者がいるときは、その数で考えていきましょう。
 読者とは、みなさんの本を読んでくれる人たちのこと。なおかつ、購入してくれる見込みのある人たちです。タダでプレゼントしても読んでくれない人は一定数いますので、もっと現実的に計算をしたほうがいいでしょう。

 3000人未満の読者の場合、商業出版(出版社から出す)は難しくなります。商業的に成立しないからです。3000部ぐらい出ることが見込めないと、なかなか出版は難しいのです。
 ですが、おそらく、「読者がいます」というケースでも、3000人以下の見込み客であることが多いので、少し詳細に見ていきましょう。

 3000人以下の場合。自費出版、セルフパブリッシングで対応するのが現実的です。セルフパブリッシングは同人誌なども含み、完成まで自分でできることが前提。自分ではできないのなら、自費出版として費用を自分で出して本にしてもらうことを考えましょう。

 会報、年報、親戚・知人に配布するだけの自伝などいわゆる私家版は、自費出版にぴったりです。

 なおかつ、自費出版でも部数が少ない場合は、POD(プリントオンデマンド)による少部数の作成がオススメです。1部単位、20部単位などいろいろありますが、最小単位で製本できるので、ムダな在庫を抱える必要はありません。

 3000人以上の読者がいる場合は、積極的に出版社にあたってみるのも手です。このとき、自費出版を勧められたら断ってもいいでしょう。読者がいる著者は最強なので、出版社はいわば一緒に事業をするパートナーとなります。対等の立場ですからご自身のメリットのある相手と組んだ方がいいです。

 出版社がどこも対応してくれないときは、3000部、ご自身で作ってしまえばいいと思います。その仕組みは自費出版でもいいですし、セルフパブリッシングでもかまいません。出版社がやってくれないのなら、出版社を通すメリットはありませんので、ご自身でやってしまうのが一番いいでしょう。
 なお出版社ではなくフリーランスの編集者などを活用することも、少ない費用で出版する道としてはあり得ます。

 Twitterのフォロワーが10万人いるなら、5000部ぐらいは売れる可能性が高いので(話題性があったり、おもしろければもっと売れます、当たり前ですが)、積極的にアピールしてもいいのではないでしょうか。

読者がいない場合

 読者がいない(見込み客がいない、見えない)場合は、2つの考え方があります。

 リスクを最小限にして、自分で出す。
 リスクを最小限にして、出版社から出す。

 リスクを最小限にして、自分で出す選択では、読者がいる場合同様、セルフパブリッシングをまず検討してみるべきでしょう。Wordやテキストや一太郎からEPUBにできれば、ほぼ無料で電子書籍としてアマゾンKindleなどで販売ができます。ほぼ無料なので、リスクは最小限です。
 次に、共同出版。自費出版と一般の出版の中間です。自費出版は制作費、印刷費をすべて著者が負担するのですが、共同出版は費用の一部を出版社が負担します。そのかわり、売れたときには出版社と利益を分けることになります。

 くれぐれも読者がいないのに、自費出版で全額を自分で負担してはいけません。これ、やりがちなのですが、自費出版は基本全額著者の自己負担ですから、めいっぱいリスクがあります。読者のいない著者は選んではいけない選択肢です。
 残念ながら自費出版は、読者がいることを前提に、必要な部数を作る発想ですので、読者のいない著者のために営業をしてくれると思ってはいけないのです。あたかもしてくれるような宣伝をしているところもあるようですが、それは、共同出版と言うべきでしょう。共同出版なら、対等な関係なので、費用負担についても、著者は納得できる範囲で負担すべきですし、営業面についても著者の納得できる活動を出版社がしてくれることを確認すべきでしょう。

 リスクを最小限にして、出版社から出す。そんな虫のいい方法があるのか、と驚かれるかもしれません。これはいわゆる商業出版をしてもらう方法で、著者はリスクがほとんどないケース。
 そのためには、新人賞を受賞する、コンテストで入賞するなど、出版社の目に止まるための活動を身を粉にしてやる必要があります。
 めでたく出版社から声がかかれば、リスク最小限で出版できます。出版社も著者を売り出してくれます(出版社によってそのやり方は違いますが)。

 また、読者はいないが、セルフパブリッシングができるのなら、積極的にやっていくことで読者を増やし、出版社の目に止まることもゼロではありません。