2020年、東京に新たな玄関口が誕生! 週刊インバウンドニュースマガジン(8月3週号)

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1.ラグビーW杯がいよいよ開催。オリンピックの違いとは?

ラグビーW杯開幕まで1カ月 首都圏自治体、準備大詰め (8/16 日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48596690V10C19A8L83000/

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参考:MATCHAのラグビー特集

いよいよラクビーW杯の開催が近づいています。

オリンピックの予行演習的にも捉えられるラグビーW杯ですが、両者にはいくつかの違いがあります。

例えばラグビーW杯には以下のような特徴があります。

・開催地が日本全国であること
・開催期間が長いこと
・客層が欧米系中心であること

上記のような特徴から訪日ラグビーファンは地方から都市部までを周遊することが予測されています。一方で、彼らと同じ動きを訪日オリンピック観戦者にも期待すると、肩透かしをくらう可能性があります。

”外国人旅行者が自地域を訪れる” ことをシミュレーションするにはよい機会かもしれませんが、継続的な訪日集客を実現するのであれば、その点は割り引いて考えるのがよいでしょう。

2.竹芝が東京の海の玄関に!?

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羽田と都心 船で結ぶ JR東、来年にも運航 (8/17 東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201908/CK2019081702000134.htm

過去のマガジンでは、羽田空港の国際便が増便されるニュースを紹介しました(参考:http://urx.space/6SrW )。

さらに今週は、増加が予測される羽田からの旅行者を見越してか、羽田と都心をつなぐ新たなルートに関するニュースが飛び込みました。

JR東日本が検討しているこの新ルートは、羽田-お台場-竹芝-日本橋-浅草などを結ぶ船便で、早ければ2020年に運航を開始するのだとか。

都心側の拠点には再開発中の竹芝地区が想定されており、再開発工事と相まってこのエリアが新たな東京の玄関口となることが予想されます。

船便は鉄道に比べるとスピードは遅いものの、のどかな雰囲気や、海・川から見える景観などを楽しむことができます。

船便の利用者は鉄道利用者とは違うニーズを抱えていることが推測されるため、彼らに対するサービス・商品開発のヒントになるかもしれません。

3.日本版DMO」の第6弾が発表!増え続けるDMOの中で勝ち抜くには?

「日本版DMO」の第6弾登録及び「日本版DMO候補法人」の第16弾登録について
https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics04_000128.html

DMOとは、Destination Management/Marketing Organizationの略称。

観光地経営の視点に立った地域づくりを目指す法人形態で、これまでの自治体や観光協会とは違った観点・領域での取り組みが期待されています。(参考:「日本版DMOとは?(観光庁)」)

瀬戸内を囲む7県(兵庫県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県)で構成されるせとうちDMOなどが有名です。

地域の観光資源は自然・歴史などによって裏付けされたものであり、現在の行政区分で単純に地域を分けるることはできません。そういった意味で、自治体を横断して観光地づくりに取り組めるDMOは、非常に可能性を秘めた組織の形だと言えるでしょう。

一方で、現在のところすべてのDMOがうまくいっているというわけではありません。

補助金を第一の目的としてしまい、その後の事業造成がうまくいっていなかったり、DMOを作ったのに結局は構成組織間の関係性が事業の妨げになってしまったり、理由は様々です。

今回の登録で日本版DMOは136法人、候補法人は116法人となりました。訪日客にとって日本のすべての地域を観光地として認識することが難しいことを考えると、数の問題もあるかもしれません。

組織を作って安心するのではなく、継続的な事業経営のための道具としてDMOを利用していく「経営マインド」が欠かせません。

4.日韓関係の悪化が、ついに実経済にも影響か

ハナツアーJの今期、最終赤字に転落 日韓関係悪化で訪日観光客減 (8/14 日本経済新聞)
https://r.nikkei.com/article/DGXLASFL14HQ0_14082019000000

インバウンド向けの旅行会社「ハナツアーJ」の2019年12月期の連結最終損益が9億6500万円の赤字になる見込みだと発表されました。従来予想されていた13億円の黒字から大幅な減益となります。

韓国からの旅行者を主な顧客としていた同社にとっては、最近の日韓関係悪化が大きなマイナスのインパクトになった形です。

韓国からの旅行者減は毎週のように本マガジンでも取り上げさせていただいています。影響は地域・事業者にとって濃淡の差があるでしょうが、インバウンド業界全体に関係します。

韓国人旅行者の需要減を中国人旅行者増で穴埋めしようとする動きもありますが、昨今の経済状況ではそれもどこまで有効かは判然としません。

顧客の多様性を保つこと、今後伸びてくるインド・ベトナムなどのマーケットを抑えておくことがなどが中長期的なリスクヘッジとなるでしょう。

参考:インバウンド訪日客動向
https://www.tourism.jp/tourism-database/stats/inbound/

まとめ

人によって土地の見え方は異なります。

先日都内でタクシーに乗った時、カーナビが不調で、うまく目的地を伝えられないことがありました。

私は駅やビル名で場所を伝えようとするのですが、運転手さんは通り名でないとうまく場所がわからず、余計な時間を食ってしまったのです。

電車を主に利用する人と車を利用する人とでは、東京という町の把握の仕方が違うのでしょう。

また、以前徳島市に行った際は、地元の方が橋の名前を場所の把握に活用していたことが印象的でした。地域によっても場所の認識方法には文化や慣習があるのです。

このような違いは日本人と訪日客の間にも横たわっています。

例えば長野県の白馬村は、日本人にとっては乗り換えも多く交通アクセスには不便な印象を与えます。ただし空港からの直行バスを利用する訪日客にとっては、意外と気軽に行けるスキースポットという認識であったりします。

そのような意味で、今回ご紹介した羽田からの船便は、訪日客の東京像を変える可能性のあるニュースとして注目しました。

日本人にとってあまり重要視されてこなかった竹芝のような町が、これをきっかけにとても盛り上がる可能性を持っています。

観光を考える際は、「これは訪日客にとってはどう見えるのか」を考えるのがポイントです。訪日客目線でお悩みならば、ぜひMATCHAにもご相談ください。

今週もお読みいただきありがとうございました。

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