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【現場学校レポ】コンテクストを掘り下げる|情報設計の現場(坂本 貴史さん)

こんにちは!
ライブ配信セミナー『現場学校』レポート班のSカオリです。

2019年2月17日に開催された、坂本 貴史さんのセッション「情報設計の現場」のセミナーレポートをお届けします。

今回は、とっても抽象的なお話です。
うまくまとめられるかちょっと自信がないのですが、この講義はぜひレポートだけでなく実際の講義を見て、話を聴きながら考えてみてほしい!と強く思います。レポートでは言語化するより感じてほしい講義でした。

事前アンケート:「情報設計」ってどんなイメージ?

講義の前にFacebook上で坂本さんから受講者にとって情報設計のイメージ・印象はどんな感じかコメントを募っていました。

・情報設計は情報の取捨選択と見せ方を考えること
・情報(デザインやコンテンツ)の優先順位をつけたり、それをUIに落とし込むまでを考える
・情報を分かりやすく整理すること
・たくさんある情報に優先度をつけたり、グループわけしたり、関連性を明確にしたりして、わかりやすく整理することかな?

一部のピックアップですが、こんなコメントが寄せられていました。

わたしも(コメントには残していませんでしたが)「情報を洗い出してどう配置するか(ページ構成とかUIとか)」みたいな感じですかねー。

それでは今回は情報設計のお話ということで、
具体的な方法ではなく、情報設計の考え方についてをじっくりお話いただきました。

1. 対象化

「人間は区別するもの」
人は、整理と分類を行います。

例えば、PCのデスクトップ。フォルダーをいっぱい並べてる人もいれば、全く置かない人もいる。ドックのアイコンを、なんらかの分類で並び替えたり、iPhoneのホームのアイコンをフォルダ分けしていたりしますよね。
ひとりひとり、自分がどうしたいのか(どう使いたいのか)ということに起因してこのような分類をしていると思います。その「どうしてこの配置にしたのか」を分析してみるとよいでしょう。

「時間をどうイメージしているか」

これは坂本さんの頭の中のイメージで、真ん中に近いほどすぐやらなきゃいけないタスク、離れているほど先のタスク、まだやれないけど頭の片隅にあるタスクは右上のほう…みたいなイメージがあるんだそうです。

ぜひみなさんも自分がタスクと時間軸をどうイメージしてるか絵にしてみましょう、ってことで描いてみました。

パッ●マンかカー●ィ的な生き物が迫り来るタスクをばくばく食べてるイメージです(笑)軽くてすぐ終わりそうなタスクはスポーンと口に入ってきますが今すぐやらなくていいやっていうタスクは木の枝に成ってるので、食べようと思ったらジャンプして取りにいく感じですかね…本当に超イメージなんですけど。なんじゃこりゃ。

マジカルナンバー4±1

人が一時的に覚えられる数の限界は「4±1」、これは色んなところに使われています。例えば電話番号や郵便番号のハイフン区切り、クレカ番号とかもそうですね…これは人がまとまり(チャンク)として認識しているから。
その数自体が云々というより、人間はそういう記憶のしかたをしているという機能を知るというのが大事です。

これをwebサイトのナビの数、メニューの数を「4±1」にすることで、見やすさ、わかりやすさを考えることができます。基本的に人間が一度に認識するのが4つなら、メニューや情報をいかに4つに絞るか、という考え方をすると。

そういった人間に備わっている「機能」を知っていれば、それを踏まえた整理の仕方をすることができます。

パターン・ランゲージでは、日頃は意識されていない経験則を把握し、言語化していきます。

こういった上記に挙げたようなもの普段は意識してないものを経験則だけにとどめず、言語化してラベルづけすると共有しやすくなる。

「対象化」とはさまざまな事象を、パターンにして理解しやすく特定することです。
「なぜそうなんだろう、だからこうする」という論拠を色々な形で提示をしていただきました。

2. 俯瞰

人は何かを介して、全く違うことを考えているときのほうがアドレナリンが出るそうです。

知的生産というのは、頭をはたらかせてなにか新しい事柄を人にわかるかたちで提出すること

つまり、わたしたちの仕事は「何かをどうしたいか」と考えていること自体が対価になる。

何を考えるのか?

常に「何を、誰に、どのように」を押さえて考えることが大事。
このどれかが欠けていてもうまくいかないと言えます。

状況を理解し(ユーザー体験をひもとき)、どういった行動になるかを分解してみる。それをさらに再構築する(その状況をくみあげた上で作り出す)。

「具体例から、ざっくり抽象化し、具体化する」
具体と抽象をいったりきたりすることを包括的な思考といいます。

俯瞰とは、客観的に物事を見定めることで、包括的にとらえクレンジングし、具体化する際の足がかりをつくることです。

俯瞰で見るというと客観的に見る、という意味に思えますが、包括的にとらえるというところが大事なのです。

3. タスク

タスクというのは、考えることと手を動かすこと。この二つが含まれます。

旧来タスクは「手を動かすこと」だけがタスクとされ、考えることはタスクとしてカウントしていませんでした(この意識がある人はまだ多いと思います)。

たとえば「5日間でワイヤーフレームを作ってください」というタスクは分解するとこうなってますよね。なぜ作るのか?他社はどうなのか?という考える段階に大きく時間が割かれ、手を動かす作業は最後にやっと現れます。
タスクは1つの作業に見えて実際は考えることがメインになってるんですね。

コンテンツ(本質)とコンテクスト(本質の周りにあるもの)

コンテクストは何で見ている、どこで見ている、何をしながら見ている、といった状況など。日本人は曖昧な表現を好むのでハイコンテクスト、欧米では直接的な表現を好むのでローコンテクストと言われます。
ハイコンテクストは、ベースにある背景という共通認識があるから伝わるといった感じです。そういったことをわかるとできることがある。

物事を作るときに、「ナゼ」からスタートします。
「ナゼそれを買うのか?」→地域特性だったり人の属性だったり行動原理だったりと理由がある。買うという行為に対して深掘りする。ユーザー体験を考える。まず理由を追求することが大事。

このユーザー体験を考える、という点でコンテクストが非常に重要で、そのユーザーがどこで、どんな状況で、どういう理由でそれを必要とするのか…というコンテクストを掘り下げてサービスや商品が生まれるんですね。

コンテクストの例
デバイス(どのデバイスを使っているのか)
環境(使っている場所は日差しが強いか)
時間(いつ使ってるのか)
行動(どういう行動の中で使われるのか)
個性
場所(その場所特有のものはどういうものか)
ソーシャル(社会の中でどう使われるのか)

事前アンケートでわたし含め受講者の方々が挙げた「情報設計」のイメージはプロダクトデザイン視点(インタラクション、ユーザビリティ)、体験ベースで考えてそのプロダクトがどうあるべきかはサービスデザイン視点(ジャーニーからプロダクトへ)。どちらの視点の話なのか、でも大きく異なります。

タスクとは、知的生産を指しており、肉体労働ではない。なぜそうするのかを理解するために必要な時間です。

やはり、「ナゼ」をとにかく掘り下げていくことが、情報設計の要といえそうです。

4. マインド

ハタラキとは、その労働の結果、期待されている成果を生み出したか否かということです。

自分が仕事でうまくいってないな…うまくいくにはどうしたらいいのかな…と感じているのであれば、今「動ける状態」になっているかどうかがポイントになります。

周りから見て仕事を依頼される人は、「プラスの状態」を期待しています。しかし自分がマイナスの状態であれば、プラスの期待には答えられません。

じゃあどうしたらいいのか?「ゼロの状態(動ける状態)」を作り出すことです。動ける状態というのは、

俯瞰できている状態
いつでも作業開始できる状態
アウトプット先がある状態
人と話ができる状態

この状態にならないとまず力を発揮できる状態にはならないので、ゼロの地点を作ることが大事ですね。

PlanBをもつということ

プランAだけをやりつづけるのは、仕事してはうまくいくかもしれないけど「わたしじゃなくてもいい」こと。
「わたしの価値」を提案するのであれば、プランBを常に持つこと。

わたしもプランBを持ちたがるタイプの人間です。
「誰でもなくわたしがやるのだから、わたしがやったことに意味があるものしたい」という気持ちがあります。言われた通りにやるだけの仕事があんまり得意じゃない…というか。

自分の価値を高めていきたいので、プランBを提案していくことに自信を持ちたいと思います。

受講者のみなさんの中でも、「自分もプランBを持ちたい!」「プランBを作ることが自分の仕事なんだと思います」というコメントが上がっていました。こういった場で、積極的に学びに取り組んでいる方々は、おそらく「言われた仕事をするだけ」の状況を好まない体質なんじゃないかなと想像してるんですが、だからもっとこうしたい、よくするためにもっと別の方法があるはず!と考えてるんだろうなと。
わたしも言われたことだけじゃなくアイデアを出してくれる人が好きなので、すごく現場学校の雰囲気って居心地がいいなぁって思います。

マインドとは、原動力です。いくら技術を持っていたとしても、コンディションが保てていない状態では、ただ疲労するだけ。
ゼロの状態でいられるように意識して、もっと動けるようになりたいです!

最後に、質問コーナー!

プランBについての田口さんと坂本さんの対談もなかなかアツかったです。「お願いしたものを返すだけは仕事でなく作業!」との発言には、本当に自戒こめてうなずきました。。提案していくことですね、提案が自分の価値であり、自分の働き。

今回は初めて自分の質問が読まれたので(ありがとうございます!)

A. まずは役割分担です。強要する必要はありません。
役割分担ができてないなら「わたしがやります!」で済むことで、それを断れるのであれば役割分担への抵抗であって、ルールやスキルとかと別の話。
ルールというのが、組織としてのルールなのかプロジェクトとしてのルールなのか、も曖昧になっている場合もあるし、属人的なルールなのであればそれがオープンになってるのかも関係してくる。

もうひとつは自分が使いやすいようにするのか、他人が使いやすいようにするのか(誰のためのルールなのか)。すでにあるルールを変えたいとしたら、まずは自分だけでローカルルールで自分を管理すること。そして自分はこうしてますって言って提案すること。

ただ、自分が気に入らないルールであってもうまくワークしてるんであれば、それはそれでいいわけで… うーん確かにそうですね…

「どうしてやってくれないの!」というのは、やっぱりこれをやるのはわたし、これはあなた、っていうのがちゃんと決まってないから衝突してるのかもしれないですね。反省。。

まとめ

はじめに坂本さんが「今回の講義は具体的な資料の作り方とかでなく抽象度が高い話です」とおっしゃってスタートしたとおり、「情報設計をする上で、何を考えるか」というのが本講義のメインになる部分でした。

おそらくわたしだけでなく、受講者の他の方々も、坂本さんのお話の中の抽象的な言葉を聴きながらそれを頭の中で噛み砕きつつ、再構築するということをしていたのではないかと思います。講義のお話の中でおっしゃっていたことを、まさに受講しながらやっている、という状況でした。

聞いて考えるというより、考えながら聞くというか…常に頭に何かが巡っているような感覚でした。

レポートに書こうにもここで得た抽象的なお話を、どうやってまとめてレポートにしようかかなり悩んでて、実はまだしっかりと自分の中に落とし込めていないなと感じます。ライブで参加してたのですが、レポートを書き始められるまでに何回も繰り返し戻しながら見てました。毎度アーカイブ視聴に助けられてます…。頭に入ってくるまで何度でも見れるので、今回の講義を一度でストンと理解できなかった人も本当に何度でも見てほしいです!

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