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「キートンの恋愛三代記」

サイレント映画のコメディアンで映画監督バスター・キートン1923年の作品。全体がグリフィス「イントレランス」のパロディになってます。

映画解説者として著名な淀川長治のセレクトによる「世界クラシック映画選集」の一本ですが、淀長さんの名解説が付いてます。それを引用して解説に代えます。

はい、バスター・キートン、ご存知ですね、『キートンの恋愛三代記』、これは、キートンの最も素晴しい代表傑作ですよ。

これ、おもしろい事は、三代の時代を、恋愛、恋愛、恋愛、見せて、その時代が実におもしろいですね。
ローマ時代なんか凄いですね。ローマ時代は、『ベン・ハー』そっくりですね。もう凄い凄いあの戦車競争、それが出て来ます。
おもしろいのはパロディ、みんなパロディと言いまして、もじりですね、あの名作のもじり、それがキートンらしくおもしろいんですよ。

バスター・キートン、ご存知でしょう。バスター・キートンというのは、昔々でもないですけど、サイレントの頃からチャップリン、ハロルド・ロイド、ロスコー・アーバックル、デブくん、いろいろとコメディーの人いましたけど、バスター・キートンは絶対笑わないコメディアン、これがまたおもしろいんですね。ストーンフェイス、そういうんですね。(中略)

で、私は、キートン大好きで、キートンがチャップリンと二人で、『ライムライト』で、一つの場面に出て来たんですね。キートンがピアノを弾いて、チャップリンがバイオリン弾いて、二人のデュエットですね、これ観た時、涙が出ましたね。(中略)

で、バスター・キートン、バスター言うたら、「このやろう、おい、やったぞ」と言うのが、バスターいう意味ですね。キートンは一才前から舞台に出されたのね。生まれて間もなく、三か月ぐらいでお父さんとお母さんが投げっこしたの、舞台で。で、警察に怒られたの、「そんなのしたらいかん」って。

それでキートンは、三つ頃になって舞台へ上がって四つ頃、舞台から梯子で上へ上がるところでカチャンと落ちちゃったんですね。わーっとみんな、あの子泣くと思ったら、すーっとまっすぐ楽屋へ行っちゃったんですね、そのまま。

そうすると、そこにいた拳闘家が「おーい、バスター!」と言ったんです。
バスター、言うのは「良くやった、ばかやろう、良くやった」、いう意味なんですね、
それがバスターのネームになったんでした。そういう人ですよ。
【解説:淀川長治】完全版はディスクで。


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