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アンドレイ・タルコフスキー「惑星ソラリス」('72ソ連)Blu-ray

タルコフスキーの傑作SF映画「惑星ソラリス」のBlu-rayです。共産圏のソビエトで監督になったタルコフスキーは、国家公務員として映画を作っていたので生活も安定していただろうと考える人もいますが、日記などを読むと全然そんなことはなく、国家当局による厳しい検閲がありましたし、観客動員が低かったら生活にも響いたようで、撮影所に通うためのバス代すら無かったこともありました。

タルコフスキーの前作「アンドレイ・ルブリョフ」は一種の宗教映画で、宗教を禁じていたソビエト当局の方針に合わず、長くお蔵入りになり、公開には再編集を余儀なくされました。

このような社会主義国特有の厳しい環境から、タルコフスキーの作品本数は全部で8作品と少ないです。その代わり、一作一作が心血を注ぎ込んだ世界映画の傑作です。

「惑星ソラリス」は、観客動員を考えてポーランドの人気SF作家スタニスワフ・レムを原作に選びました。SFにしたのは、タルコフスキーのテーマであった神秘的・宗教的概念を、オブラートに包んで入れることができたからです。

遠い宇宙にある惑星ソラリスは、表面を謎の物質で構成された海が覆っていて、それは知性を持っていると考えられていました。ソラリスの軌道上には人工衛星が周回し、常駐した科学者がソラリスの海を研究しています。

しかも、ソラリスの海はテレパシーのようなもので人間の脳内のイメージを読み取って、それを実体化するらしいのです。主人公のクリスは状況を調査するためソラリスに向かいますが、着いたその日に死んだ妻ハリーがクリスの前に現れます。

驚くべき事態に困惑するハリー。彼女は、クリスの脳内イメージを元にソラリスが実体化したもので、幽霊みたいなものです。しかし触れると暖かく、抱きしめることもできます。そして実体化したハリーはただクリスを「愛する」という感情しか持たないのです。恐ろしくなったクリスは、ハリーをロケットに閉じ込めて宇宙に発射しますが、部屋に戻ると2人目のハリーが。

ハリー自身も自分が何者なのか分からず苦しみ、液体窒素を飲んで自殺を図りますが、どんなに身体を傷つけても復活してしまいます。困惑したクリスとハリーの、宇宙での生活が始まります。

タルコフスキーは人間の精神世界に関心があり、この後の作品も、人間の孤独と精神世界をテーマにした傑作が続くことになります。

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