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cEDHプレイヤーがカジュアルEDHの対戦会に参加してきたので感じたことを色々書く

・はじめに

先日カジュアル(Lv4付近推奨)EDH対戦会に参加してきました。
※当たり前ですがcEDHのデッキを持ち込むわけにもいかないので自分の中のLv4を基準として弱中強の3種類のデッキを持ち込み、デッキを使い分けたり都度パーツを入れ替えて改善したりしていました。

よく議論になりがちな「ガチとカジュアルの差」みたいなものを実際に体験することで自分なりに理解できたかなと思ったので、相互理解の一助になれば、と自分の中で感じたことを記事として残しておきます。

・カジュアルEDHは「対戦」ではなく「対話」

私は今まで、例えるならcEDHは競技レベルの高い大会でカジュアルEDHは単なる店舗大会、と思っていました。
「競技レベルの違いこそあれ、みんな自分が最終勝者になるために最善を尽くすゲームをしているんでしょ?」と。

ですが、これは誤りでした。

カジュアルの卓でもっとも重要なのは、みんなの統率者やデッキからプレイされるカード、ゲームの戦況なんかを話の種に雑談することです。

よく『nターン以内に勝つべからず』という趣旨のハウスルールが制定されていますが、あれは「nターン以降なら仕掛けていいよ」という意味ではなく「できるだけ長くゲームをしてたくさん会話しましょう」という意味です。

変にルールが制定されるとすぐに我々スパイクは「じゃあn+1ターン目に勝利するカジュアル環境最速のデッキを作ろう」とか「勝たないけど絶対負けもしないロック盤面をnターン以内に構築してやろう」などと考えてしまうわけですが、そういったスパイク的思考回路は完全に取り払う必要があります。

無論カジュアル卓でも勝利は目指しています。ただ速度を追求していないだけです。できるだけゆっくりやろうという意図があります。
これはちょっと矛盾した物言いに思えるかもしれませんが、わかりやすく言うならcEDHはロードレースでカジュアルEDHはサイクリングです。
どちらもゴールを目指してはいますが、前者は着順が重要である一方で後者は行為そのものを楽しんでいます。

たまに狂った人が一輪車で参加したり初心者が補助輪付きで参加することもありますが、ママチャリの速度を落とせば大丈夫なのでLv4卓にLv1や2が参加しても問題ありません。

しかし全力でペダルを踏んで誰よりも早く目的地に着き「リザルト1位!!!」とかやってるロードバイクには合わせられないのです。

・デッキの価格を意図して下げる必要はない

速度感を合わせるのが重要な一方で「高額カードやサーチは使わない」といった配慮は不要でした。

実際「カジュアル卓でサーチはダメかな……」と自重していたら「いや、チューターは撃つでしょ」と真面目な顔で言われました。そりゃそうだ。

カジュアル卓でも普通に教示者でサーチするし、持っているならマナクリプトも入れるし、フェッチからデュアランが出てくることもあります。

ただ安定したマナ基盤や強力なサーチカードから出てくるのがゲームを一瞬で決めうるカードやコンボではなく、ド派手で話の種になるカードだというだけです。

逆にいくら低額カードでデッキを固めても高速でコンボを決めに行く戦略はカジュアル卓には向いていないと思います。

以前私が1.5万円構築として組んだマラスなんかはいい例です。

デッキ価格が安いことは間違いないですが、カジュアル卓適正はまったくありません。

カジュアル環境で何よりも求められているのはデッキの金額を調整することではなく「空気を読み、楽しく会話すること」です。

・補足

……とだけ言うともしかしたら勘違いされるかもなので一応補足しておくと、cEDH卓でも空気を読んで楽しく会話することは重要です。
その手のイベントに行けばわかりますが、高レベル卓だって楽しげに会話しながらプレイしてます。
ただカジュアル卓と違って『卓の4人で会話を続けることよりも勝利に向かってデッキとプレイを最適化することのほうが重要』なだけです。

更に言うとcEDH卓とカジュアル卓では読むべき空気感も違うので、例えばcEDH卓で「オラクルコンボは没個性だから使うべきではない」「序盤に着地する《ドラニスの判事》はゲームをつまらなくするので採用すべきではない」などと言い始めたらむしろ空気を読めてないのはその人の方ということになります。
(自分のデッキをそういう主義のもとに組み上げる分には一向に構いませんが)

・具体的にどういうゲームになるのか

実際にどういう展開になったのかも記しておきます。

環境にもっとも多かったのは戦闘を通じて40点×3のライフを削り切る戦略です。全員ライフ狙いなのである意味合理的です。
それゆえかスタッツが高い緑はかなりの人気色です。
cEDHではともすれば最弱色呼ばわりですが、カジュアルなら一番人気かもしれません。
単色デッキも緑を多く見かけました。

更に言うと特定の誰かが早々に脱落する展開を好まないのか、誰もがライフを均すように戦闘してくる傾向にあります。
これは高打点の統率者を持つプレイヤーも変わらないので、結果として特定の誰かによる統率者ダメージ21点で退場するよりも全員に少しずつ削られる通常ライフ40点での決着が多発します。

対戦相手が減ったら嬉しいかもしれませんが、会話相手が減ったら悲しいですからね。
なので「卓で唯一の黒いデッキだから」などという理由で殴られ続けることもありません。

大丈夫かよ?と思うかもしれませんが、誰も《むかつき》とか《ボーラスの城塞》からそのまま勝とうなんて思ってないので黒を徹底的に殴る必要性は皆無です。

即死コンボについては「まあカードが4~5枚も組み合わさったら結果として全員死ぬ現象が起きてもしょうがないよね」という空気感もありましたが、誰も狙ってまではやってこなかったので暗黙の了解として誰も狙わないようになっていると思います。

特に色さえ合っていれば誰でも使用可能で没個性だったり、枚数も少なく対策が困難だったりするコンボ(要するに《タッサの神託者》ですが)や、統率者固有でも1枚足すだけで勝てるコンボ(例えば《秘密売り、ティヴィット》+《時の篩》等)は間違いなくカジュアル不適格でしょう。

それを証明するかのように、数少ない青いデッキも自ターン中にマナを使い切っていました。
誰もコンボをしてこず、マストカウンターな呪文がまったく飛んでこないなら打ち消しを構える意義が薄いので青いデッキとて毎回マナを使い切る戦略が肯定されます。

基本がコンボを積極的に狙わず戦闘でライフを均等に減らすゲームなので1ゲームにかかる時間は非常に長いです。

cEDHプレイヤーもゲームが長引いて「いや~今回のゲームはグダったな~」と感じることがあると思いますが、おそらくその『グダった』の1.5倍は長いです。

・それ、楽しい?

少なくとも私は楽しかったです。
普段cEDHで見かけない統率者から普段cEDHで見かけないカードがたくさん出てくるので環境そのものも新鮮ですし、イラストや効果は好きだけど高レベル卓ではとても通用しないであろうカードが活躍したのも最高ですね。

ただ向き不向きはあると思います。

感覚的にはアニメの遊戯王で登場人物たちがやってるデュエルに近い感じです。
現実の遊戯王は先攻を取ってサーチカード1枚から何度も特殊召喚を繰り返して制圧盤面を作れますが、アニメの遊戯王はLv4モンスター召喚罠セットエンドみたいな展開が常ですよね。あれです。

なのでアニメの遊戯王を見て「増援あるならそこから勝てるじゃん。お前のデッキはカスだな(ラファーム)」とか思う人は向いてません。
「たまには俺もフレイムウイングマンを融合召喚して殴り合いたいな~」とか思える人は向いてます。ようこそカジュアルEDHの世界へ。

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