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【実際には印刷されなかった】『#枡野浩一全短歌集』あとがきのしたがき

面白く書けなかったので本に印刷しない選択をした、あとがきのしたがきを公開します。この記事単体を百円で買えるようにしておきますが、謙遜でなくつまらないから買わないでいいよ。「#枡野浩一全短歌集」のタグをたどると、無料で読める記事も色々公開しています。そちらをどうぞ。左右社から昨年九月に発売された『毎日のように手紙は来るけれどあなた以外の人からである 枡野浩一全短歌集』は、おかげさまで発売半年で六刷出来。私の短歌集としては、いちばん版を重ねていることになります。買って。

著者しるす




あとがき


 今、短歌ブーム。

 とのニュースをテレビで何度か見ました。もっと大昔にも見ましたが、最近も見ました。

 短歌ブームの中に私はいない。という思いが強いのは現在、書店に並んでいる短歌の作品集が一冊もない状態だからかもしれません。

 笹井宏之、宇都宮敦、といった歌人たちの短歌をお借りして書いた集英社文庫の青春小説『ショートソング』(企画・執筆協力は佐々木あらら)は約十万部売れ、小手川ゆあさんの手による漫画版がアジア各国で翻訳されました。小説は絶版にはなっていませんが、歌壇で同作が語られたことがほぼなく、短歌ブームの文脈で語られたこともありません。与謝野晶子さんや俵万智さんは存在するが、枡野浩一を含むそれ以外の歌人を存在しないものであるかのように描いた作であるため、今読むと古典SFのような趣かもしれません。

   *

 歌人としてのデビュー作『てのりくじら』『ドレミふぁんくしょんドロップ』は一九九七年の二十九歳の誕生日、実業之日本社より二冊同時発売されました。現在「おかざき真里」名義で人気漫画家として知られる、オカザキマリさんの絵との合作。短歌と言われなければそうは見えない、絵本のように作りました。字をゴシック体にすること。という一点だけが著者のゆずれない希望でした。二冊に分けることや、歌の並び順などはデザイナーの故・義江邦夫さんに基本おまかせしたので三者の合作とも言えます。書名は中森明夫さんの発案。

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