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ジョン・ヒューストン「アフリカの女王」('51英)

ジョン・ヒューストン監督がハンフリー・ボガードとキャサリン・ヘプバーンの二大スターと組み、アフリカ長期ロケを敢行して撮ったロマンティック・アドベンチャー「アフリカの女王」です。

ローズ(キャサリン・ヘプバーン)はアフリカのコンゴで布教活動をしていた宣教師の妹。兄の宣教師はドイツ軍の侵攻で教会を荒らされ、乱暴されてショック死します。

チャーリー(ハンフリー・ボガード)はコンゴ川で就航するオンボロ蒸気船「アフリカの女王号」で彼女を匿いますが、ローズは兄への復讐に燃え、川を下って湖に停泊中のドイツの砲艦ルイーザ号を手製の爆弾で撃沈しようと、とんでもないことを言い出します。

映画の大部分はオンボロ蒸気船の船内での2人芝居で、ハンフリー・ボガードが生まれてから一度も風呂に入ってないような髭面で油まみれの汚い格好で、お転婆なローズに手を焼く船長を好演。

この映画の時はボガードもヘプバーンも中年に差し掛かった年齢で、中年の男女の、最初はいがみあった芝居から徐々にラブロマンスに移行する演技を見事に演じています。

コメディあり、冒険ありの娯楽大作で、特に初期のテクニカラーなので画面が4:9のスタンダードサイズという、今となっては珍しいフォーマットの映画。上手にリストアされていて色彩が美しいです。

後半の水面を覆い尽くす葦の原に船が巻き込まれたり、瀧に落ちそうになったり、オンボロ船で激流を下る場面はアフリカロケが生きていて、なかなかの迫力です。この時期の映画は密林も砂漠も全てスタジオにセットを組んだ撮影が主流でしたが、アフリカロケを決断したジョン・ヒューストン監督の考えは正しかったと言えます。

とはいえ、この映画のロケでは撮影中にヒマさえ見つければ監督は象のハンティングに出かけていたらしく、アフリカロケの本当の目的は撮影よりもこっちだったのかもしれません。

この辺りの事情は、「アフリカの女王」の脚本家だったピーター・ヴィアテルが小説「ホワイトハンター・ブラックハート」を書きましたが、これを1990年にクリント・イーストウッドが映画化しました。撮影そっちのけでハンティングに熱中する駄目な映画監督ジョン・ヒューストンをイーストウッドが演じています。

廉価盤DVDも出てますが、このBlu-rayはそれらとは比べ物にならない綺麗な画質です。


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