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青白い顔の少女へ

「青白い顔の少女へ」

先日、わたしがダンスを始めたスタジオを訪れた。実に15年ぶりに。
スタジオは建て替えられて、ピカピカになっている。
本当に久しぶりだったので、ドキドキしながら扉を開けると、私の記憶に閉じ込められたまま
の、変わらぬ姿の先生(来年喜寿だそう!!)が
「よく来たわね〜」と出迎えてくれた。
スタジオの扉を開けるまでは、とても緊張していたはずだったが、
先生の顔を見た瞬間、わたしは完全にタイムスリップし、3日ぶりに会って話しているようにベラ
ベラ喋っていた。
お茶菓子を頂きながら、わたしや、わたしの家族の近況や、友人の近況。
わたしが今どんな風ににダンスの仕事をしているか、などベラベラ話している間、
先生はずっとわたしのことを見つめていて、一通りわたしが話した後に、
「小さい時のまんま大人になったのね。」
といって笑った。

先生曰く、わたしは無表情で顔が青白く、何を考えているかよくわからない子供だったらしい。
その頃のはるかちゃんっていつも何を考えてたの?と聞かれたけれど、
「今日もよく怒られたなあ。練習してこよう!」
とかそんなことしか、考えてなかった気がする。

わたしがダンスをやめたいと口にしたのは、小学生の時、
低気圧による頭痛で、頭が痛すぎてスタジオの入り口で嘔吐した時、一度だけだ(笑)
それ以外、今までのダンス人生22年間で口にしたことがない。

何も考えずに踊る。
やめたいと口にしない。
これがなんの苦もなくできていたのは小学生くらいまでで、
大人になっていけばいくほど、ダンスにいろんな感情が付随してきて、
こんな気持ちじゃいい踊りはできないのに!と葛藤しながら、踊るようになっていった。
ダンスが「楽しい」という言葉だけには到底収まらないほど、私とダンスの関係は深くなってしまった。

私とダンスの関係という言い方をすると、ダンスを擬人化しているみたいだけれど、本当に、人間同士の関係のようだ。長いこと付き合いすぎると、いろんな面が見えてくる。
でも、まだいいところがありそうなんだよな〜
全く私を飽きさせないな、この人。となって結局離れられない。
いや、ダンスの方から私のことを離さないのかもしれない。

スタジオを後にするとき、
これからレッスンを受けるであろう、お団子頭の低学年の少女がスタジオに入ってくる。
この人誰だろう、という目で、その少女がわたしを見る。
どう考えても、時空を超えて幼少期の自分と大人になった自分が出会ったみたいなシーンがで
き、映画のワンシーンかよ、と自分で突っ込みを入れながら、

少女よダンスを続けてね。

と頭の中で声をかけた

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