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拝啓、あのころのボスさま

ちょうど10年ほど前。
当時書いた日常コラムを思い出す。

置き去りのボスブラック。

当時頻発していた、せっかく買った缶コーヒーを、置き去りにし、今更戻る気にもならないほど遠ざかってから気づくという現象。

一度や二度なら珍事件だろうけど、正確なカウントはとれていない。これはもうお医者さんに言わせれば、現象でも事件でもなく、症状と言わざるを得ないであろうことは認めるしかない。

ただ、記憶の中では一度だけ、、、
わたくし、取りにもどりました。
それをコラムに書いたんだったなあ。

真っ黒なボスは無事その場にステイしており、無事所有者の手の中に。迷子のわが子を抱き上げる思い、よくぞ誰にもついていかなかったね!   ね、、、  ね?

すぐに気づく。

そらそうだろうよ、
こんな気味の悪い飲料を持ち帰る人などいるものか。おまけに寒い冬にコールドかつ色は黒。名はボスと申します。

そもそもボスは人にはついていかない。
立ち位置は逆だ。

まあこうして無事、
慕うボスのもとに帰ったまでは良いとして、
その直後、わたしはボスへの忠誠心を見失う。

ところであなた、
本当に、俺のボスっすか?

あれから10年のときが流れ、
人の親となった私です。

あなたもいく分、表情が変わりましたね。

二度も置き去りにして、ごめんなさい。

今でも時折あなたを思い出す。
そして思うのです。

本当に俺のボスでしたか?

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