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上と下:寝技でどちらが疲れるか?

ブラジリアン柔術は寝技の格闘技と言われます。寝技の攻防では、下に位置して守るボトムポジション(ガードポジション)と、上に位置し抑え込みを狙うトップポジションに分かれます。さて、トップとボトムどちらのポジションが疲れるでしょうか

柔道の抑え込み

ブラジリアン柔術は、柔道がブラジルで独自の発展を遂げた競技です。そのため柔道の寝技と多くの共通点があります。そこで柔道の抑え込みに関する研究から、トップとボトム、どちらが疲れるか考えてみましょう

柔道では、抑え込んで20秒経つと1本勝ちとなります。CeylanとBalciはこの抑え込みの攻防で、上、すなわち攻める側と、下、すなわち守る側でどちらが疲れるか、心拍数、血中の乳酸濃度、そして、どのくらい疲れたか、つまり疲労度を20点満点で評定してもらい比較しました(Ceylan & Balci, 2022)。

18人の5年以上の経験がある柔道選手が研究に参加しました。袈裟固めで押さえ込みの形を作ってから、20秒、上は必死で抑え込み、下は必死で逃げるという攻防を6回行いました。下が逃げた場合、すぐに抑え込みポジションに戻りました。

疲労度の評定に差

上の図のように疲労度の評定にはかなりの差がありました。ボトム、つまり必死に逃げた方は14.3点、トップ、つまり、押さえ込んだ方は10.3点で、下の方が疲労度を強く感じていました。

ちなみに回答方法は、6点でとても軽く疲れている、最高の20点でものすごく疲れているというものでした。ですから、14点ならかなり疲れを感じていたと思われます。10点だと最大値の半分ですからそこまでではありません。

心拍数にも差

心拍数と血中の乳酸濃度は、終了後1分後と6分後に測定しました。血中の乳酸濃度に違いはなかったのですが、1分後の心拍数には違いがありました。ボトム(逃げる方)の心拍数は128回/分、トップは119回/分で、ボトムの方が心拍数が多く、統計的には意味のある差がありました。ちなみに6分後にはほとんど同じになっていました(大体 100回/分)。

疲労度の評定、心拍数から判断するとやはり逃げる方が疲れるようです。ブラジリアン柔術におけるパスガードの攻防でも似たような傾向があるかもしれません。まあ、逃げるときは必死なんで当然かも。もっとも、測定の状況を考えるとパスガードの3点が入るか入らないかの攻防に当てはまると考えた方が良いでしょう。

あと、逃げてばかりだと、疲労感が強く出るようです。心拍数の違いは小さく、乳酸濃度の違いはほぼないのですが、評定した疲労感ではかなり違いが出てましたから。

引用文献

Ceylan, B., & Balci, Ş. S. (2022). Comparison of physiological and perceptual load between uke and tori after intermittent osaekomi-waza exercise in judo. International Journal of Performance Analysis in Sport, 1-11.


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