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交換留学を考えているアナタへ

※この記事は有料マガジンの土日版です。というわけで本日は無料です。

僕はもう21年も海外で生活していますが、その記念すべき最初の1年は高校2年生の時の交換留学でした。今日はその時の体験を振り返り、必要な準備や現地への溶け込みかた、また、留学後の過ごし方などについて綴ってみることにします。

どんなところに留学したか
まず、僕の留学体験をかいつまんで説明したいと思います。留学したのは1982〜83年の1年間で、高校2年生で16歳のときでした。行き先はアメリカの中西部の田舎で、オハイオ州のコロンバスというところです。コロンバスは当時「アメリカでもっとも平均的な都市」と言われ、新製品の市場テストなどに各企業が利用する、極めて平均的なアメリカの地方都市でした。政治的にも中庸で人口構成も極めて平均的で、良くも悪くも特徴のない穏やかな町でした。

お世話になった家庭は共働きの両親に子供4人と、当時のアメリカとしては極めて平均的なクリスチャン家庭でした。僕が住んだ時には一番上の兄はすでに海兵隊員になっており、家に住んでいませんでした。僕自身男3兄弟の真ん中っ子として育ったので、あまり違和感はありませんでした。

準備、現地の暮らし、帰国後
それでは次に、交換留学にまつわる諸々を、3つのフェーズに分けて説明したいと思います。

準備編
行く前にやっておくべきことは、主に5つあります。「えっ!」と思うものもあるかも知れませんが、全て実体験に基づいていますので、ぜひ読んでみてください。

1)留学生をホストする
2)当たり前の挨拶ができること
3)家事
4)英語の勉強
5)日本について知っておく

1)留学生をホストする
経済的な事情が許せば、自分の家庭に留学生を1〜2ヶ月ほどホストしてみましょう。これ、留学前の準備としてもっとも効果的な体験でした。本当に強くオススメします。部屋が狭いとかも関係ないです。僕自身、ホストブラザーと相部屋でした。留学生は異文化体験をしに来てるのです。一人部屋を与える必要なんて全くありません。日本のフツーの暮らしを体験してもらうのがキモなのです。お客さん扱いせず、自分のことはなんでも自分でやらせましょう。

実際に留学生をおいてみると、どんなところでコミュニケーションにつまずくか事前体験できますし、どんな態度がカチンととくるかなどが身に染みてわかります。やっぱり、「人の振り見て我が振り直せ」って効果的な学習方法なのです。無論、好ましい振る舞いもよくわかります。留学生が部屋にこもりきりで英語の本ばかり読んでいると「こいつ何しに日本来たんだよ」と感じるものです。ですから自分が行った時にも、自室にこもって日本語のYoTtubeばかりみるようなことは自然に避けるようになります。家族にとっても強烈な異文化体験になりますし、外国人に対する意識や理解も大きく変わります。親御さんにとっても、自分の子供との比較対象ができることで、たくさんの学びがあります。

それから英語自体にも非常に慣れます。様々な生活の場面で、どんな時にどんなふう言うのかしっかり聞き出しておきましょう。

ちなみに私、自分が16歳のときに我が家にスティした留学生と今でもやりとりが続いています。相性がうまく合うと、生涯の友達ができます。太っ腹に外国人をおいてくれた両親には本当に感謝感謝です。

2)当たり前の挨拶ができること
留学先で嫌われる1つのパターンに、ろくすっぽ挨拶一つできない、っていうのがあります。相手だって同じ人間ですから、こちらがニコニコと挨拶すればやっぱり悪い気はしないわけです。この辺りは言葉の問題ですらないすね。朝晩の挨拶をする。お礼を言う。そういうごく当たり前の振る舞いができるかできないかが、留学生活の快適度が大きく左右します。

3)自分のことは自分でできること
掃除、洗濯、食事の用意。普段こうしたことが全て親かがりの高校生って少なくないのではないのかと思います。せめてりんごの皮むきや洗い物くらいは手際よくできるようになっておきましょう。朝起こされないと起きれないとか論外です。この辺りさえもできないと、ろくに言葉もできない上に、家事の手伝いもできないまったくの木偶の坊に成り果ててしまうからです。

掃除、洗濯、食事の用意くらいは自分でやることを習慣付けましょう。ボタンつけもできるようになっておくと便利です。またお味噌汁、天ぷら、肉じゃがなどといった、代表的な料理をいくつかできるようになっておきましょう。お鍋でご飯も炊けた方がいいですね。炊飯器があるとは限りませんので。時々日本食を作ってあげると、ホストファミリーや友達との距離がグッと縮まります。

正直言って、語学よりもこうした生活能力が大事だと思うくらいです。お子さんの留学を検討なさっているのでしたら、必ず家事手伝いをやらせておいてください。結局は本人のためになります。

4)英語の勉強
英語の勉強で最低限やっておくべきことは3つです。一つはフォニックス。フォニックスを知っていると、その辺の看板とかレストランのメニューとかがかなりスムーズに読めるようになります。最初はそれさえ大変ですから、これは強くオススメします。それから、ごく簡単な言い回しを200くらい丸暗記して、スムーズに言えるようになっておきましょう。これがだけでも、最初の生活の苦しさがまったく違います。スカイプ英会話などもありますから、とりあえず必要最小限度のことをスムーズに言えるように練習しておきましょう。

それから、単語をできるだけたくさん覚えていってください。最悪、単語さえ知ってれば相手の言っていることを類推できる範囲が広がります。また、とりあえず単語を並べて意思の疎通ができることも増えます。小難しい文法解析とかすべて後回しでいいです。文法は中3までで十分です。そのエネルギーがあったら、単語に暗記に費やした方がいいです。とりあえずは日本語とペアでもなんでもいいです。最初の目標はサバイバルですし、まだ若いので後から日本語を抜くの、あまり大変じゃないからです。

初心者向けの学習方法については、参考記事を最後に貼っておきます。

5)日本のことを説明できるようになっておく
外国に住むと、本当に意外なことを色々と聞かれます。満員電車の様子とか、和式トイレと洋式トイレの違いとか、女の子にアプローチするときはどうするのかとか、日本人はどんな宗教を信じているのか、などなどです。高校生でしたので経済や政治の話はあまり聞かれませんでしたが、思いがけない日常のことをよく聞かれ、返答に困りました。

今だとYoutubeやグーグル検索で映像を引っ張ってきて見せることができるので、話題もかなり変わったかもしれませんね。でも、ポンポンと話せたほうが確実に楽しいです。

現地での暮らし
当時のことを振り返って大変だったな、と思うことは、「孤独感」と「英語が下手すぎる」の2点に集約できます。孤独感は最初の数ヶ月が本当に強烈でした。これは英語が下手すぎることともあいまっているのですが、周囲が話してることがほとんどわからないため、たとえ大勢の中にいても、そこで自分だけ透明になって浮遊してるような感じでした。友達ができ始めたり、ホストファミリーとある程度親しくなるまでの2〜3ヶ月は本当にしんどかったです。

お手伝いと部活動
この時期に有効だったのは、ホストファミリーのお手伝いと部活の参加でした。ホストファミリーが買い出しに行くと行けば付いていって荷物運びなどを積極的にしました。食事の支度や洗い物、薪割りなども随分やったものです。あ、朝は自分で起きましょうね。これ、留学生を置いてみるとわかりますが、甘ったれた留学生ってホント、カチンときます。ホテルに滞在してるんじゃないんですから、自分のことは全て自分でやりましょう。

こうした体験を通じて、気がつくとホストファミリーと非常に仲良くなれました。このの一家とは35年が過ぎた今でも行き来があります。自分の子供を連れて行ったこともあり、子供同士でも仲良くなったり... 。まさかこんなふうに一生の関係が続いていくなんて、当時は想像さえしていませんでした。

また、部活動を通じて親しい友達ができました。運動は言葉が要らないのがいいです。共通の目的に向かって汗を流し、お互いカッコ悪いところも見せ合ってしあうので、後はもう仲良くなるしかありません。部活は本当にやってよかったです。

後悔があるとすれば、日本にいるうちに英語の勉強をしっかりとしなかったことです。とにかく渡米直後は本当に苦しかったです。巻末の英語学習を参考に、ぜひ取り組んでください。

自室にこもらないこと
アメリカ人ってリビングルームで結構くっちゃべったりテレビを見たりするんです。会話に加われても加われなくてもいいので、こういうのに付き合いましょう。スーッと自室に引きこもってると、「なにか不満でもあるの?」とホストファミリーも不審がります。会話の輪の中で身振り手振りで頑張るうちに、必ず英語力もついてきます。

日本の家族や友達とのコンタクトはバランスよく!
毎晩のように日本の親や友達と1時間も話し、「あいつはただの下宿人かよ」と顰蹙を買う留学生も少なくありません。人のうちに世話になるんですから、この辺りはバランスよくやりましょう。僕は幸いインターネット普及以前に留学しましたので、親と毎晩話すなんてしたくてもできませんでした。結果として英語を覚えるのも早かったです。当時流行っていたテレビ番組を見たり、テレビゲームを一緒にやったりして気がつくとかなり喋れるようになっていましたし、結局はホストファミリーとの距離も縮まりました。

日本語はほどほどに!
これまたネット時代の悩みですが、なまじっか日本語でかなり情報収集ができてしまうので、ついつい日本語に頼ってしまうと思うのです。日本語で情報が取れるのは必ずしも悪いことではありませんが、その分英語に触れる時間が減るのは間違いありません。日本語に触れる時間は、ほどほどにしておきましょう。

金遣いに気をつける
ホストするうちが必ずしもお金がある家庭とは限りません。海外にきたからと浮かれて金を使っていると、これまたヒンシュクなんです。ホストファミリーの生活レベルにきちんと合わせましょう。こういう当たり前のバランス感覚が大切です。

帰国後
さて、いよいよ帰国後です。

帰国後に意外とつまづくのが、日本のカルチャーに再び馴染むことです。16、17歳といった頃は適応力が高い年齢であるが故に、自分では自覚できないほど現地に深く馴染んでしまうのです。

そして帰国後に同じような感覚で周囲に接すると「生意気だ」「カッコつけてる」などなど言われて、浮いてしまうのがオチです。日本には日本のやり方があって、それぞれ一長一短です。別に外国の方が一方的に優れてる、ってわけでもありません。意識的に少し「引いて」みるような感覚も大切です。それぞれのいいところをうまく取り入れられるといいですね。

ホストファミリーや友達との関係をメンテする
今はネットがあるんですから、帰国後もホストファミリーや現地の友達と連絡を取って、関係をメンテしましょう。ホストブラザーやシスターが進学し、就職し、結婚する頃に思いがけない良い相談相手になったりするものです。大人になってから彼らと結構突っ込んだ仕事や子育ての話ができるのは、僕に取って非常に大きな財産になりました。

英語の勉強を継続しよう!
将来を考える時期なので、色々と悩むと思うんです。とりあえず英語ができて損をすることはないので、そのまま英語学習を継続することを強くオススメします。僕自身、一番英語が伸びたのは、帰国後に一心不乱に勉強した2年ほどの時期でした。ここから多読を初めて1年半で30冊ほど読破し、ラジオを聴きまくり、TOFELの問題集を回しまくってアメリカの大学進学に必要な英語力を手にしました。

海外で進学するにせよ、国内で進学するにせよ、英語ができて困ることはありません。一歩日本を出れば、国際語はまさしく英語なのです。1年程度の交換留学で身につく語学力なんて、幼児のおしゃべりレベルです。キッカケとしては十二分ですが、ここで満足すると簡単なおしゃべり以上のことはできるようになりませんし、仕事で活かすなんて夢また夢になってしまいます。是非英語学習を継続してください。

以上、交換留学を通じて僕が得た教訓とアドバイスです。お役にたてば幸いです。

関連リンク:

【英語学習法】初心者が大人になってから英語を身に着けるための7つの原則

【英語勉強法】英語の文法学習ってどうすればいいの?

【英語勉強法】辞書をどう使えば効果的に学習できるの?

他にもこちらにたくさん書いていますので、参考にしてください。

Brightureの英語学習法

それでは良い週末をお過ごしください。


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