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テリー・ギリアム「未来世紀ブラジル」('85)Blu-ray

モンティ・パイソンのアニメーション担当でデビューしたテリー・ギリアムの映画監督としての出世作Blu-ray。

完璧に情報統制された未来社会。町にはレジスタンスによる爆弾テロが頻発しています。情報省に務めるサムは、情報省がコンピューターのミスで誤認逮捕した事実を隠蔽する仕事をしていました。

彼はこの空虚な仕事から現実逃避するため、いつも自分に翼が生えていて、剣を持って囚われの美女を助け出すという空想に耽っています。

そんな時、誤認逮捕の現場を見たジルという女性が情報省に抗議に来たのを見たサムは、ジルが空想の「囚われの美女」にそっくりだと気が付きます…。

情報統制社会の描写はオーウェルの「1984」に似ていますが、ギリアムによると「1984」にインスパイアされたことは認めたものの、今日的な視点から未来を描いたものだと否定しています。

しかし撮影中、この映画の仮題は「1984 1/2」だったそうです。

アニメーター出身のギリアムの実写映画は、彼がアニメーションで描いていたシュールなビジョンを実写で特撮を交えて表現するもので、独特の絵造りによるSF/ファンタジーになっています。

この映画はギリアムのビジョンを映像化すると製作費がかさむと映画会社が難色を示したものを、ギリアムが会社とバトルしながら自分のビジョンを守ったことで有名で、ためにギリアムは「扱い難い監督」だと評判が立ちました。このあたりの経緯は「バトル・オブ・ブラジル」という本にまとめられています。

ハリウッドの有名監督は、自分の作品を護るためにプロデューサーになっていくのですが、ギリアムはその方向は何故か選ばないようです。あくまで現場で指揮を取る監督がやりたいのでしょう。

ギリアムの方向性だとスタンリー・キューブリックのように製作と監督を兼ねるべきですが、そのためにキューブリックは生涯で13本の映画しか作れませんでした。それくらい、プロデューサーと監督を兼任するのは大変なことなのです。

映画の中で町の配管工で実は爆弾テロリストが出てきますが、ロバート・デ・ニーロが好演しています。

「未来世紀ブラジル('85英/米)」
ジョナサン・プライス / ロバート・デ・ニーロ / テリー・ギリアム
定価: ¥ 4700

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