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高血圧の闇 ~血圧降下薬にはお気をつけください!~

血圧降下薬を飲まれている方にご忠告いたします!
その薬はほんとうに必要でしょうか??
この記事をよく読まれてご判断ください!

1.血液・血圧とは
(1) 血液
血液は体内の細胞や組織に酸素や栄養を供給するとともに、二酸化炭素や代謝産物(老廃物)を除去するためのもので、生命維持に不可欠な役割を果たしています。
① 酸素と栄養素の供給
   血液は肺から取り込んだ酸素を体中の細胞に運び、消化器系から摂取した栄養素を各組織や臓器に届けます。
   これによって細胞はエネルギーを生成し、正常な機能を維持することができます。
② 二酸化炭素や代謝産物の除去
   細胞がエネルギーを消費して代謝を行う際には、二酸化炭素や他の代謝産物が生成されます。
   これらの廃棄物を血液が体外に運び出し、肺や腎臓を通じて排出されることで、体内の環境を健康な状態に保ちます。
③ 免疫機能の支援
   血液は免疫細胞や抗体を運搬し、体内の異物や病原体に対する防御機能をサポートします。
   感染や炎症などが起こったさいに、血液によって免疫細胞が病灯巣に到達し、治癒を促す役割を果たします。
④ ホルモンの運搬
   血液は内分泌腺から分泌されるホルモンを全身に運搬し、体内の各組織に影響を与える役割を果たします。
(2) 血圧
この血液を全身に行き渡らせるために、心臓が血管に与える圧力のことを血圧と言い、通常、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)で表現されます。
① 収縮期血圧(最高血圧)
   心臓が収縮して血液を体中に送り出すときに、血液が血管壁に加える最大の圧力を示します。
② 拡張期血圧(最低血圧)
   心臓が拡張して新たな血液を吸い込むときに、血管壁に加える最小の圧力を示します。
血圧はミリメートル水銀(mmHg)で表され、正常な成人では一般的に収縮期血圧(最高血圧)で120mmHg未満、拡張期血圧(最低血圧)で80mmHg未満とされます。
血圧は心臓と血管の状態を評価するための重要な指標であり、高血圧や低血圧といった血圧の異常は、健康上の問題を引起こす可能性があり、薬物療法を必要とする場合があります。
定期的な血圧の測定は、心血管疾患や他の健康問題の早期発見と管理に役立ち、健康を維持するためには、適切な食事、運動、ストレスの管理、喫煙や過度の飲酒を控えることなどが重要です。

2.血圧の基準
血圧の基準は、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の数値によって分類され、一般的な基準は以下のとおりとなります。
(1) 収縮期血圧(最高血圧)                   
   正常血圧   : 120mmHg未満                       
   正常高値   : 120〜129mmHg                     
   高値血圧   : 130〜139mmHg     
   Ⅰ度高血圧  : 140〜159mmHg     
   Ⅱ度高血圧 : 160~179mmHg
   Ⅲ度高血圧: 180mmHg以上
(2) 拡張期血圧(最低血圧)
   正常血圧   :   80mmHg未満
   正常高値   :   80mmHg未満
   高値血圧   :   80〜  89mmHg
   Ⅰ度高血圧  :   90〜  99mmHg
   Ⅱ度高血圧 : 100~109mmHg
   Ⅲ度高血圧: 110mmHg以上

3.高血圧によるリスク
高血圧は心血管疾患や脳卒中などのリスクを増加させる可能性があるため、早期発見と適切な管理が重要です。
(1) 心血管疾患・脳卒中
高血圧は心臓と血管に負担をかけ、動脈硬化を引起すと言われています。
動脈硬化により、血管の内壁が厚くなり、血流が制限されるため、心臓や脳に酸素や栄養素を供給する能力が低下します。
結果として、心筋梗塞(心臓の血流が遮断されることによる損傷)、脳卒中(脳の血管が詰まるか破れることによる損傷)、心不全などのリスクが高まります。
(2) 腎臓障害
高血圧は腎臓にも負担をかけます。
長期間の高血圧は、腎臓の血管を損傷させ、腎機能が低下するリスクが高まるとともに、進行すると慢性腎臓病を発症する可能性があります。
(3) 視覚障害
高血圧は網膜の血管に影響を与えることがあり、網膜症などの視覚障害が発生するリスクが高まります。
(4) 心房細動
高血圧は心房細動(心臓の不規則なリズム)の発症を促進する可能性があり、血栓の形成により脳卒中のリスクを増加させることがあります。
(5) 血管病変
高血圧は血管内の炎症や損傷を引き起こす可能性があり、血管壁の健康を損なうことがあります。

4.血圧降下薬
高血圧による心血管疾患や脳卒中などのリスクを軽減させるため、血圧を下げる薬を処方
することがあり、以下のようなさまざまな作用機序と副作用をもったものがあります。
(1) ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
   アジルバ (azilsartan)、ブロプレス(Candesartan Cilexetil)
(2) カルシウム拮抗薬
   アムロジピン(Amlodipine)、ニフェジピン(Nifedipine)
(3) ディウレティクス(利尿薬)
   ヒドロクロロチアジド(Hydrochlorothiazide)、フロセミド
   (Furosemide)
(4) ベータ遮断薬(β遮断薬)
   メトプロロール(Metoprolol)、アテノロール(Atenolol)
(5) ACE阻害剤(血管収縮抑制薬)
   エナラプリル(Enalapril)、ラミプリル(Ramipril)
(6) 中枢作用性薬
   メチルドパ(Methyldopa)、クロニジン(Clonidine)

5.血圧降下薬の副作用
(1) ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
   血管浮腫、低血圧、高カリウム血症、急性腎障害、肝機能障害、横紋筋
   融解症、咳、頭痛 等
(2) カルシウム拮抗薬
   低血圧、足のむくみや頭痛 等
(3) ディウレティクス(利尿薬)
   頻尿や尿量増加、低カリウム血症、低ナトリウム血症 等
(4) ベータ遮断薬(β遮断薬)
   低血圧、疲労感やめまい、冷え性や手足のしびれ 等
(5) ACE阻害剤(血管収縮抑制薬)
   咳、高カリウム血症、血圧低下によるめまいや脱力感 等
(6) 中枢作用性薬
   疲労感やめまい、眠気や注意力低下 等


6.日本における血圧基準値の推移
日本における血圧の基準値は以下のとおり変化してきました。
(1) ~1999年
厚生省(現在の厚生労働省)が「高血圧症診療指針」を策定し、血圧の基準値を収縮期血圧が160mmHg未満、拡張期血圧が95mmHg未満と定め、血圧が160/95mmHg以上の場合が高血圧とされました。
(2) 1999年~
日本高血圧学会と日本動脈硬化学会が共同で「日本高血圧治療ガイドライン」を発表し、血圧の基準値を収縮期血圧が140mmHg未満、拡張期血圧が90mmHg未満に修正しました。
また、収縮期血圧が120〜139mmHg、拡張期血圧が80〜89mmHgの範囲を「正常高値」としました。
(3) 2019年~
日本高血圧学会が「日本高血圧学会2019年度治療ガイドライン」を発表し、高血圧の定義を収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上としました。
また、「正常高値」の範囲を収縮期血圧が120〜129mmHg、拡張期血圧が80mmHg未満としました。
以上のとおり、近年では血圧の基準がより厳しくなってきており、1999年以前は収縮期血圧が160mmH未満まで基準内とされていたものが、いまや130 mmHg未満までとなっており、これにともない血圧降下薬の摂取者は大きく増加しています。
※ 日本高血圧学会等による調査結果『Hypertension Research』誌2022年6月10日発行によると、高血圧患者数約2,700万人で、その9割(約2,400万人)が治療薬を摂取。

7.最新の研究結果
コレストロール薬の闇を知ってしまったなか、近年の血圧基準値の厳格化から、その基準値の妥当性や血圧降下薬の服用効果に疑念が生じるところです。
そこで、血圧降下薬の効果を研究した論文を確認しましたところ、コレステロール薬と同様、近年、疑義を呈する論文が続々と発表されており、とんでもない状況がわかりました。
(1) 心血管疾患による死亡リスク
日本人39,705人を対象に血圧降下薬の服用・非服用に分け、平均10年間にわたり心血管疾患による死亡リスクを追跡した観察研究の結果、血圧降下薬を服用した場合、Ⅱ度高血圧以上の男性以外、たとえ正常血圧になったとしても、心血管疾患リスクが増大するということです。
【心血管系疾患死亡リスク】(ハザード比:血圧降下薬を服用していない至適血圧の方の死亡リスクを1)
降下薬服用 至適 正常 正常高Ⅰ度高Ⅱ度高Ⅲ度高
男 なし 1.00 1.15 1.65 1.77 2.29 2.84
性 あり 3.02 1.84 2.41 2.67 3.70 3.48
女 なし 1.00 1.40 1.33 1.87 1.58 2.04
性 あり 1.51 2.49 2.13 2.25 2.56 3.78
※ 至適(収縮期血圧120未満、拡張期血圧80未満)、正常(収縮期血圧120〜129、拡張期血圧80〜84)、正常高(収縮期血圧130〜139、拡張期血圧85〜89)、Ⅰ度高(収縮期血圧140〜159、拡張期血圧90〜99)、Ⅱ度高(収縮期血圧160〜179、拡張期血圧100〜109)、Ⅲ度高(収縮期血圧180以上、拡張期血圧110以上)。
※ 引用文献:Kei Asayama,et al.,『Cardiovascular Risk With and Without Antihypertensive Drug Treatment in the Japanese General Population Participant-Level Meta-Analysis』,Hypertension. 2014;63:1189-1197,TableS3・S4
(2) 冠動脈疾患の10年内発症率
日本人15,672人を対象に年齢、性別、喫煙、収縮期血圧、血圧降下薬服用、糖尿病罹患、HDLC値、非HDLC値に分け、平均16.4年間にわたり冠動脈疾患発症率を追跡した観察研究の結果、血圧降下薬を服用した場合、どのような血圧になったとしても、血圧降下薬を服用しない人と比べ、10年内の冠動脈疾患発症率は高まるということです。
【冠動脈疾患10年内発症率】
      降下薬服用 収縮期血圧
                           110   125   135   150   170
男        なし       1.0% 1.3% 1.5% 1.8% 2.4%
性        あり       2.8% 2.8% 2.9% 2.9% 3.0%
女        なし       0.3% 0.4% 0.5% 0.6% 0.8%
性        あり       1.0% 1.0% 1.0% 1.0% 1.0%
※ 年齢が60歳で、非糖尿病、非喫煙、non-HDLCが140mg/dl、HDLCが55mg/dlの場合。
※ 引用文献:Hiroshi Yatsuya,et al.,『Development of a Risk Equation for the Incidence of Coronary Artery Disease and Ischemic Stroke for Middle-Aged Japanese』,Japan Public Health Center-Based Prospective Study. Circulation Journal, 2016; 80: 1386 – 1395, Figure 3
(3) 脳卒中の10年内発症率
日本人15,672人を対象に年齢、性別、喫煙、BMI、収縮期血圧、血圧降下薬服用、糖尿病罹患に分け、14年間にわたり脳卒中の発症率を追跡した観察研究の結果、血圧降下薬を服用した場合、Ⅱ度高血圧以上の方以外、たとえ正常血圧になったとしても、血圧降下薬を服用しない人と比べ、10年内の脳卒中発症率は高まるということです。
【脳卒中10年内発症率】
降下薬服用 至適 正常 正常高Ⅰ度高Ⅱ度高Ⅲ度高
男 なし 2〜3% 3〜4% 5〜6% 6〜7% 8〜9% 10〜12%
性 あり 7〜8% 7〜8% 7〜8% 8〜9% 8〜9% 12〜15%
女 なし 1〜2% 2〜3% 2〜3% 3〜4% 4〜5% 5〜 6%
性 あり 4〜5% 4〜5% 4〜5% 4〜5% 4〜5% 7〜 8%
※ 年齢が60~64歳で、非喫煙、BMI<25、非糖尿病の場合。
※ 引用文献:Hiroshi Yatsuya ,et al., 『Development of a Point-based Prediction Model for the Incidence of Total Stroke Japan Public Health Center Study』, Stroke. 2013;44:1295-1302, Table2・3
 
以上の近年における日本の研究結果から、重度の高血圧患者以外、血圧降下薬を服用する意味はないどころか、逆に血圧降下薬を服用した人のほうが心血管疾患や脳卒中を発症しやすくなるというまさに本末転倒な状況が起こっていることが明らかとなりました。
たしかに、昔は栄養素が不足し、血管が損傷しやすかったため、高血圧によって脳出血を発症する方が多かったのですが、最近では逆に脳梗塞のほうが多くなっていますので、血圧を下げる薬を服用することで、脳梗塞を引起こすリスクが高まっているのかもしれません。
さらに言えば、臨床試験における不正・改竄の防止を目的とした罰則制度導入以前は、製薬企業がスポンサーとなった臨床試験において、服薬効果増大や副作用リスク減少という恣意的な研究結果の改竄が行われていたうえに、近年でも世界第2位のノバルティスファーマ社と国内最大の武田薬品工業の血圧降下薬の臨床試験において同様な改竄が行われていたとのこと、なにを信じていいのかわからなくなります。

8.高血圧の闇
血液は体内の細胞や組織に酸素や栄養を供給し、代謝産物や二酸化炭素を除去するためのもので、全身の細胞が正常に機能するための生命維持に不可欠な役割を果たしています。
とくに高齢者においては加齢により動脈硬化が進み、血圧が高くなるのはきわめて自然なことであるにもかかわらず、同一の基準で薬によって強制的に血圧を下げることで引起こされるデメリットが過小評価されている懸念があり、近年の血圧基準の厳格化による高血圧患者数の大幅な増加が適切な便益をもたらすものなのかどうか、きわめて疑念が湧くところです。
本来、最新の研究にもとづき、よりスピーディーに基準値を見直し、適切な投薬・治療方法の見直しにつなげていかなければならないのですが、残念ながら軌道修正は遅々として進んでいません。
その理由は製薬業界と医療学会の双方の利益に通じる癒着があるからと言われています。
すなわち、国内で4,300万人の高血圧者、2,700万人の高血圧患者、2,400万人の高血圧治療者で1兆円、海外も含め300憶米ドルと言われる治療薬市場が失われてしまうことと、処方すればほぼ確実に血圧が低下するという高い有効性(たんに数値が下がるというだけの話で、実際には健康を害するリスクが高まっているのですが)が原因と思われます。
ただ、その結果、健康な人が病人にされ、薬漬けにされていくのを放置しておくわけにはいきません。
一人でも多くの方に血圧の闇についてお知りいただき、血圧降下薬の服用がほんとうに必要なのかどうか、あらためてお考えいただきたいと切に願います。
薬に頼ることなく、血管損傷の原因となる飲酒、喫煙、炭水化物、高塩分・インスタント・加工食品、ラーメン・菓子・清涼飲料水、揚げものを控え、低脂肪高タンパク質の食品(鶏の胸肉やささみ、赤肉、豆類、発酵食品、卵、魚等)と野菜類をバランスよく摂り、足腰に負担のない範囲でウォーキングなどの運動をされることをおすすめします。

【参考文献】エビデンスに基づく医療(EBM)探訪 第3回「高血圧はどの程度危険か」2016年12月20日掲載
RIETI 独立行政法人 経済産業研究所
上席研究員 関沢洋一https://www.rieti.go.jp/users/sekizawa-yoichi/serial/003.html

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