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未成年者とVRChat:個人的な経験から

とある未成年のユーザーのnoteをきっかけに、未成年者がVRChatをプレイすることのリスクとベネフィットについて議論を呼んでいる、ようである。
せっかくnoteを始めたところであるので、この件について個人的な経験を元に短い文章を書こうと思った。といっても、僕の経験はVRChatでのことではなくとあるSNSでのことである。

VRChatは「ゲーム」と呼ばれることもあるが、基本的にはソーシャルVR、SNSの一種と捉えることが妥当であろう。また、昨今のSNSでは主流であるが、本人確認は必要とされないいわゆる「匿名」のサービスである。

ここまで書いたところでどんなリスクがあると言いたいかだいたい分かった方も多いだろう。「大人」との「性的接触」である。VRChat内の話ではなく、リアルでの。

簡単に言うと、昔々のことではあるが、次のようなことがあった。

自分が軽率だったといえばその通りなのだが、とあるSNSで知り合ったその人のことを僕はとても信頼していたし、少なからず好意を持っていた。そのため、リアルで会おうという誘いはこちらから持ちかけたものだったし、なにか「特別なこと」が起きるのを期待している自分もいた。

そのため、その日起きたことについて誰かを責めるつもりはないし、むしろ個人的にはよい思い出のひとつとして記憶されている。(その人とは最終的に僕に根負けして恋人になることに同意したし、その関係は数年続いた)

だが、しかし。これはおそらく僕がかなり幸運なケースなのだということが理解できる程度には僕は歳を重ねてしまった。似たようなシチュエーションで大人に会いに行く未成年者がいたら恐らく全力で止めることだろう。(もっとも、僕のケースでは自分の周りの大人に知る術はなかっただろうし、それは2024年も変わらないと思う)

「でもそれってSNSではなくオフ会のリスク、ではないのですか?」と問われると思う。それはそうだ。

ただ、VRChatには他のSNSにはない特徴があると思っている。他のSNSと比べてユーザー間の距離が縮まりやすいというものだ。それは「なでなで」に象徴される擬似的なスキンシップもそうであるし、3Dアバターを介し肉声を使用したコミュニケーションによる豊かな情報伝達、それに加えて単純に滞在時間が長いことによる特定のユーザーへの信頼感の増大もそこに加わるだろう。

例えば未成年者が「お砂糖」関係を結んだとして、相手に会いたいという願望を持っていたとしよう。そして、実際対面したとして、そこに何らかの性的接触が偶発的にであれ確信的にであれ結ばれることも十分考えられる、と考えるべきではないだろうか(そして一定程度は不幸なケースもあることだろう)。少なくとも、僕たちの社会は未成年者が性的接触に曝されることをよしとしておらず、このリスクについてはユーザーが共有しておくべきではなかろうか。

もっとも、私はだからといって未成年者がVRChatをプレイすべきではないとは思わない。ベネフィットについては多くの方々が語るところであるし、リスクについてもその多くは中長期的には解消するものが多いだろう。

VRChatの認知度が増大するにつれ、いわゆるリテラシーを十分に備えていない未成年者の参入は避けがたいもので、僕たち「大人」に要請される責任も増大していると考えるべきであろう。ただ、それはVRChatのユーザーのみならず社会の一員としてのものなのかもしれない。