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東南アジア放浪記 ~諦めない心~

駅までの送迎サービスが3時間も遅れ、夜遅くに辿り着いたルアンパバーンという町。利用した中国鉄道は小便臭く、居心地が良くなかった。そしてここで予想外な事態が起こる。気分屋の俺は宿をいつも前日か当日に取るため、今日もまだ部屋を抑えていなかった。予約サイトを開いた俺は徐々に焦り始める。ドミトリー部屋の空きが一つもなく、最低料金は個室の部屋で7000円だったのである。ラオス国民の平均月収が7500円という中で、ただの部屋が7000円なんて馬鹿げている。観光客相手になんて強気なんだ。いつもは1000円前後のドミトリー部屋かタダで人の家に泊めて貰うことが多く、バックパッカーの俺は1泊に7000円もかけれない。7000円を払うか野宿するかの選択を迫られている中、俺は一か八か直接宿を探すことにした。10キロのバッグを背負いながら歩き回るのは簡単な事ではない。すれ違う観光客は楽しそうに賑やかなナイトマーケットへ向かっていく。そういえば俺は今日何も飯を食べていない。気づかなくていいことにも気づいてしまい、テンションは下がる一方だ。そしてスマホの充電もない。残り5%。焦りはさらに高まり、早足になっていく。ゴールが見えない中、一件一件宿を回るのには骨が折れる。だが幸いなことにこのエリアは近くで唯一の観光地のため、宿がこの辺りに集中している。一件二件、また一件とはんべそをかきながら宿を探し回る成人の男。15件以上は回っただろうか。ようやく一筋の光が指した。ドミトリーは空いてないけど、外にある部屋なら格安で貸せるわよ。そう言われた俺は安堵した。だがエアコンはなし、シャワーとトイレは外。カギは大きな南京錠で、どうやらこの部屋は普段は貸し出していないようだった。値段は個室で2500円。これでも高い方だが、他と比べたら断然マシだ。殺風景な部屋のど真ん中に薄い布団が敷かれていて、扇風機はついているが、冷蔵庫はもちろんゴミ箱すらない。そして壁には所々大きめな穴が空いていて虫が入り放題だ。決して良い部屋だとは言えないが、苦労して手に入れたこの部屋を俺は愛し、眠りについた。

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