転職して半年

20歳からグラフィックデザイナーとして、時には「会社に住んでる系」な感じで擦り切れるまで働いてきたわたしも15年経ち、デザイナーからマーケティング企画職に転職した。暑い夏の日だった。

デザイナーを辞めて転職した理由はいろいろある。
・デザイナーとしてのスキル習得を満足するまでできた
・デザイナーとしてのキャリアアップ、いわゆるアートディレクターや独立、WEBデザイナーへの転換には興味が向かなかった
・新しい仕事やスキルを得たり、色んな人がたくさんいる環境で違う価値観を学びたかった
・今までのキャリアを生かしつつ軸ずらし転職できたら最高
・人とたくさん話して仕事をしたかった

結果、現在のマーケティング会社の企画職に就いてみて、すごく希望に合致しているなと感じている。
デザイナー経験なんてまったく生かせないかもと思っていたけれど、どんな仕事だってイラレがあれば、直感的に思いを伝えやすい形にできるし、デザイナーさんとの関わりは圧倒的に他の人よりも繊細に行うことができる。

デザイナーに自分のデザイナーとしての知識を教えることもできる。
わたしは24歳のころ、大手印刷会社の企画部の方たちにがっつりユニバーサルデザインのノウハウについて叩き込まれたが、意外と他社デザイナーはUDを気にしてデザイン制作していなかったりするので、そういった視点とか、あと普通に「言われたことを直す」っていうだけではなくて、全体のバランスを見たり、最終的に伝えたいことを伝えられているデザインなのかということだったり。わたしが以前習ったことを今度は私がデザイナーに教えていけるのかもなという気もする。
いろんなデザイン会社の次世代デザイナーを育成できるかもと思うとやりがいがある。(もちろん、受注側として、ただの元デザイナーとしての立場を弁えて、やりすぎないようにだけれど。)

わたしはチューニングが苦手だ。
ギターのチューニングも苦手だったけど、旧いラジオのチューニングも苦手で、あの少しのズレで放送局が変わってしまったり、雑音が入ったりするのがいやで延々とつまみを探ってしまう。それと新しい環境で浮いていないかそわそわと周りをうかがっている自分は似ている。
入社半年間はそうして、初めての大所帯な環境にチューニングを続けるような日々だったと思う。

今は少し自分の立ち位置も分かってきて、楽しめる余裕も出てきたかなという頃合い。これからもまだいろんなことを勉強していろんなことを挑戦できそうだなと、なんだかわくわくしている。
早く仕事を覚えてラクしたいけど、たくさん勉強していけるのが許される下っ端も悪くない。


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