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【娯楽の鬼】石井輝男「徳川いれずみ師責め地獄」北米盤Blu-ray

米国盤Blu-rayですが日本でも普通に観られます。石井輝男が東映で撮った「異常性愛路線」の傑作「徳川いれずみ師責め地獄」(1969)です。 ライバルの刺青師同士が殿様の御前で刺青の腕を競う「包丁人味平」の刺青版なんですが、石井輝男のサービス精神は止まるところを知らず、言葉に困る映画となっております。

タイトルバックからして凄い。磔になった女の死刑囚が刑場で死刑を執行される場面がオープニングで、地面から首だけ出してノコギリ挽きの刑になったの女の首がゴロンと地面に転がるところで「監督・石井輝男」の文字が。

そして冒頭、夜中の墓場で女が墓を掘り返している。死体の胃の中から鍵を取り出すんですね。「ああ……これでアタシは女に戻れるのね」と言って股間に付けられた貞操帯の鍵を開けようとするんですが、ポキリと折れてしまう!

「どうすればいいの?」と絶望の表情を浮かべる女。そこに「御用! 御用!」と捕物の役人が女に迫る。見てるこちらが「どうすればいいの?」ですよ。冒頭から超展開の嵐。

で、物凄く色々な展開があるんですが、途中すっ飛ばして、日本一の刺青師を選ぶ御前刺青試合がクライマックスなんですよ。「見えない刺青」とか、もう「巨人の星」の刺青版ですね。これは女に酒を飲ませて肌がほんのりピンク色になると肌から浮かび上がる刺青です。

夜光塗料で刺青を彫り、ブラックライトを当てるとサイケな模様が全身に浮かぶとか。なんで江戸時代にブラックライトがあるのか謎なんですが。

それを見た殿様が「うーん。甲乙つけ難い」なんて言ったりしてですね。甲でも乙でもどっちでもいいですよ。

この映画、過酷な撮影に主演女優が失踪したことでも有名です。逆さ片足吊りという責めを受けるシーンなんですが、余りの辛さに本物の悲鳴を上げたとか。東京熱の裏ビデオ撮影みたいです。

それで脇役だった女優に主役交代。これで主役になれたと喜びましたが、吊るされるは縛られるわグルグル回されるわで撮影は地獄だったそうです。

日本映画が斜陽になった時期で、東映はヤケクソになってエログロに走りましたが、凋落は止まらず、この映画も当たりませんでした。ところが1980年代になって、アメリカでカルト映画として石井輝男のエログロが脚光を浴びたんです。なのでこの映画もアメリカでBlu-rayになってます。日本ではDVDしか出てません。

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 責め地獄」


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