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いわゆる分数コードについて

筆者 三島ゆかり

いわゆる分数コードと呼ばれるものには、複数の意味が混在しています。
(その1)分母が単音のもの。
(その2)違う調性を組み合わせた複雑な和音を表現したもの。

どちらも分数コードとかオンコードとか呼ばれ同じような表記ですが、(その2)の分母はM、m7、7などコードの性格を表すものがつくことにより、まあ分かります。(その2)の分子を特にアッパー・ストラクチャー・トライアドと呼びます。

今回は(その1)について説明します。



(その1)の例 尾崎亜美「オリビアを聴きながら」

この曲にはいろいろなエッセンスが詰まっています。どの特徴もカーペンターズあたりを代表とした70年代の典型的なサウンドです。

①1小節目のD/C

ドミナント7thのベースをルートではなくいきなり7thとすることにより、前後の緊迫した流れを作っています。

②4小節目のC/D

D7のsus4を膨らませた滞留の和音です。これはベースの指定というより、分数コードです。

③5、6小節のクリシェ

Emのベース音だけが半音ずつ下がります。クリシェ・ラインともいいます。ジャズならEm、EmM7、Em7、Em6と書いたりもします。Em/C#はこの曲ではA9の根音省略形としての機能を併せ持っているようです。

④7小節目のC/D

4小節目のC/Dと同じく滞留の和音ですが、sus4→3rd(ここではG→F#)という滞留の解決がないまま、次のトニックへ行っています。

(その2)については、別の記事にて。


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