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サラリーマン考 サラリーマンの資産の変遷について

こんにちは、人生探究の旅ナビゲーターのまっつんです。

世に言うサラリーマンの「資産」って何を指しているのでしょうか?

株式投資やFXで、お金を増やすことでしょうか?

副業したりして磨きをかける自分の「スキル」のことでしょうか?

自分に投資するためにセミナー参加や読書で得る「知識」のことでしょうか?

それとも「人脈」などの人的資産のことでしょうか?

今回、「サラリーマン考 サラリーマンの資産の変遷について」というテーマで書いてみたいと思います。

昭和・平成・令和のサラリーマンで「資産」って何を指しているのかをみていきましょう。

今回はちょっと長めですがお付き合いくださいね。

🟦いつの間にかお金に支配されている現代社会

まずは、サラリーマンを取り巻く環境を見てみましょう。

サラリーマンは、明治維新で失業した当時の知的労働階級である武士によって始まりました。

その後に大学卒いわゆる「学卒のサラリーマン」へと移行していきます。

いずれにしてもサラリーマンとは、ある意味で知的階層のテクノクラートでした。

当初は、娘を嫁がす親が「月給取りなら嫁にやろう」と言うくらい、毎月定期的に給料が入るサラリーマンはエリートでした。

サラリーマンが、父ちゃんの稼ぎで一家全員を養っていた時代ですね。

ところが、労働力と時間しか提供できるリソースを持たないサラリーマンはインフレや世界不況など外的要因が悪化すると定額支給の給料では生活が苦しくなっていきました。サラリーマンが大衆化して、工場労働者であるブルーカラーに対する、事務系労働者としてホワイトカラーと呼ばれるようになった時代です。

しかも昭和の時代は、大量生産、大量消費がキーワードです。豊かな社会は大きな消費を生み出し、新しい製品やサービスを手に入れることが差別化であった時代なのです。つまり、この頃から現金収入がないと生活を豊かに過ごすことができなくなってきたことがわかります。

3種の神器とは、「草薙剣」、「八咫鏡」、 「八尺瓊勾玉」という秘宝ではなく、サラリーマンの3種の神器として、「電気洗濯機」、「電気冷蔵庫」、「白黒テレビ」や自家用車のように現金がなければ手に入れられないものが増えて行ったからです。

そしてサラリーマンが、父ちゃんの稼ぎと母ちゃんのパートで一家全員を養っていた時代になりました。

しかし、救いはあります。この時代まだコツコツと貯金をすれば、「ハロー幸せやってくる」とのキャッチコピーがあったように金利は8.6%もあったのです。

一方で、この時代も、原野商法やネズミ講まがいの商法などに騙されるサラリーマンが一定数いました。金融リテラシーが欠如した楽して儲けたいというウブなサラリーマンは常に騙されてしまうのです。

と言う背景を確認したとことで、昭和・平成・令和と順にみていきましょう。

🟦サラリーマンは真面目に働いておけば老後の心配はない!

昭和のサラリーマンは仕事に全人生を投資しなければ成り立ちませんでした。

つまり、入社して定年退職するまでの間は、人生のメインイベントは会社であり、家族や自分の人生を楽しみのは、ワタクシゴトとして二の次でした。

それが、サラリーマンが家庭で発する3つの言葉「メシ・フロ・ネル」として表されました。家庭はエネルギーチャージの場であり、些末な家庭の話題は、最小限の関わりで済ませ、翌日の仕事のため、コンディションを備えるのでした。

それは、一度雇用されたら、生涯安泰という「終身雇用制度」があったからこそ成立した話なのです。会社のために働き続けることが、「お金」と言う資産形成の最も手堅い方法だった時代です。「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ!」と植木等が歌い上げたのもわかります。

昭和のサラリーマンは、大抵が正社員ですから、定年退職した際には退職金がきちんと出ますし、現役時代に購入した持ち家もインフレと地価の高騰で買値よりも高くなって資産は十分。年金で国内外に旅行しまくった世代です。

全く勝ち逃げの昭和世代は、羨ましい限りです。

昭和サラリーマンは、自宅の不動産と預貯金といった金融資産をいかに他人よりも稼いだのかを消費と言う方法で比較することで、自分の幸せを確認することができるのです。

令和の時代に、真面目に働きさえすれば、会社が一生面倒をみてくれる終身雇用制度なんて話、アメリカンジョークにもなりません。

では、平成・令和のサラリーマンの「資産」とは何なのでしょう?

🟦平成サラリーマンは、父ちゃん・母ちゃん正社員でもキツかった!

「ダブルインカム」って言葉は夫婦共働きを示す言葉ですが、昭和のダブルインカムは、稼いでその分消費に回すと言うスタイルでした。時間を金で買うってまさに昭和的発想です。

家事や育児もお金を出して家政婦さんやベビーシッターを雇って、その時間は自分たちは稼ぐことでさらに消費を拡大すると行ったバブリーな思考です。

バブル経済の象徴としてリゲインの「24時間戦えますか?」と言うCMが流行ったのは昭和最後の63年から平成元年くらいだったと思いますが、働いた分お金になる時代、24時間でも働いてお金を稼ぎ、お金を使うと言うすざましいエネルギーに満ちた時代でした。

当時、累計販売枚数60万枚のセールスとなる「勇気のしるし」歌詞には、「有給休暇に希望をのせて、ペキン・モスクワ・パリ・NY〜♪」とありますから、実は有給とって自身の経験値アップの世界旅行にも出かけていた時代なのです。(パスポートにスタンプが増えると偉いと自慢できた時代)

一方でその影で、昭和62年には「5時から男のグロンサン」とそこそこの出世で十分とする流れが出始めていました。この時代の新人が今の働かないおじさんたちになったと言うわけですね。

ところが、平成サラリーマンたちの時代にはこの方法が通用しなくなります。

土地は高騰し、年収の5倍が限界と言われた住宅ローンは、軽く7〜8倍は超えていましたし、子供の教育費(進学塾や大学の学費・仕送りなど)で平成サラリーマンは「社畜」など揶揄されるまで苦しい生活になりました。

バブル崩壊で、出鼻を挫かれた就職氷河期以降は夢の後片付けに30年もかかったからです。

同じダブルインカムでも、平成は底辺に落ちないための「共働き」という選択になってきています。

そもそも昭和の時代は、日本がジャパンアズナンバー1と言われた時代から、GDP比較で、アメリカ20兆5802億ドル(約2222兆円)、中国は13兆3680億ドル(約1443兆円)、日本は4兆9717億ドル(約536兆円)ともうトップの背中も見えないのです。

中国の新入社員が月給40万円なんて破格な金額提示が話題になる中、日本ではその半分20万円程度です。

失われた30年の平成サラリーマンは、消費を楽しむという昭和サラリーマンの持っていた金銭的余裕も失いました。

そして平成サラリーマンは、自身を自虐的に社畜と呼称し、同じ境遇の他人との微妙な連帯感や一種の諦め的な高望みをしない生き方が定着した感があります。

平成サラリーマンは「お金」を追い求めることをヤメたのでした。自分の生き方や身近な幸せを大切にするため、管理職昇進を望まず、転勤命令が出ると転職したりと「お金」と「出世」と言う昭和のインセンティブが働かなくなりました。

平成サラリーマンは、昭和サラリーマンのように会社での出世や、高級外車などわかりやすい富の象徴に無駄なエネルギーを浪費しないようにダウンサイジングした、自身の周りの生活環境や友人関係を資産と考えた世代のように思えます。

🟦令和のサラリーマンは何を資産とするのか?

さて、本題の令和サラリーマンです。

令和のサラリーマンは、大手一流企業に就活して、トップを目指して組織で働くのか?

それとも父ちゃん、母ちゃん正社員という平成サラリーマン的共働きで平均的家庭という幻想を維持するために働くのか?

令和のサラリーマンは、そんなことでドライブがかかることはないと思います。

彼らは、資産=金融資産、また仕事=サラリーマンと言う考えに囚われてはいないのです。

また、世間で言う平均値がすでに幻想であることを理解しています。

人生の目的を物質的欲求の満足感や金銭的な比較による成功という基準ではなく、

自身の「成長」と「社会貢献」によって自分の周りの世界を少しでも心地よい環境にすることに重きを置いているように思えます。

トヨタのような大手一流企業でも終身雇用はできない宣言をしており、他の大手企業でも副業を勧める状況ですから、会社の中にしてはもはや成長が限られているということを企業が自ら認めているようなものです。

それに、ネット中心の情報社会に移行していますから、サラリーマンの年収を月収として稼ぐ人たちが出現している時代です。

当然、65歳(そのうち70歳雇用へ)まで、会社の中に留まって一生を送りたいとは考えていないのです。

令和サラリーマンの資産は、「人との繋がり」であり「自身の成長」となります。

そして、かられの視野は、企業という狭い視野から眺めた世界ではなく、社会貢献という広い視野に立って、自身の周りの環境をよりよくするという現実的なアプローチを楽しく行うというものです。

ですから、令和のサラリーマンの金融資産の実は、シンプルなのです。華美な生活をすることではなく、自身の気に入ったことや趣味、そして少しばかりの社会貢献へ使えるだけあればそれで十分という考え方なのです。自身の成長と人との関係性、地域コミュニティとの関わりが資産と考える世代なのです。

ピーター・ドラッガーが1990年に『非営利組織の経営』「原文:Managing the Non-profit Organization: Practices and Principles」においてNPOで自身の能力を発揮することに意味を見つける人々の時代がやってきてると指摘してことがやっと日本にも定着し始めたのかもしれません。

ドラッガーの言葉に「最初の仕事はくじ引きである」とありますが、「何によって憶えられたいか」という言葉も残しています。 

長期にわたる職業生活の中で成し遂げられる人はそれほど多くはいません。しかし、後から他人に自身がどのようなことを成し遂げた人物だと記憶されるかということを念頭に置いて、方向を定めて、日々努力し働かなければならないと言うことを示唆しています。

この仕事を通じた「成長」が目的として重要な時代なのです。

今回は随分長文となりましたが、「サラリーマン考 サラリーマンの資産の変遷について」というテーマで書いてみました。

最後までお読みいただきありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです。

🟦ドラッガーに一度会いたかったなぁ まっつんブログ









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