融けるデザイン

本『融けるデザイン』の紹介

プロダクトを考える人にぜひ読んでほしい、気持ちいいインターフェイスを考えるために役立つ本です。

現状の問題

世の中には数多くのプロダクト、アプリケーション、サービスがリリースされています。それでも操作するときに?が頭につくモノが多いのも事実です。

例えば数年でAR、VRには多くのアプリケーションがリリースされていますが、まだスマホのスワイプのような、操作感が統一されたデファクトスタンダードあるわけではありません。その中で自然に操作できるものとなると、まだ数は少ないのではないでしょうか。

そこでこの本は

まずはハンマーという原始的な道具から入り、使いやすさ、道具の透明性、身体の拡張、自己帰属感への説明へと入っていきます。

原因と結果が直接的な関係になることをひとつの目標とすることになった。たとえばハンマーのように、手に持つとそれ自体を意識せずに、釘を打つこと(対象)に集中できるようになるようなあり方を理想であると考えるようになった。これを「道具の透明性」という。(P.44)

そして、体験の設計、自己感、良いユーザインターフェイスへとつながります。

「体験の設計」という、体験というマクロで曖昧な表現を「自己感」というキーワードと結び付けて考えることができるようになる。さらに、その自己感の発生には境界条件があり、そこが設計のポイントとなってくることがわかる。つまり、極端に言えば、自己感があれば良いユーザインターフェイスなり、インタラクションで、自己感がなければ悪いユーザインターフェイス、インタラクションである。(P.104-105)

ここからさらに一歩進み、気持ちいい体験の設計を考えていきます。

自己帰属感の上の表現を「自己帰属感の余韻表現」と呼んでいる。先ほど3つの動きの種類を紹介したが、これらをうまく組み合わせることで、気持ちよさの新しいレベルを設計できるのではないかと期待している。たとえば、自己帰属感+慣性表現のような物理現象に基づく動きという組み合わせで、うまくボールを投げるかのような体験を可能にするのではないかと考えている。(P.122)

(※ここで書かれている3つの動きとは、自己帰属する動き、他者を感じる動き、物理現象の動きです。)

そして、この一文にすべてが表れているなと思いました。

インターフェースは「人間の暗黙知を形式知に変換する」役割を持っている。(P.157)

その他にも

こちらに、他にも気になった抜粋箇所をまとめてあります。

そして、それ以外にも、

・メタファとメタメディアの関係
・デザインとアフォーダンスと無意識について
・知覚行為循環の説明
・数多くの実験や研究とそのプロダクト

など盛りだくさんで、プロダクトを考えたり、気持ちいいインターフェイスを考えるために役立つ本です。

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