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海外クラフトノンアルコールビールを発売するまでの奮闘記

本日Alldropでは海外のクラフトノンアルコールビールの発売を開始しました。
お待ちいただいていた皆様には大変ご迷惑をおかけしました。ぜひ楽しんでいただけると幸いです!

まだまだ至らないところも多いですが、ようやくスタート地点に立ったということで、とある断酒から始まった2年にも及ぶこれまでの経緯を振り返ってみたいと思います。

約1年間の断酒

個人的な話になりますが、私がノンアルコールビールを飲み始めたきっかけは、目標達成のために断酒した際のビールの代替としてでした。

2019年8月、現在の会社仲間と、ある居酒屋で今後の事業について話していた時、なかなか成果を出せないでいた自分たちは、目の前のビールを最後に目標を達成するまでお酒を断つことを決めました。

それまで週に最低でも1回はお酒を飲んでいたので、断酒開始後には自然とお酒を欲し、その時に手に取ったのが大手ビールメーカーのノンアルコールビールでした。正直なところ味は美味しくなかったのですが、他に選択肢がなかったこともあり、そのノンアルコールビールを飲み続けました。

断酒中に誘われた飲み会に行った時には、
「お酒飲めないの?」と聞かれ、
「あえて今だけ飲まないようにしている」と答えれば、
「ノリが悪い」「つまらない」と言われ、
「なんで飲まないようにしてるの?」と聞かれ、
「目標を達成するまでお酒を断っている」と答えれば、
「意識高いね〜」と言われました。

次第に飲み会に誘われることも減り、ノンアルコールビールを片手に飲み会に使っていた時間を目標達成するための時間に充てていました。悲しく聞こえますが、無くなったのは浅い人間関係の繋がりのみで、お金の節約と生産性の向上になり、振り返るとメリットばかりでした。笑

キリンの零ICHIにお世話になりました

断酒を開始して約半年、ようやく目標を達成しました。しかし、その頃コロナの影響でなかなかお互い会うことができず、目標達成後も断酒を継続。2020年6月、ようやく断酒を終了し、ビールで乾杯。久しぶりのビールはめちゃくちゃ不味かった。

「自分たちのノンアルコールビールを作りたい」

「ノンアルコールビールを作りたい」
2020年8月、会社設立の準備も兼ねてメンバーで作業合宿へ向かっていた新幹線でふと思いつきました。
それは断酒を終えて2ヶ月後のことでした。

断酒を振り返ってみると、アルコールがあった時は、 仕事や日々の生活のストレスを忘れて目の前の一瞬を楽しませてくれました。
一方で、ノンアルコールビールを飲めば、アルコールはなくても、毎日自分と向き合い、自分が前進するためのエネルギーをくれました。ある種エナジードリンクみたいな感覚。

断酒の経験を通して「あえてノンアルコールビールを飲むという選択ができる状態、それが当たり前に受け入れられる文化の醸成に少しでも貢献したい」「一歩踏み出すきっかけや、前へ進み続けられるエネルギーを提供したい」と思った背景から、ノンアルコールビールを作ることを決意。

ノンアルコールビール専門メディアの立ち上げと海外ノンアルコールビール

2021年1月、前職を退職してある程度時間を取れるようになったので、一気にアクセルを踏み込み、今後の集客基盤と自らの勉強も兼ねてノンアルコールビール専門メディア Alldropを立ち上げました。

https://alldrop.jp/

海外のノンアルコールビールを片っ端から調べつつ、醸造方法やノンアルコール市場について調査し、ひたすら記事にしていきました。1ヶ月で100記事くらい書いたと思います。

海外のノンアルコールビールに目を向けてみたところ、海外には数多くのクラフトノンアルコールビールが存在していることが判明。ノンアルコールビール専門の醸造所も数多くあり、日本との違いに興味を持ち、その背景となる考え方や文化についても調べました。

海外では「Sober Curious(ソバー・キュリアス)」と言って、運転や妊娠など制限的な理由ではなく、肯定的な理由で「あえてノンアルコールビール」を飲む人が増加していました。
その理由としては、彼らは健康的なライフスタイルを求めることに加えて、精神的な豊さをも求めているからです。

「Mindfulness(マインドフルネス)」という言葉がありますが、それは自分がどこにいるか、自分が何をしているかを認識し、周りで起こっていることにかどに反応したり流されたりしないことを指します。
アルコール等に対して意識的になることを「Mindful Drinking(マインドフル・ドリンキング)」と呼び、「周りが飲んでいるから」や「付き合いのために」などではなく、自分自身が何のためにお酒を飲み、その結果自分自身の心や身体がどう変化するかなどを認識することだそうです。

世界的なパンデミック下では、なおさら環境的にも感情的にも不安定だからこそ、肉体的・精神的健康はかつてないほど重要になっており、自分自身の「幸福」を管理するため、このような前向きな選択をするMindful Drinkerが増えているとのこと。

そのため「アルコール飲めるけれど、あえて飲まない。あえてノンアルコールビールを飲む」という選択は当たり前のように受け入れられています。
一方の日本では、ノンアルコールビールを楽しむという飲み方は少なく、ビールの代わりに仕方がなく飲むというような選択をしており、その上「飲めるのに飲まない」という選択をすると、自分自身も経験した、やや批判的な目で見られることも。

彼らの文化や考え方に共感し、実際にどんな味のノンアルコールビールを作るか検討を進めるためにも、海外のノンアルコールビール醸造所や販売サイトに片っ端からコンタクトし、その中でいくつかの醸造所やEC事業者が日本に発送をしてくれました。(送料はびっくりするくらい高かった...。1本あたり1,000円超える。)

パッケージがめちゃくちゃ可愛い

日本に到着したノンアルコールビールを飲んでみたとき、「え、、うま、、!!これでノンアル!!??」と衝撃が走ったことを今でも鮮明に覚えています。

ノンアルコールビールOEM先模索と断念

海外のノンアルコールビールを一通り調査したり実際に飲んで、ある程度自分達が作りたいノンアルコールビールの骨格ができたので、そこから委託製造してもらえる企業の調査を開始しました。

調査を進めると実際にノンアルコールビールOEM経験を持つ日本の企業を発見。
実際にいくつか海外のOEM候補先を紹介していただき、試飲や条件の擦り合わせ等を行いましたが、決定には至りませんでした。
自分達の希望するノンアルコールビールの味に出会えなかったこと、味を調整するにあたって実際に現地の醸造所に赴く必要があったが状況的になかなか行けそうになかったこと、最低発注数量のボリュームがかなり大きく現状の集客力では一定期間で売り切ることが難しいなど、なかなか現実的な選択ではないことということで断念しました。
最終的に断念しましたが、その企業様には色々と助けていただき本当にありがたかったです。

決して今後も自分たちのノンアルコールビール作らないというわけではなく、比較的ハードルの低い海外のノンアルコールビールを輸入販売しながらAlldropとしての認知を高め、安定して販売ができるようになったタイミングで再度ノンアルコールビールのOEMを行うことにしました。

海外クラフトノンアルコールビールの輸入販売

「比較的ハードルの低い」と思っていた輸入販売。
2021年5~6月頃から輸入販売に向けて動き始めましたが、輸入に関する知識・経験もなく、全然ハードル高くてここからが本当に長い戦いでした。

何から手をつけたらいいかわからない状態なので、とりあえず輸入代行してくれそうな会社をいくつかアタックしたものの、予算感が合わずに断念。
中長期的に見ても最終的に自分達自身で輸入販売を行わないと採算が合わないので、初回の輸入実務と2回目以降の輸入ができる状態にサポートいただける会社を探す日々が続きました。
2021年8月頃、ようやく協力いただける会社に出会い、本格的に輸入を開始。

1月は「Dry January」という断酒するムーブメントが海外であるので、それを日本でもやろうと考え、1月に合わせて発売するため10月には発注して手配を開始。
準備を進めていましたが、現地でコロナによる人員不足やコンテナが確保できない等で、現地の出発が遅れに遅れ、結局12月頃にようやく現地を出発。
2月初旬に日本に到着するということで3月に発売予定に延期。

そして、2月に日本に到着したものの、食品輸入届等の書類の修正や検査等で遅れ、さらに延期することを決断。

4月末にようやく発売開始できる目処が立ち、発売開始向けてキャンペーン等を実施していましたが、海外の醸造所が好意でこっそり入れていただいたグッズが検査に引っかかり書類の再提出に追われたり、倉庫・配送業者の方との各種手配が想定通りに進まず、ギリギリまで迷い3度目の発売延期を決定。

早く発売したい気持ちを抑えながら、確実に販売ができる体制をしっかり整え、先週ようやく販売できる準備ができました。本当に長かった。
何度も延期を重ねながらも、お待ちいただきありがとうございます。

現在、今後の展望

着想からここまで約2年もかかってしまいましたが、ようやくスタートでき
ることがとても嬉しいです。ここまで協力いただいた方々には感謝しかないです。ありがとうございます。

2年の間にコロナによるノンアルコールビールへの注目や大手ビールメーカーの0.5%や0.7%のノンアルコールビールの発売など、市場が大きく変わってきたと実感しています。そんな中でまだ日本にはほとんどない海外のクラフトノンアルコールビールはこれまでのノンアルコールビールの概念を変えてくれると思っています。

また、クラフトノンアルコールビールとAlldropを通して、肉体的・精神的な豊かさに向き合うきっかけと、前へ進み続けるエネルギーを提供できればと思っています。

今後は、物流面で供給を安定させた上で、ノンアルコールビールを軸としたイベントや各種キャンペーンをどんどん展開していきたいと思っています。
キャンプやサウナなどとも相性がめちゃくちゃいいと思っていますし、海外で行っているDry Januaryのような一定期間行う断酒をコミュニティ作ってやってみたりしたい。先の話でいうとノンアルコールビールバーとか作りたい。

あとは、やっぱり自分達のノンアルコールビールブランド作りたい。

まだまだこれからですが、今後とも応援いただけると幸いです!

また、これらやるにあたっても圧倒的に人が足りていないので、もし下記に興味のある方はぜひDM等で声をかけていただけると嬉しいです!

・ノンアルコールビールの輸入関連実務
・サイト運営やSNSの運用、各種イベントの実施
・ノンアルコールビールの醸造(OEM)
・その他書き切れない諸々

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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