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キックスクーターは安全な大人の乗り物

【2015年は在外でシンガポール西端のど田舎、NTUに一年居た。キャンパス内に部屋が見つからず、4km離れたブーンレイのHDB部屋借りだったので、主に一本で行けるバスで通ったが、途中で当時現地で流行りのキックスクーター に乗り換えた。以下はその頃の記録である。】

 キックスクーターと言えば、子供の危険な乗り物という図が目に浮かぶ。大人が乗るのは何ともおとなげない感じだ。しかし、電動アシストの二、三、四輪から自転車、スクーター、セグウェイに代表される立ち乗り二輪、車いす(シニアカー)、小型車(マイクロEV)らの総称「パーソナルモビリティ/マイクロモビリティ」の市場予測は2020年に市場規模1000億程度とのこと(シードプラニング、2013)。とはいえ、いずれも電動の話。平坦完全舗装のシンガポールで、"Last 1 mile" 用にこの種の電動スクーターを考えたが、何しろ重いし安くはない。結局「足動」キックスクーターを選択したが、ロードバイクの半分程度の重さは付属ストラップで肩掛けして持ち運んでもさほどではない。二つに折りたたんでバスでも電車でもシームレスに乗れてフォールディングバイクより手軽。なるべく前の方に蹴り足を踏み出し、ボードに乗せている足を前に押し出すコツもつかめてきた。ひと漕ぎでどのくらい進んでくれるか、段差のスロープ程度の下りでどれほど惰性がつくか。同じ人力でも自転車やジョギングに比べて運動になるというのもうれしい。

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http://sgscooters.co [2014.10.23]

 赤道直下ながら"City in a Garden" を標榜するレッドドット(シンガポールの別称)の木陰と、ショップハウスに代表されるルーフをたどり、今のところ2、3kmだが、急ぐわけでもないので、ゆっくり、ゆっくり、遅くて立っていられなくなるまで粘る。日本と違って、大人でもキックスクーターに乗っている人が多く、すれ違うと目で合図しあう。関心を示す人も多く、それいくら?と通りすがりに聞かれることもある。さすがアメリカのブランドスクーターGoPedのシンガポール版(国旗色のSingPed)まで存在するお国柄だ。自転車ブルべ経験者と言え、人力スクーターでXootrユーザーのようにアメリカ大陸横断する気はないが、自動車でも自転車でも徒歩でもない移動手段から見える景観をしばらく楽しみたい。

 【帰国後の翌2016年初の記録はこちら】
 シンガポール市内やジョホール水道国境でしばしば見かけたキックスクーターを、大学への通勤で使って半年余り。工場街の現金が使えない店舗でペイパル払い5000円足らずで買った中国製SunColor8インチ車は、日本に帰国してからも実によく走ってくれたが、ハンドルと前輪をつなぐボルトが折れてドック(シクロSpitt)入りとなった。入れ違いにフランス製Oxeloの7インチ車Town5 Easy Foldが日本代理店のナチュラムから納品された。
 今はリンク切れのデカトロンフランスの"conseils-coaching/5-moyens-de-transport-ecologiques-efficaces-en-ville"(都市で有効な5つのエコモビリティ)によると、都市交通の半分を占める3km未満の移動で自転車、ローラーブレード、スケボー、徒歩とともにキックスクーターが挙げられ、パリ・メトロのスト時利用や市内に専用ラックも設置されているらしい。
 主に電動など動力付きはマイクロモビリティと呼ばれ、2015年モーターショーではスマートモビリティと呼ばれていたが、足道など人力含むラストワンマイルのニッチを埋める移動手段を含め、パーソナルモビリティと総称してよさそうだ。
 2015年7月以降のマイクロモビリティ実証実験の全国解禁や、2020東京オリパラで小径車輪によるローラースポーツが追加候補種目になるなど、追い風も少なくない。何より、この楽しい移動手段を、誤解なく広めていきたい。

【そして現時点での蛇足】
 勝間和代氏も愛好者のよう(https://www.katsumaweb.com/ [2014.10.15])だが、GUのテレビCMでJDのエアタイヤスクーターが3台行列したり、おウチ見つかるホームズくんがキックボードで転んだ後にスクーターに乗り換えたり、近所の子どもらはクネクネ進むブレイブボードに夢中のようだが、キックは映えると教えたい(笑)


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