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何のために発信するの?

先日、「超初心者のための発信・ライティング講座」でお話しました。対象は、小説やエッセイを書きたい人ではなく(そのスキルは私にはない)、事実的内容を基に記事を執筆したり、コラムにまとめる際の手法を知りたい人です。

実務的にはワークショップ形式でガンガン赤入れしていくのが一番勉強になるのだけど、今回は超初心者向け。ということで、さらに手前の「文章てどこから書き始めたらいいの?」状態の人を対象に、発信方針の決め方、文章の基本的なテクニック、私が赤入れした原稿の例示、なぜ私が記者・編集者になったか(主催団体の方針で、最後にナラティブストーリーを話すことになっている)まで、五月雨ハイライトでお伝えしました。

私もまだまだ修行中の身なので偉そうなことは言えません。ただ、講座に来ていた人たちの属性は、「ゆるく日記ブログを書きたい」とかではなく、「会社に命じられて、よく分からないけど発信しなきゃいけなくなった」か、「社会に発信したいメッセージがある」のどちらかで、切羽詰まった悩みを持っている方たちでした。しかも多くが医療健康領域での情報発信を志す人です。

文章のテクニックより伝えたかったこと

ここで一番伝えたかったのが、「なぜ発信するのか」を考えておくといいよーというベースのことでした。このメインメッセージに比べたら、後から段々と習得できる文章のテクニックなど、超些末なことだと思っています。

WHO(誰が)
WHAT(何を)
WHOM(誰のために)
WHEN(いつ)
WHERE(どこで)
WHY(なぜ)
HOW(どうやって)
HOW MUCH(いくらで)

発信は始めるのは簡単だけど、続けるのは意外と大変だったりします。企業としての発信であれば、始める前に全体で「何のために発信するのか」を決めておかないと、途中で急な方針転換が起きたり、気付かないうちに本来やりたかったこととの乖離が生じる恐れがあります。最初は「ゆるく発信をやっていこう」という気持ちで始めた企業の発信も、「急に上司がマネタイズしろって言い始めた。広告のために、このネタ出すべきかな」とか「より多くの人に見てもらわなきゃ、PVを稼がなきゃ」と外部評価に追われ始めると、どんどん苦しくなってきます。

「そんな、一企業、一個人の発信くらいで大げさな」と思われるかもしれないけど、その発信は毒にも薬にもなり得ます。このように悩むタイミングが来なければそれは素晴らしいことだけど、もしも発信の壁にぶつかるときが来たら、「何のために発信しているのか」に立ち返れると、気持ちの整理がつけやすくなると思っています。

私自身の「なぜ発信するのか」

ちなみに私自身は、5年制の理系学校である高専に通う中で科学者に向いていないと気付いた人間として、現場で成果を上げようとしている人たちの素敵な取り組みを、専門家内に広める仕事がしたくて、専門誌記者&編集者になりました(「やりたいことは何?」という問に)。メディアを目指して記者になったのではなく、科学者にならなかったから記者になったという順番です。

「世間に自分の記事をたくさん読んでもらう」という観点では一般向け媒体の方が対象が多いのでいいのだけれど、私の価値基準はそこだけではなかったので、専門誌の記者&編集者を選んだという経緯があります。この基本が守られているので、外部評価に気を取られず、ここでしかできない価値をいかに生かすか、という気持ちで日々の取材・執筆・編集できているんだなあと思っています。

みなさんの反応は全体的にこちらも勉強になることばかりでした。「目から鱗だった、今まで書いたもの全部消してやり直したい」と響まくってくれた人もいれば、「文章のテクニック聞いた後に、実際の赤入れ原稿を見たら、とてもロジカルなことが分かって納得した」といってくれた人とか、うれしかったな。

ちなみに、個人で発信する人が場を決めるときに参考になるかなと思って下記の四象限図作ってみました。たたき台くらいのつもりで作ったけど、みなさんめちゃ写真撮ってたからドキドキしました…。


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