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オリンピック期間中、もしかしたら訪日客は減少するかも!? 週刊インバウンドニュースマガジン(7月4週号)

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1.韓国・台湾の訪日減が消費にも影響!

関西の訪日客消費、変調 ドラッグストア17%減 (7/24 日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47689130T20C19A7LKA000/

GWの10連休をきっかけに、韓国・台湾といった訪日国からの旅行者が減少していることに、過去のマガジンで何度か触れました。

これらの国の人々はドラッグストアで薬品や化粧品を買って帰ることが多いため、客数の減少が、消費額にもダイレクトに影響しているようです。

調査会社のトゥルーデータ(東京・港)によると、1~6月の大阪府内のドラッグストアの1店舗当たりの訪日客向け売上高は前年同期比で17%減も減少しているとのこと。

一部国での訪日客の減少に加え、米中貿易摩擦をきっかけとする各国の景気減速も影響しています。リピーターの増加で、1人当たり購買単価や、購買品目にも変化が出てきているようです。

訪日マーケットは年々トレンドが変化しています。継続的安定的な集客・収益化には、一国への依存を回避すること、リピーター向けの商品開発・プロモーションなどが必要となってくるでしょう。

2.「食」を軸にした観光モデルの造成を農水省がプッシュ!

料理×史跡巡り フルーツ×サイクリング 訪日客に「食×体験」 日本食ファン拡大へ 農水省プロジェクト
https://www.agrinews.co.jp/p48276.html

前回のマガジンでは、国交省のインフラツーリズムに関する取り組みを紹介しました。

今回は農水省のユニークな取り組みをご紹介します。

「食かけるプロジェクト」は、食×農泊、食×スポーツなど、食とその他のテーマをかけ合わせた体験を提供するプロジェクト。全国から様々な企画を集め、日本の食に関する体験を訪日客に対しPRします。

締切は8/4までとのことですので、気になるかたはぜひ応募してみてください。

3.インバウンドの成長がレジャーマーケットを牽引

レジャー白書2019~市場規模71 兆9,140 億円、前年比0.1%増 (7/19 日本生産性本部)
https://activity.jpc-net.jp/detail/add/activity001569.html

レジャー白書2019が、日本生産性本部 余暇創研から発表されました。

余暇市場全体では横ばいを続けているものの、観光・行楽部門はインバウンドの効果で前年比4.1%増を記録しています。ただし、ホテルが拡大している一方で、旅館は停滞しているなど、中身は明暗が分かれています。

その他、遊園地・レジ ャーランド、会員制リゾートクラブは大手の好調が伸びを牽引しています。

各部門を比較しても観光・行楽部門の伸びは大きく、インバウンドマーケットの成長が日本経済全体にポジティブなインパクトを与えていることがわかります。

4.日韓関係の悪化が九州インバウンドに影響

韓国LCC、九州4路線運休=関係悪化で旅客低迷(7/22 時事通信社)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190722-00000102-jij-kr

6月時点では数値上の影響があまり見えていなかった日韓の関係悪化が、ここに来て具体的な集客に影響を及ぼし始めています。

韓国のティーウェイ航空では、熊本-大邱、大分-釜山、務安、佐賀-釜山の計4路線を順次運休するとのこと。

韓国と地理的に近い九州地方では、インバウンド集客の多くを韓国に依存しており、関係悪化に対する関心も高いようです。。

九州運輸局長、韓国客減に懸念 「人的交流続ける」
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47735280U9A720C1LX0000/
韓国の訪日旅行キャンセル JR社長「影響を注視」 福岡
https://www.sankei.com/region/news/190724/rgn1907240030-n1.html

訪日マーケットの中でも特に大きな割合を占めている中韓両国。この2カ国と日本の間には、外交上の問題がいくつも横たわっています。実際、2010年に尖閣諸島を巡る問題が日中間で生じた際には、中国からの旅行者ががくんと減少しました。

とは言えおよそ10年後の現在では、その影響を感じる人はいないでしょう。

観光事業者や各地域の力で国際関係に大きな影響を及ぼすことは、残念ながら難しいと言わざるを得ません。

まずは、このような状況でも訪れてくれている現在の旅行者を十分にもてなし、未来のリピーター、ファンとなってもらうことをめざしましょう。

5.地方空港の直行便増が、今後の訪日客増には不可欠

訪日リピーター拡大のカギは「地方空港」、すべき路線誘致や未来の「大きな存在」を予測 -OAG・JTB総研セミナーより(7/23 トラベルボイス)
https://www.travelvoice.jp/20190723-134651

「地方航空の活性化と今後の日本ツーリズムの展望」をテーマとするセミナーが、OAGとJTB総合研究所の2社によって開催されました。

注目は航空会社の座席数と、路線に関する予測です。

政府が定める訪日客数目標を将来に渡って達成するためには、現在供給されている航空会社の座席数はやや心もとなく、増便・路線誘致が必要となるとのこと。

今以上の訪日客を呼び込むには、新規だけでは足らず、1度日本を訪れた人=リピーターの数を増やすことも寛容です。

そうすると2回目3回目の旅行者が訪れるであろう地方空港への路線誘致が欠かせない、とのこと。

リピーターをターゲットに路線・観光客を誘致するのであれば、各地方は「お客は一度日本を体験していること」を念頭に観光開発・もてなしをしなければなりません。

極端に言えば、「東京で成功している」事例では新鮮味がなく、「京都のような町並み」にも競争力はないかもしれないということです。

6.ホテル高騰で、オリンピック期間中に外国人は都心回避!?

知事会、富山宣言を採択 都市と地方 自立・連携・共生へ(7/25 中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/hokuriku/article/news/CK2019072502100029.html

7月23日〜24日にかけて、富山県富山市で全国知事会が開催されました。

訪日に関しては、旅行者の受け入れ環境充実のための交通網整備、オリンピック期間中に低料金で周遊できる施策の実施などが議論されました。

オリンピックに関しては、以下のようなニュースも国内で話題になっています。

五輪中ボランティア悲鳴? 都内ホテル代 高騰
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201907/CK2019072402000144.html

東京都内を中心に、ホテル代などのコストが短期的に上昇することが見込まれます。せっかく多くの訪日客が訪れる機会なのに、コストを理由に旅行者を逃したり、せっかく訪れた旅行者の満足度を低下させてしまっては意味がありません。

実際今年のGWには、高騰する航空券代、宿泊費用を忌避し、一部の国で訪日客数が減少しました。

受け入れ側としては、コストをかけても訪れてくれる人々にコスト以上の体験を提供する必要があるでしょう。

また、普段訪日集客に悩んでいる地域であれば、高コストを嫌がる旅行者向けのプロモーションが有効的です。さらには、それらの施策をオリンピック期間までにしっかり周知する必要もあるでしょう。

まとめ〜鈍化するインバウンドマーケット。今後必要なのは、より精緻なマーケティング〜

ここ数年、右肩上がりだった訪日客数の増加スピードも、ここにきてやや鈍化してきています。

これまでは程度の差こそあれ、日本全体、各業種で概ねインバウンドはプラスの影響を及ぼしてきていました。

しかしこれからは、全体では伸びているもの、内訳を見ると集客・売上が伸びている領域、減っている領域に二極化することが予測されます。

今回のマガジンで紹介してきた、韓国人旅行者の減少や、旅館の減少などはその最たる例でしょう。

これまでのような「やれば伸びる」段階から、より慎重なマーケティングやプロモーション、施策実行が重要となってまいります。

とはいえ、全国の自治体・企業様の中ではまだまだインバウンドの専門部署が無い所も多いでしょう。

そんなときは、ぜひ弊社にご相談ください。インバウンド領域のパートナーとして、みなさまのお力になることをお約束します。

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