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プラットフォーマーたちの次の主戦場はどこなのか?

5年ほど前に「企業が『帝国化』する」という本を書きました。この本は、大企業が築いていく様々なプラットフォームに僕たちはいったいどのように対応し、生きていけばよいのかを考えていくためのヒントを綴った一冊です。

企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書) 新書

それから5年経ち、企業によるプラットフォーム化はさらに進んでいます。例えばアマゾン・プライムのメンバーシップ数ですが、アメリカ国内だけで実に9千万人が加入しているのです。ちなみにアメリカの世帯数は1億2600万世帯ですから、おおよそ70パーセントの世帯がアマゾン・プライムに加入していると考えてよいでしょう。

こうなるともう、「買い物=アマゾン」の世界です。

現にほとんどの人がまずアマゾンで欲しいものを探し、そこで見つからない場合に、やっと他のサイトを検討する感じではないでしょうか? 実店舗に足を運ぶのは、はさらにその先です。アマゾンの寡占化が進んだ結果、Eコマースに乗り遅れた企業は軒並み潰れるか、アマゾンに買収されてしまいました。スポーツオーソリティやトイザらス、サーキットシティなどとった、かつてはアメリカのどこにでもあった大型チェーンが今はどこにもないのです。そして今や、戦いはアマゾン対ウォールマートという巨人同士の一騎打ちを残すのみとなった感じです。

このような寡占は他の市場でも起きています。例えば

検索=Google
動画=YouTube

ですよね。この立ち位置が揺らぐことはないでしょう。

また、「映像番組配信=NetFlix」の一人勝ちです。

またバトル継続中の市場もありますが、どれもこれもすでにほんの数社に収束しており、新規参入は相当難しいような状況です。例えばソーシャルメディアはFaceBook とTwitterですし、音楽配信はSpotifyとアップルです。後発ながら躍進したInstagramとWhatsapp はあっという間にFacebookに買収されてしまいました。

今のところは、これで消費者である僕らの方にも特に不具合がありませんが、将来的にずっとこの不具合がない状態が続く保証はどこにもありません。最近になって、Facebookとアマゾンがデータを共有しあっていたことが明るみになりましたが、ここまで市場を占有した両者が協力しあって、消費者の「常識」を上書きしてしまったらどうなるのでしょうか? 僕らが得ている大半の情報はGooleとアマゾンとSNS経由なのです。何が正当な価格なのかといった価値判断さえ、コントロールされる可能性があります。僕はこれ、ちょっと笑えない状況だと思っています。

なお、このような寡占化はおそらく他の業態でも未だかつてないスケールで進むはずです。そして、最近僕が注目しているのは「移動手段」です。


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