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ギターの神はかく語りき (2)

【承前】


とにかくファンだ、俺のファンを作るんだ。
この自慢のギターがありゃそう難しいことじゃないだろう。
よし。

俺はアコースティックギターを持って都心の大公園に向かった。
開けた広場のベンチに腰を下ろしてチューニングをする。
一呼吸つき、俺は弾き始めた。

ゲイリー・ムーアにジェフ・ベック、ヴァン・ヘイレンにジミ・ヘンも外せない。
だんだん俺は当初の目的を忘れ、半ばトランス状態のようになっていた。
レッド・ツェッペリン『天国への階段』の最後の大サビ部分を掻き鳴らし、そして本来ヴォーカルのアカペラで終わる部分も丁寧にアルペジオで奏で上げ…ひとしきり余韻に浸った俺はゆっくりと顔を上げた。

眼前に広がるはオッサンの群れ。

いつの間にか集ったオッサン達は一斉に野太い歓声を上げ、盛大な拍手をした。
開けっ放しのギグバッグに小銭と札が次々に放り込まれていく。

「兄ちゃんすごいな!」
「若いのに大した腕前だ!しかも選曲が渋い!」
「思い出の曲がこんなにも…くうっ…」

泣いてるオッサンまでいる。
いやいや、なんでこんなオッサンの群れと対しているんだ俺は。
俺が欲しいのは女の子のファンだぞ!?

(((そりゃ今まで教えた曲はオッサン世代直撃のキラーチューンばっかだからな!)))

そんなのモテるわけねーじゃん!

(((だって俺こういうジャンルが専門だもん)))

おまえそれでも神様か!

(((でもおまえ楽しそうだったぜ。やっぱりおまえに目をつけたのは正解だったなー!)))

オッサンに囲まれて何が楽しいんだよ、ふざけやがって!
まあいい。俺には次の手がある。
それは…。


【続く】


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