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【ポルノひし美ゆり子①】「ポルノ時代劇 忘八武士道」【ゆり子が脱ぐ!】

ウルトラセブンのアンヌ隊員ことひし美ゆり子が助演で出た「ポルノ時代劇」であります。主演は丹波哲郎。時代劇としてセットも立派、エキストラも多く使って、結構ちゃんと作っています。そこは腐っても東映。

小池一夫と小島剛夕の時代劇画「忘八武士道」を原作に、経営が傾いた東映は石井輝男にエログロ路線を次々に撮らせ、その中の一本。丹波が原作劇画のファンだったそうで、喜んでニヒルな剣士を演じてます。ニヒルというか殺人鬼なんですけど。

忘八とは小池一夫の造語で、「孝・悌・忠・信・礼・義・廉・恥」の八つの徳を忘れたならず者のこと。これが吉原総名主に気に入られて吉原を取り仕切る忘八者の用心棒になります。

総名主の意を受けて吉原の外出勝手に買春している茶屋や夜鷹(街娼)の類を切り捨てて名主の天下の片棒を担ぐのですが、所詮は忘八者ですから、信義もへったくれもない。丹波も用済みになったら阿片中毒にさせられて廃棄されようとするし、丹波も恩義など感じるわけがない。

要するに徹底したアナーキストの集まりなんですね。丹波の名前は明日死能(あしたしのう)。小池一夫一流のネーミングです。

ひし美ゆり子は「女忘八者」として出るんですが、この女坊八、色仕掛けで男をたぶらかすばかりでなく、殺人もなんとも思わない美貌のアバズレ。幕府が丹波を殺すために密かに送り込んだ黒鍬者(忍者)とも互角に戦います。全裸で。

あのアンヌ隊員が! あんなことやこんなことを! というだけで中古DVDがプレミア価格で取引されていますよ。

ひし美ゆり子は1966年に東宝でデビューし、翌年「ウルトラセブン」のアンヌ隊員役に抜擢されました。ベビーフェイスの美人で、歴代ウルトラシリーズに出た女優では現在もトップクラスの人気を誇ります。

1972年に東宝との専属契約が切れ、これを機に女優を辞めるつもりでしたが、個人的に記念として撮ったヌード写真が「週刊プレイボーイ」に流出し、これをきっかけに東映の梅宮辰夫主演の「不良番長」シリーズにズベ公役で出るようになりました。

とにかく美人なのに脱ぎっぷりが良く、重宝されたようです。70年代半ばにはこの流れでなんと! 大島渚から「愛のコリーダ」で阿部定の役を演らないかとオファーを受けたのですが、日本初の「本番」ハードコア映画ということで、悩んだ挙句、彼女は断っています。何とも残念な話です。

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