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【現場学校レポ】「買わない理由」と「感情の壁」|マーケティングの現場(松尾 茂起さん)

こんにちは!
ライブ配信セミナー『現場学校』レポート班のSカオリです。

2019年2月21日に開催された、松尾 茂起さんのセッション「マーケティングの現場」のセミナーレポートをお届けします。

沈黙のWebマーケティング』『沈黙のWebライティング』をサイトで、または書籍で見たことある人も多いのではないでしょうか?あの『沈黙』シリーズを手がけられた松尾さんの講義となればこれは興奮必至です!

松尾さんの会社ウェブライダーでは、自社ツールやサービスの販売・コンテンツ制作・コンサルティング等すべての事業が相乗効果で売り上げを伸ばして会社をまわしていっているそうです。(成果を出している会社のサービスだから売れる…というサイクル)

マーケティングが得意なウェブライダーでは極力営業をしないという基本ポリシーを持っています。検索型マーケティングが非常にうまい会社なので、積極的に営業をしなくていいとのこと。

プッシュ型マーケティング:DMを送ったり自ら積極的に営業すること
プル型マーケティング  :検索等で見つけてもらうマーケティング

プル型に長けると、お客さんと対等な関係を築けるというメリットがあるそうです。

マーケティングとはその商品の価値を100%の価値で伝えること

マーケティングとは、
「その商品の価値が、その商品を必要とする人(市場)に伝わりやすくなるようにおこなう一連の施策」
と、松尾さんは定義しています。

そのマーケティングの中ではその商品の価値以上の価値で伝えることは含まれない。100の価値を120で伝えるのは、「騙すこと」になってしまう。
なので価値を100%で伝えること。LPやプレスリリースでも大げさにアピールしないようにします。

これって、我々(マーケティングをあまり身につけてない人)からすると、意外なことだと思いませんか?言われてみれば確かにそうなんですけど、実際に言われるまで「マーケティングは、いかにその商品がいいものかアピールしてなんぼ」みたいなイメージを持っていたのではないかと思います。そのために多少”盛る”必要もあるだろうとわたしも思っていたのですが、100の価値を100のまま伝えるということがマーケティングなのだというのは、改めて言われるとハッとしました。

そうでないと、150の価値があると思って興味をもったお客さんから、実際買ってみたら100の価値分しかないじゃないか!とクレームになることもあり会社の信用問題にもなる…それはそうですね。過度な期待をさせて拍子抜けしてしまったらお客さんがガッカリしてしまいます。

マーケティングを成功させるために、どのように”行動”してもらうか?を徹底的に考える

ウェブライダーでは「ユーザーの行動をどのように作って行くか」をすごく考えているとのこと。
具体例で『沈黙のWebライティング』というサイトがなぜ生まれたのか、というと、「Webライティングのウェブライダー式ノウハウをいろんな人に学んでもらいたいけれど、普通にブログ記事で書くよりこういうコンテンツにした方が、ユーザーが楽しんで見てくれるのではないか?」というところから爆誕しています。

画像の青枠のところがミソですね。
ただ、ノウハウを授けるだけではない。商品のよさをアピールするだけではなく、それを見た人が実際に行動に移してもらうところまでを考えてコンテンツを意識して作っている!

このように「人に行動してもらうコンテンツ」とは、人の背中を少し押してあげるようなコンテンツです。
行動したいけど二の足を踏んでいる人へ”少し”背中を押してあげることで行動を促す、というコンテンツは、検索してやってくる人にめちゃくちゃ刺さります。なぜなら、検索をしてやってくる人はその時点である程度「行動モチベーション」を持っているから。

「行動モチベーション」をいかに高めて行動してもらうかを考え抜くことがマーケティングの基本!

では、どうすれば行動したくなるのか?

人はとにかくやりなさい!と説得されると、無理やりやらされた行動だと嫌悪感を感じます。なので自分で納得して自分の意志で、自分から行動してもらうことが重要になります。

説得するのではなく、納得してもらい、行動に繋げる
相手の「行動モチベーション」を高め自分から行動してもらう。

うーん目が覚める思い…!
世の中のマーケティングって本当に説得型が多いのですごい押せ押せな内容の広告やLPをよく見ますよね。それとは全然違う考え方です。

人は「買わない理由」を探してしまう

ある商品について検索している時点でその人は、ある程度その商品を買いたい気持ちを持って検索してきています。しかし、買うまでに「心の奥底にある不安や悩み」を抱えてます。種類がいっぱいあるけどどれがいいのか、本当に効果があるのか、、、買いたいけど買えないもやもやを持ってしまい、行動に移せない。

買うつもりで検索しているのにも関わらず、人はどこかで買わない理由を探してしまうのです。
(口コミサイトから商品が売れるのは人に責任転嫁しているからなんだと…すごいフレーズが飛び出しました…!)

そこで、その「買わない理由」を消してあげるというアプローチをしてコンテンツを作っていきます。相手の中にある悩み、不安をきちんと解消してあげるのです。

コンテンツを書き始める前に、まずある程度行動モチベーションを持ってその商品の購入を検討している人の「買わない理由」をリストアップします。

自分たちの商品を買わない理由を自分たちで拾い上げて行くってなかなか大変な作業ですが…特に、提供する側はいいものだと思っているので、なぜ買わないかまで思い至らないことも多いのではないかな。そこを徹底的に拾うということが今回の講義の一番大事なところだなと感じました。

次に、リストアップした「買わない理由」のうち、消せるものを消していく作業をします。買うことで得られるベネフィットを考えるんですね。

このくだりの説明で例に出されたのが、ウェブライダーの商品である「ウェブライダー式SEOライティング」という動画セミナーのページです。実際にご覧いただくと、ものすごいボリュームでスクロールバーが短いことに驚きます。

たとえ買わない理由を消していった結果、ページがとても長くなったとしても、ある程度行動モチベーションを持ってきている人は読むモチベーションもあるので長くても読んでもらえるとのこと。「長くて読んでられんわ」って人はそもそもお客さんではないので、興味がない人をターゲットに合わせる必要はない

これもちょっとハッとしましたね。
今まで興味がない人にも興味を持ってもらえるようにアレコレアピールするのもマーケティングだと思っていたんですが、ここまでのお話は、「そもそも興味を持ってやってきた人がターゲットなので、興味がない人を相手にしなくていい」ということ…
興味がない人に向けてしまうとよくあるゴリッゴリのしつこいLPになってしまうのかもしれません…。

ボリュームが多すぎる長いページは嫌われる…とよく言われますが、むしろ逆で、しっかりと買わない理由を消してあげようとするとこのぐらいになってしまうとのことです。
しかし、無理やり買わない理由を消そうとしすぎて必死感が出てしまうと逆効果。買わない理由が相手の心の中で自然に消えるように意識して言葉選びや文体まで気を配ることが大事です。

買わない理由を消すだけで、マーケティング効果は現れてくるとのお話に、わ〜これからライティングするときにやってみよう〜!とうずうずしてきたのでまさに行動モチベを刺激されてしまいました笑

そもそも、なぜ買おうと思って来たのに買わない理由を探してしまうのか?

人は、本能的に「痛み」を回避したいと思う生き物。何かを買うとき、お金を払う以外にもいろんなことを費やしています。これらはすべて「痛み」なのです。

これは心理学でいうところの損失回避の法則です。

「損失回避の法則」
人は無意識に「得する」よりも「損しない」ことを選ぶという心理

第8回の角田さんの講義でも、「専門性の高い商品ほど人は騙されたくない、損をしたくないと思うので懐疑的になる。自分で詳しく知って納得して初めて内容が頭に入ってくる」というお話をされていましたね。それともつながるところがありますね!

その「痛み」をどうやってなくしていけばいいか?

1. 痛みのあとの「ベネフィット」を想像してもらう
2. 行動しないことで生まれる別の痛みを想像してもらう(煽りにならないよう注意! 今しか買えないよ、など)
3. 痛みを分散させる(分割払い・抱き合わせ購入など)
4. 痛みをやわらげる(一定期間無料・返品可能など)

しかしウェブライダーでは「痛みを分散」と「痛みをやわらげる」はほぼやらないそうです。上記の動画セミナーの場合の理由としては、「買ったからにはがんばってほしい!」から。ここで分割可や返金化にするとがんばらないお客さんが出て来てしまうので、これだけの価値がある内容のセミナーを用意し、納得して買ってもらったのだから「返品返金できない分、しっかり勉強しないと!」という気持ちになってもらいたいというウェブライダーの思いがあります。

「強制力」にもマーケティングのヒントがある

強制力というと無理やりイヤイヤやらせるように思われそうですが、そうではなく「買った以上はやらざるをえない、がんばらざるをえない」という気持ちを持ってもらうということです。相手に行動してもらうために、コンテンツに適度な「強制力」を付加するのもひとつです。

「買ったからにはがんばってよ!」の強制力で成功している例がライザップ。高額なジムですが、その分「がんばらざるを得ない」の気持ちになることが価値に繋がっています。やらない理由・行動したくない心理を持ってる人に「もうやるしかない!」と行動してもらうビジネスモデルです。
高額である分、元をとるぞ!の熱意が生まれ、その熱で行動するので成果が現れる。成果が生まれるのでその効果が口コミで広がる…というサイクルが生まれます。

今の時代は選択肢が多すぎる時代。買わない理由、行動しない理由がすぐに見つかってしまう世の中です。人は深層心理で選択肢を狭めてもらうことを願っている…というお話はなるほどなあ〜と思います。
「それしかない」時代だったら選択肢はないけど、商品も手段もいくらでも選択できるものが溢れてるほど、決断できなくなってしまってるんですね。わかるなぁ…。

ただ強制力が強すぎると、「説得」になってしまうので、「納得」と「説得」のバランスが必要になります。

感情の壁を取り払うため、情報発信者(コンテンツの話者)を考える

「誰」の話ならすんなり耳を傾けられるか?

強制力が働くとどんどん説得になっていくので、なにかを強制する場合は説得にならないように情報発信者(コンテンツの話者)をどう見せるかが大事になってきます。

人は理性(論理)よりも感情で行動するもの。
どんなに正しいことを言っていても、嫌いな人から言われたら行動したくなくなるものです。

相手に何かを伝えるときには受け手の感情を大切にすること。
この、言ってることはわかるけど受け入れられない!という「感情の壁」を取り払うことが大事です。

具体的にウェブライダーの動画セミナーのページでは、変な装飾を一切つけない・ですます調で偉そうに見せない・実績の数字を見せる・もっとも伝えたいことを最初に伝え、そのあと自分の考えを伝える・客観的な視点であることを伝える…といったことを意図して工夫しているそうです。

嫌いという感情は主に嫉妬だったりします。
嫉妬を感じさせないためには相手と比較できないようにすること。嫉妬されない独自ポジションをつかむこと…
『沈黙のWebライティング』の主人公ボーン片桐も、読者に嫉妬されない人物像にするという計算尽くのキャラ設定だったという秘密も明かされました!「このキャラおもしれ〜!」と自然に読み進めてましたが、主人公に対して嫌な意味での引っ掛かりを感じないための計算があったとはめちゃくちゃ驚きました!

(このあと松尾さんによる衝撃の生歌演奏が始まりましたが動画を見ないと何も伝わらないので現場学校受講生のみのお楽しみです笑)

最後に質問コーナー!

演奏後のどよめきもおさまらぬまま、最後の田口さん&講師の方による対談形式の質問コーナー。受講者の中にもLPやECサイトの案件等を扱っている方も少なからずいたのではないでしょうか。今回も具体的な質問が多く出ました。

A. ウェブライダーではかなり社内ディスカッションをしている。LPなどを作ったときはこれ見てどう思う?というのをみんなで話し合う。

クラウドソーシングでアンケートやモニターをとることもできるが、一長一短。見る人は「普段の行動」として見るのではなく「チェックする目線」になってしまうので、100%信用するのはきびしい。

一番大事なのは検索してくる人なので、アクセス解析を重視している。
解析してブラッシュアップもする。リリース後もアップデートをできるだけしていく。

A. (ウェブライダーの場合では)めっちゃ考えてやってるので大きな失敗はあまりないけど、リリース後にアップデートしたりはしている。

事前の作り込み段階をしっかりやっているので、「とりあえずやってみよう」で走り出すのではなく、インプット7割アウトプット3割ルールでやっているそうです。

これも大事ですよね〜webは後からアップデートできるがゆえに「とりあえずやってみて後から良くしていこう」というやり方が多いと思うのですが、「穴がある状態でリリースしてから完成に近づける」のと「仕上がった状態でリリースして、より良くしていく」のは全然違いますよね…リリースまでに念入りにマーケティングノウハウを詰め込んで作り込むっていうことが成果が出るサイト作りに大切なんだと思います。

『現場学校』を体験しましょう!

ライブ配信セミナー『現場学校』は、生放送のライブ配信を見逃した場合でも、期間中「アーカイブ視聴」ができます。

参加チケットはこちらから
https://gbgk.jp/

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