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【サイケ映画の系譜②】「アルタード・ステーツ 未知への挑戦('80米)」

鬼才ケン・ラッセルが1980年に発表した幻覚映画「アルタード・ステーツ」です。67年の「白昼の幻想」ほどではありませんが、この映画も60〜70年代のヒッピー文化とドラッグ・カルチャーを抜きにしては語れない映画です。

映画はインディオの秘薬を飲んで瞑想タンクに入り、幻覚を見て人間の意識の1番深い部分を探ろうとする科学者が、実験が過ぎて幻覚と現実の区別がつかなくなるばかりか、現実を幻覚が侵食するというか、原始人に退行して最後は猿人になってタンクから出て来るという、もう幻覚も現実も何がなんだかわからなくなるところまで行く映画です。

「インディオの秘薬で幻覚を見る」というのは、70年代ヒッピーのバイブルと呼ばれたカルロス・カスタネダの「ドン・ファンの教え」シリーズの影響です。これ、カスタネダというカリフォルニアの文化人類学の学生が、研究のためにメキシコのインディオの呪術師に弟子入りして幻覚キノコや幻覚サボテンなどでトリップ修行をした結果、大学の研究がバカらしくなって本当に呪術師になる本なんですが、最初は大学の研究レポートとして第1巻は書かれてますが巻を追うに連れて「幻覚の世界が真実だ」と気がつき、以降は呪術師として修行する記録になって行きます(途中から小説になったという説もあり)。

で、映画に登場する瞑想タンクなんですが、これは幻覚剤の効きを良くするために本当に開発された装置で、外部の音や光を一切遮断し、人肌に温めた炭酸マグネシウムの溶液が半分くらい入っていて、そこに全身を浮かばせて幻覚を見るというものです。それで主人公の科学者は原始人に退行してタンクを破って出て来るんですね。

こういったヒッピー文化の予備知識があると、より楽しめる映画だと思います。幻覚シーンは光学合成で青空に魚が浮かんでいる映像が出てきたりします。

DVDは新品未開封です。

「アルタード・ステーツ 未知への挑戦('80米)〈2008年3月7日までの期間限定出荷〉」
ウィリアム・ハート / ブレア・ブラウン / ケン・ラッセル

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