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テクノロジーの進化がもたらす、思ってもみなかった変化

まだアップルに勤めていた頃、僕はなぜか割と奇妙なプロジェクトにアサインされることが多く、お陰でかなり貴重な体験をさせていただきました。

例えばこのQuickTake 100という製品は、そんな思い出深いプロジェクトの一つです。これ、要するにデジカメなんですが、発売は1994年2月と、初めて世界的にヒットしたカシオのQV-10よりもさらに1年以上早かったのです。開発自体は1993年に行なっていました。

しかし、アップルはこの製品でコケてしまったのです。93年といえばネット普及のさらに2年前ですから、時期尚早だったのかもしれません。また、スティーブ・ジョブズ復帰以前だったので、リーダーシップが不足していたのかもです。

それはさておき、このプロトタイプを手にした時のなんとも言えない興奮は今でも忘れられません。「世の中は確実に変わっていく」と確信したのをよく覚えています。そしてそこからホンの5、6年後にはデジタルカメラがあまねく普及し、フィルムカメラは駆逐されることになったのです。

予想もしなかった変化
フィルムカメラが駆逐されることは開発の途中になんとなく予想しました。僕がまったく予想もしなかったのは、カメラ付きのデバイスが世界中の一人一人にまで普及し、なんでもかんでも全てがネットにアップされる世の中になることです。レストランに入るといちいち食べるのもの写真を撮ってソーシャルメディアにアップするとか、さらには自分自身が冷蔵庫や食洗機などに入った写真をアップして職を失う人が出現するとか、本当に想像さえしませんでした。

iPhoneも想像しない変化を生んだ
世の中が変わる予感で心が震えるような思いがしたプロジェクトをもう一つあげるとしたら、やっぱりiPhoneです。本当に「世の中が激変する」というセリフが頭の中をグルグルと駆け巡り続けました。

このiPhone、まだ発売以前に一部の社員に支給されたのですが、これを皮切りにいつでもどこにでも果てしなく仕事のメールが届くようになり、仕事から切り離れる時間が一切なくなってしまったのです。というわけで「プライベートと仕事が境が一切なくなる」というのは発売前から容易に想像がつきました。

予想だにしなかったのは、仕事があろうがなかろうがずーっとスマホを見ている人が大量に出現するという事態です。それから、スマホ子守とか「インスタ映え」なんていう言葉が流行るとか、思いつくことさえもありませんでした。本当にテクノロジーの進化は思いがけない変化をもたらすものです。

AIは社会にどんな変化をもたらすか?
次のテクノロジーのトレンドといえば、AIです。「AIによって失われる仕事」なんていう感じの記事をよく目にしますが、これは言わば「予想可能な未来」に過ぎません。AIが普及した暁には、現時点での僕らの想像のはるか斜め上を行くような現実がごく普通の日常になるはずです。

まず完全に妄想レベルですが、「AIと人間の一体化」というのが一つのキーワードになりそうな気がしています。「ググれカス!」じゃなくて「AI使えカス!」とか言われるようになるんじゃないでしょうか?

AIをフル活用するのはまったくの普通のこととして受け入れられるようになり、「その上で何ができるのか?」が新しい個人の能力として評価されるになるのです。例えば創造力の豊かな人はAIとコラボして芸術作品とか新しい音楽とか文学作品を生み出すでしょうし、まったく新しい病気の治療法とかも発見されそうです。今では考えられないほど面白いゲームとかも生まれるんじゃないかと思います。その一方で、AIの側にいいように使われて、時間と金をとことん無駄にする人も大量発生するでしょう。AIを利用したサービスや製品を提供するのは企業ですから、これはある意味仕方がありません。要するに今の課金ゲームとかと同じことです。

やがてAIが普及、発達するにつれて、AI依存症になる人が大量発生します。AIがないと何一つ自分でできない人々です。AIが落ちてしまうと、仕事はおろかプライベートの生活さえも立ちいかなくなります。僕はGPSのおかげでもはや道なんてまったく覚えていませんが、それがもっとひどくなって、AIがないと一切の思考さえもができなくなるのです。AIが止まる日は、社会がほぼそのままゾンビ化してしまうかもしれません。

具体性に欠けてて申し訳ありませんが、まあ要するにAIが発達すると、個人の能力差は今よりもさらに拡大し、ものすごい優秀な人もたくさん出てくる一方で、ヤバいくらい怠惰で脳力の弱い人も大量発生しそうな気がしています。

さて今日のところはここまで。このテーマは、もっと深く考えてみたいな、と思っています。


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