夜10時。俺は一人、街へと繰り出した。路地裏にある汚い屋台でローカルな料理を頼み、テーブルについて飯を頬張ると、隣のテーブルで同じく一人で飯を頬張っていた白人の男に話しかけられた。

話を聞くと、彼も俺と同じく東南アジアを旅していた旅人だったのだが、ここタイの魅力に翻弄され、始めは数週間を予定していた滞在も今月で4か月目に突入するらしい。羨ましいことにキレイなタイ人の彼女もでき、タイを離れづらくなっていると彼は話した。しかしそんな彼にもタイを離れる理由ができたという。それはベルギーで開催される世界大規模のフェス、トゥモローランドへの参加。高額なチケットをネットで買ってしまったため、仕方なく帰国するのだ。

なぜタイという国は世界各国の旅人にとってそんなにも魅力的なのだろうか。今まで世界を旅している色々な人に出会ってきたが、タイの評価は凄く高いと感じる。彼のように旅の途中、思いがけず長く滞在してしまった者や、世界一周を終えた後にタイに移住する者が俺の周りには多くいる。

タイという国は旅人を引き込むそれだけの魅力があるのだろう。